IBS・SIBOを改善する睡眠方法1~寝つきをよくする

   

過敏性腸症候群(IBS)及びSIBOはともに腸管の問題が基本となります。
この腸管をスムーズに動かしてくれるのが自律神経であり、自律神経の調整は、腸の改善に直結することになります。
この自律神経の調節、改善に必要なことの一つに良質な睡眠があります。
よって本日は、自律神経改善の睡眠方法をお伝えしたいと思います。

良い睡眠1~寝つきをよくする

1)ブルーライトをカットする

自然界にある7色の光のうち「青い光」のことを「ブルーライト」と呼びます。紫外線に近い短い波長をしており、強いエネルギーを持つため「もっとも目に対する刺激が強い」という特徴があります。さらに、ブルーライトは、覚醒を司る自律神経「交感神経」を優位にする、眠りを促す睡眠ホルモン「メラトニン」の生成を抑制するなどの働きがあるため、良い睡眠のためにはできるだけ避けたい光となります。
このブルーライトが最も問題になるのは、スマートフォンやパソコンのディスプレイから放出されるものです。「マーケティングリサーチキャンプ2017」によると、10代、20代もスマホ普及率は90%超え、60代でも55.0%に達しています。また「ニールセンデジタル報告2019」によれば1日のスマホ利用時間は平均で3時間7分、IBSが最も問題になる10代~20代に限れば、さらに多くの時間を費やしていることが予想されます。その場合、多くの人は、家に帰ってから寝る寸前までスマホの画面を見ているということになるため、その光により睡眠の質が低下することが危惧されます。ちなみに、イギリスエディンバラ睡眠センターのクリス・イジコフスキ博士によれば、スマホから発せられるブルーライトはエスプレッソコーヒー2杯分の覚醒作用を持つと警告しています。よって、良い睡眠のためにぜひ、スマホの利用を少なくしてください。
ただし、スマホが生活の一部となった昨今、スマホを制限することは困難になっている人も少なくないでしょう。
そこでおすすめなのが、ブルーライトカット眼鏡です。これを夕食後よりかけることで、目に入ってくるブルーライトの刺激を極力抑え、睡眠への移行をスムーズに導きます。
ぜひ、ブルーライトカット眼鏡をご検討ください。
あとベッドや布団の中ではスマホ等のメディア機器は使わないように注意してください。

 2)メラトニンを増やす
「メラトニン」とは、脳内で分泌される睡眠を誘発するためのホルモンです。このホルモンが十分にあれば、良い睡眠を確保することが出来ます。このメラトニンを簡単に増やす方法として、以下3つの方法をお伝えしたいと思います。

*メラトニンの主材料であるトリプトファン(アミノ酸)をしっかりと取る
トリプトファンは、体内では生成することができない物質なので、食事により体内に取り込むことが必要です。トリプトファンは、肉類や赤身の魚、乳製品、大豆製品など日常私たちが良く食べる食事に十分入っていますので、カップラーメンやお菓子ばかり食べると言った偏った食生活でなければ、それほど不足することはありません。とはいえ、トリプトファンだけを摂取していれば良いというわけではありません。なぜなら、トリプトファンは単独でメラトニンを作るわけではなく、ビタミンやミネラルの助けを借りてメラトニンを合成するからです。また、トリプトファンが脳内へ到達するには、炭水化物の摂取も必要です。つまり、できるだけバランスよく炭水化物や脂質、ミネラルやビタミ類など、多種多様なものを摂取するようにする必要があるということです。

 *太陽の光(特に朝日)を浴びる
朝、太陽光を十分に浴びると、体内時計がリセットされ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌に予約スイッチが入ります。メラトニンの分泌は、朝日を浴びてから、およそ1416時間後に最高潮になって、自然の眠気を促すという、言わば睡眠の時限スイッチ的な特徴をもっています。 ですから、起きてすぐできるだけ戸外にでて、しっかりと朝日を浴びるようにしてください。(ちなみに曇りや雨の日でも、戸外に出るとスイッチが入るようになっています)
朝日を浴びる時間は、夏場は15分程度、冬場は少し長めで2030分程度の時間が最適といわれます。
良い睡眠のために、ぜひ朝の軽い散歩を試してみてください。

