リーキーガット症候群診断のために新たな検査を導入しました。

   

当院は腸の問題を非常に重要視しています。
今回、腸疾患治療に重要なトピックである“リーキーガット症候群”について、ご紹介いたします。

 1) リーキーガットとは?

リーキーガット症候群は、腸管のバリアが崩れて微小な穴ができることで、本来腸内に閉じ込められている物質が血液中に漏れ出す状態を指します。これにより、体内には本来存在しない物質が侵入し、免疫系の過剰反応や慢性的な炎症を引き起こす可能性があります。一般的な症状には消化不良、腹部不快感、アレルギー様症状、疲労感などが含まれます。

2) 新しい腸管バリアパネル検査とは?
現在の日本においては、通常の医療でリーキーガット症候群を診断することはできません。

それに対して私たちは、リーキーガット症候群の診断に革新的な“腸管バリアパネル検査”を導入しました。この検査では、以下の項目を測定し、リーキーガットの状態を評価することができます。

3)チェック項目:カンジダ、ゾヌリン、オクルディン、LPSIgG1~4抗体、炎症マーカーC3dIgA1~2

  • カンジダ、ゾヌリン、オクルディン、LPSのチェックがリーキーガット症候群の診断に重要な理由。

1) カンジダ:

カンジダは、通常は腸内に存在している酵母菌ですが、過剰増殖することで不調を引き起こす可能性があります。カンジダの過剰増殖は腸管バリアの崩壊を引き起こすことがあり、これがリーキーガットの発症に関連しています。カンジダのIgG抗体検査は、免疫系の過敏反応を示す兆候を検出し、リーキーガットとの関連性を確認するのに役立ちます。

2) ゾヌリン:

ゾヌリンは、腸管上皮細胞の間を通過する物質を制御するタンパク質です。過剰なゾヌリンの産生は、腸管バリアの透過性を高め、微小な穴を作る可能性があります。これにより、本来は血液中に漏れるべきではない物質が侵入する可能性があり、リーキーガットの進行を促進します。ゾヌリンの検査は、腸管バリアの損傷状態を示す指標として有用です。

3) オクルディン:

オクルディンは、腸管上皮細胞同士をつなぐタンパク質で、腸管バリアの機能を保つ役割を果たしています。オクルディンの異常な低下は、腸管バリアの損傷を引き起こし、リーキーガット症候群を促進することが考えられています。オクルディンの検査は、腸管バリアの損傷度合いを評価するために行われます。

4) LPS(リポ多糖):

LPSは、腸内細菌が産生する成分で、過剰なLPSは炎症反応を引き起こす可能性があります。LPSが腸管バリアを通過して血液中に漏れることで、免疫系が過剰反応し、慢性的な炎症が発生することが考えられます。LPSIgG抗体検査は、この炎症反応の程度を評価し、リーキーガットとの関連性を示すのに役立ちます。

これらの物質に対しての抗体の上昇や炎症物質があると、腸管のバリアの崩壊と関連する物質がある、と考えられ、リーキーガット症候群の診断につながります。

原因不明の体調不良、アレルギー、腹部疾患がある場合は、ぜひこの検査をご検討ください。

追記:状況に応じては、リーキーガットを引き起こす食べ物の個別検索のために、遅延型フードアレルギー検査を加え、原因となる食事を探す場合もあります。



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