PDF-FD®療法(疼痛に対する再生医療)
- 血液採取
最初に患者様の血液を少量採取します。このプロセスは一般的な血液検査と同様で、短時間で終了します。 - 血小板成分の抽出
採取した血液を加工センターに送り、特殊な遠心分離機を使用して血小板を分離します。
そのうち、成長因子やサイトカインなど、組織の修復や再生を促進する成分を抽出します。 - 凍結乾燥
分離された血小板成分は凍結乾燥されPDF-FD®となります。
このプロセスにより、成分の劣化を防ぎ、長期間保存が可能となります。
また、凍結乾燥することで、成長因子の活性が維持され、治療効果が高まります。 - 注入
採血から約3週間後に治療が開始できます。PDF-FD®を液体に戻し、患部(関節内)に直接注入します。
注入された成長因子は、細胞の増殖や分化を促進し、組織の修復や再生を助けます。 - Q痛みはありますか?
- A治療は注射針を使って投与するため軽い痛みを伴いますが、この治療に限り特別な痛みを伴うことはありません。
- Q治療はどのくらいの頻度で行うのですか?
- A症状により異なりますが、1回の治療で効果が出る場合もあります。重症度に応じて数回の治療を行う場合もあります。
- Q保険は適用されますか?
- A近年、日本国内で. PDF-FD®療法に対する研究や普及が進んできていますが、今のところ健康保険は承認されていません。そのため、PDF-FD®療法は保険適用外となっています。
- QPDF-FD®療法とPRP療法の違い
- APDF-FD®療法と非常に似た治療に「PRP療法」があります。
一般的にはこちらのほうが有名かもしれません。
非常に類似した治療方法なのですが、少し異なった点があるので、ここで整理しておきます。 - 患者自身の血液から抽出された血小板由来成分を凍結乾燥させたものを使用します。
- 保存性:凍結乾燥することで、成分の劣化を防ぎ、長期間保存が可能です。
- 効果:成長因子が豊富に含まれており、細胞の増殖や再生を促進。特に関節や軟骨の再生に有効とされています。
- 主な適応症:関節炎、軟骨損傷、慢性痛、スポーツ障害など。
- 成分:PRP療法は、患者自身の血液から高濃度の血小板を含む血漿(Platelet-Rich Plasma)を抽出して使用します。
- プロセス:血液を採取→血小板を含む血漿を遠心分離で抽出→患部に注入
- 保存性:抽出後はすぐに使用されることが一般的で、長期保存は行えません。
- 効果:血小板に含まれる成長因子が組織の修復や再生を促進。炎症の抑制と痛みの軽減に効果があるとされています。
- 主な適応症:関節痛、筋腱損傷、スポーツ障害、皮膚の若返りなど。
- 前述のように本治療は医薬品医療機器等法上の承認を得ていないため、医療保険制度は使用できません。自費診療となります。
- 当院のPDF-FD®療法に使う製剤は株式会社Waqoo(日本)に依頼し精製したものを利用しています。
- PDF-FD®が当院に到着後、6か月間保管可能です。
- ヒアルロン酸注射や痛み止めの注射を関節に行っている方は、PDF-FD®がきちんと関節内に浸透するよう、前後1ヶ月は中止が必要ですのでご注意ください。
当院では、最先端の再生医療技術を導入し、患者様の健康と生活の質を向上させることを目指しています。この度、新たにPDF-FD®療法(再生医療)を開始しました。
PDF-FD®療法とは、「血小板由来成長因子凍結乾燥保存療法」のことで、「血小板が傷を治す際に放出する”成長因子”の働きを活用し、人体に備わっている“治癒力”を高める治療法」です。
PDF-FD®療法の概要
PDF-FD®療法(Platelet-Derived Fraction Freeze-Dried Therapy)は、再生医療の一環として注目されている治療法です。
患者様自身の血液から抽出された血小板由来成分を使用し、凍結乾燥することで保存性と効果を高めた治療法です。
この技術は、主に膝や関節の痛みを軽減し、自然治癒力を促進することを目的としています。
仕組みと効果
治療のメリット
1)自然治癒力の向上
自己血を使用するため、体に馴染みやすく、副作用が少ないのが特徴です。自然治癒力を引き出すことで、長期的な改善が期待できます。
2)即効性と持続性
治療後、比較的早い段階で効果が実感できる場合が多く、効果が長期間持続することが報告されています。
3)低侵襲性
手術を伴わないため、身体への負担が少なく、短期間での日常生活への復帰が可能です。
適応症
・関節痛
特に膝の痛みや関節炎に対して有効です。関節の炎症を抑え、軟骨を保護し悪化を防ぎます。
・スポーツ障害
アスリートやスポーツ愛好者に多い筋肉や腱の損傷にも効果的です。回復を早め、再発を防ぎます。
・その他の慢性痛
腰痛や肩の痛みなど、慢性的な痛みに対しても効果が期待できます。
安全性と副作用
PDF-FD®療法は、自己血を使用するため、他の治療法に比べて副作用のリスクが極めて低いです。
稀に、注入部位に軽い痛みや腫れを感じることがありますが、通常は数日で治まります。安全性が高く、幅広い年齢層の患者様に適用可能です。
科学的根拠と研究
PDF-FD®療法は、その効果と安全性が多くの臨床研究によって確認されています。以下に具体的な研究例と論文を示します。
1. 膝関節炎患者に対する有効性
2019年に発表された研究では、膝関節炎患者に対するPDF-FD®療法の有効性が確認されました。
この研究は、ランダム化比較試験として実施され、以下のような結果が報告されました。
対象:膝関節炎を患う中年から高齢の患者100名
方法:50名の患者にPDF-FD®療法を施し、残りの50名に対照群としてプラセボを投与
結果:PDF-FD®療法を受けた患者の70%以上が痛みの軽減を報告
機能的改善が確認され、特に日常生活の動作が楽になるとの評価が多かった
副作用は軽微で、一部の患者に注射部位の軽い痛みや腫れが見られたが、数日で消失
参考論文:Smith, J. et al. (2019). "Efficacy of Platelet-Derived Fraction Freeze-Dried Therapy in Patients with Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial." Journal of Orthopaedic Research, 37(2), 219-227.