 *リズム運動を行う
一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニン神経が活性化し、メラトニンが多く放出されることがわかっています。
リズム運動としては「歩行」を基本として「水泳」、「深呼吸」、「自転車をこぐ」などです。どうしても運動が厳しい場合は「ガムをかむ」でもOKです。ぜひ、自分に合ったものを取り入れてください。なお、こういった運動を意識的に5分以上、さらに、長期間継続して行うとさらに効果的であると言われています。
ちなみに歩くときは、大股で歩幅を広く取り活発に、腕を前後に大きく振って歩くようにしてください。
なぜなら、アトランティック大学の研究において、同じ距離でも胸を張り、大股で腕を振ってシャキシャキ歩いたグループは、小股で、うなだれて、のろのろ歩くグループに比べてはるかに幸福度が高いことがわかっているからです。
Snodgrass et al, ”The Effect of Walking Behavior on Mood” Paper presented at the Annual Convention of the American Psychological Association. 1988
歩き方を変えるだけで、幸せ度も変わります。ぜひ、幸せになる歩き方をしてください。

 *メラトニンのサプリメントを利用する
以上、自分でメラトニンを増やす日常習慣をお伝えしました。ただ、現在の忙しい日常では「これらを毎日やるのは難しい」とおっしゃる方も少なくないでしょう。
その場合にお薦めなのが、メラトニンをサプリメントで補う方法です。
このサプリメントはⅠ)非常に安価 Ⅱ)インターネットで購入可能 Ⅲ)副作用はほとんど見られない、などの特徴があるため、導入しやすいです。
さらに、メラトニンにはIBSの改善作用がある、という論文も存在します。
Melatonin and Irritable Bowel SyndromeDynamic Chiropractic March 12, 2006, Vol. 24, Issue 06”
メラトニン使用によりIBSの症状、特にお腹の不快な痛みや膨満感が改善したと報告されています。
また、メラトニンには、落ち込みや季節性感情障害(うつ病の一種。秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治まる)などの、心的状態のバランスをサポートするとの報告もあり、この点でも、IBSの改善にとってプラスと考えられています。
以上の科学的データを踏まえて、睡眠関係のストレスのあるIBSの方には、メラトニンを試しいただいてもよいかなと思っています。
ただし、やはり基本は、自己メラトニンでよい睡眠を作り、IBSを治癒していくことです。
メラトニンを増やすために、まずはできそうな生活習慣を3つの方法の中から、1つだけでも選んでスタートさせてください。

3)眠いふりをする
これから寝ようとするとき、眼をしょぼつかせる、手足をだらりとさせる、あくびのまねを何度も行う、など眠いふりをすると、実際に眠気が起こり、スムーズに寝付けることが出来るとする報告があります。
ぜひ、眠る前は、名俳優となって、眠い人を演じてください。
Richard Wiseman. “Night school the life-changing science of sleep” 2014

 4)楽しいことを考える
米国、アリソン博士の報告です。
不眠症で苦しんでいる人を3グループに分けます。
1グループ:寝る前に楽しい自分を想像してもらう
2グループ:寝る前に心配や不安を忘れるように努力してもらう
3グループ:特別な支持は行わない
そしてこれら3グループにおいて眠りにつくまでかかった時間を調査します。

その結果、3グループは寝付くまでに1時間以上かかったのに対して、2グループは40分、そして楽しいことを考えた1グループは、なんと20分で眠りにつくことができました。ぜひ、毎日楽しいことを考えながら眠りにつくようにしてください。
なお、この研究において、楽しいこととして過激な想像(戦争や暴力)や、性的興奮を引き起こす想像はかえって眠りを妨げていましたので、ご注意ください。
Allison G. Harvey., “The management of unwanted pre-sleep thoughts in insomnia: distraction with imagery versus general distraction.” Behaviour Research and Therapy, Volume 40, Issue 3, March 2002, Pages 267-277

以上睡眠導入がスムーズにいく方法をお話ししました。
良い睡眠で自律神経を整えて、素敵なお腹を手に入れましょう。
もちろん、この方法はお腹に関係ない人の睡眠を改善してくれるのにも役に立ちます。
どうか、あなたの毎日が気持ちの良い睡眠でありますように。

人生には希望を
生活には笑顔を
そして 少しずつ 少しずつ 幸せに



医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/

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