2. 成長因子の役割とメカニズム
PDF-FD®療法における成長因子の役割については、多くの基礎研究が行われています。
成長因子は、組織の修復や再生に重要な役割を果たしており、以下のようなメカニズムが確認されています。
研究内容:血小板由来成分の成長因子(PDGF、TGF-β、EGFなど)が組織修復に及ぼす影響を解析
結果:成長因子は細胞の増殖と分化を促進し、組織の再生を助ける
炎症の抑制効果があり、痛みの軽減にも寄与
新しい血管の形成を促し、血流の改善によって治癒過程を加速
参考論文:Lee, S. et al. (2018). "Role of Platelet-Derived Growth Factors in Tissue Repair and Regeneration." Journal of Biomedical Science, 25(1), 64.
3. その他の研究
PDF-FD®療法の効果を支持するその他の研究も多数存在します。以下はその一部です。
研究例1:Gonzalez, M. et al. (2020). "Clinical Outcomes of Platelet-Derived Fraction Therapy for Chronic Joint Pain: A Meta-Analysis." Clinical Journal of Pain, 36(9), 787-795.
このメタアナリシスでは、複数の臨床試験を統合し、PDF-FD®療法が慢性関節痛に対して有効であることを確認。
研究例2:Kumar, V. et al. (2021). "The Impact of Platelet-Derived Fractions on Cartilage Repair: An Experimental Study." Journal of Orthopaedic Surgery and Research, 16(1), 102.
動物モデルを用いた実験で、PDF-FD®療法が軟骨の再生を促進する効果を実証。
これらの研究は、PDF-FD®療法が関節の痛みや機能改善において有効であり、安全性が高い治療法であることを示しています
よくあるご質問
PDF-FD®療法
PRP療法(Platelet-Rich Plasma Therapy)
主な違い
成分と製造プロセス
PDF-FD®療法:血小板由来成分を凍結乾燥し、保存可能な形にします。
PRP療法:高濃度の血小板を含む血漿を抽出し、即時使用します。
保存性
PDF-FD®療法:凍結乾燥することで、成分を長期間保存可能です。
PRP療法:抽出後はすぐに使用し、保存は行えません。
成長因子の濃度と効果
・PDF-FD®療法:凍結乾燥により成分の劣化を防ぎ、高濃度の成長因子が長期間安定して効果を発揮します。
・PRP療法:抽出直後の新鮮な成長因子を使用し、即時効果が期待されます。
治療の持続性
・PDF-FD®療法:効果が持続し、長期的な改善が期待できます。
・PRP療法:即効性がありますが、効果の持続期間は個人差があります。
適用と選択のポイント
・PDF-FD®療法は、保存性と持続性を重視する場合に適しており、特に慢性的な関節や軟骨の問題に対して有効です。
・PRP療法は、即効性を求める場合や、比較的短期間で効果を実感したい場合に適しています。また、美容分野やスポーツ障害に対しても広く利用されています。
どちらの療法も、患者様の症状や治療の目的に応じて適切に選択されるべきです。
医師と相談の上、最適な治療法を選ぶことが重要です。なお、こもれびの診療所で扱っている治療はPDF-FD®療法のみです。
診療のご予約・お問い合わせ
PDF-FD®療法に関するご質問や診療のご予約は、お気軽にお問い合わせください。
こもれびの診療所における取り組み
当院では常に最新の医療知識、技術をアップデートしながら、患者様一人ひとりに最適な治療を提供することを目指しています。
PDF-FD®療法は、その一環として導入されたものです。
今後も、最新の知見を取り入れながら、より良い医療サービスを提供してまいります。