有害金属除去療法

現在、世界は様々な毒に侵されています。

様々な有害金属

これらの影響により、私たちの体内にはたくさんの毒(有害金属)が蓄積されるようになりました。 実際、当院における検査(オリゴスキャン)において、有害金属の上昇はほぼすべての人に見られています。

その中でも特に蓄積が多く、米国のATSDR(有害金属の問題を調べている機関)が危険視するのが「水銀・カドミウム・鉛」です。よってこれらの問題を少し考えてみたいと思います。

水銀

水銀は重金属の中でも最も問題があるといわれています。その理由として挙げられるのが  

  1. 環境からの排泄量が年々増加しており、体内への移行量が結果的に多くなっていること
  2. 水銀は体内の様々なところにいきわたり、多くの症状を引き起こすこと
  3. 水銀は他のミネラルの輸送障害を引き起こすこと(水銀蓄積は他の全てのミネラルの効果を減弱)

の3点です。
水銀の体内侵入経路は、以下のようなものがあげられます。

水銀の汚染源

  • 海産物 魚 大型魚
  • アマルガム(歯の詰め物)
  • 殺虫剤
  • 防カビ剤
  • 水質汚染
  • 塗料
  • チメロサール(予防接種防腐剤)
  • 水銀温度計
  • 加工食品

特に日本人で問題になるのが、大型魚の摂取と、歯の詰め物として長く使われてきた銀歯の成分、アマルガムです。

大型魚と水銀

日本近海の海は、実は世界一水銀含有が多いといわれています。これは大気中に放出される水銀量なのですが、世界が軒並み減少している中、アジアだけは増え続けていることが見て取れます。この最大の原因は中国の経済発展に伴う影響で、これが偏西風に乗って日本に運ばれ、日本の土地、そして海に蓄積され続けています。

滋賀県立大学研究チームの報告によれば、富士山の山頂における水銀量は最大で市街地の平均濃度の10倍を超えていたとのことより、いかに大陸から多くの水銀を含めた有害物質がやってきているのかが推察されるでしょう。
これらの原因により、海洋生物、特に大型魚ほど水銀蓄積量は多くなります。

マグロを含め魚を多く食べる習慣がある日本人にとっては、これらの摂取を通じて水銀蓄積が多くなります。

アマルガム(銀歯)

古くから用いられてきた歯の詰め物「アマルガム」。銀、亜鉛、銅、水銀から構成されており、その50%が水銀です。古い歯の詰め物では使われていることが多く、これがゆっくりと揮発することで体内に蓄積する危険は常に言われています。

症状

水銀における問題は、まず思い浮かぶのが1950年代、熊本県水俣市で起きた「水俣病」です。手足のしびれ、身体のふるえ、言語障害などで始まり、ひどい場合は激しい痛み、意識不明の重体から亡くなることもありました。原因は、ビニール製造に必要な原料(アセトアルデヒド)をつくるときに発生したメチル水銀によるもので、工場廃水に混じって海に流れ、魚や貝によって人の身体に取り込まれることで症状が起こりました。現在は、これほど大量に一気には入って来ませんが、一度体内に入ると排泄が難しいため徐々に体に悪影響を及ぼす危険はあります。 なおその他の症状としては以下のようなものが挙げられます。

水銀汚染の症状

  • 疲労感、鬱症状、情動不安定
  • 四肢のふるえ
  • 中枢、末梢神経障害(水俣病)
  • 記憶力減退、集中力欠如
  • 免疫力低下
  • アレルギー様症状
  • カンジダ症
  • 心臓血管疾患
  • 自閉症

鉛は1000年前のミイラと現代人の骨を比較すると、なんと1000倍も多いことが報告されています。図を見て「え、どちらも一緒じゃない」と思ったかたもいるかもしれませんが単位をよく見てください。1000年前はμg、現在人は㎎です。つまり1000倍の違いなのです。

では、鉛はどこから入ってくるのか?

鉛 汚染源

  • 鉛管 水道
  • 化粧水(鉛白、白髪染め)
  • 塗料
  • 薬草、漢方製剤
  • はんだ、鉛蓄電池
  • 銃弾(散弾銃 etc.)
  • 土壌汚染、肥料
  • 排気ガス、大気汚染

このようなところが汚染源となります。特に女性は化粧を使う関係で、男性より高くなりやすい傾向があります。薬草、漢方と書かれているのは、鉛・カドミウムは葉っぱについたりするため、それを煎じて使う場合、有害金属が付着していることがあるためです。
これらの影響により、体内にたまった鉛は体内で様々な毒性を発揮します。
なお、体内における鉛の90%は骨に吸収されるのですが、鉛の半減期は数十年といわれています。日本で歴史上最も鉛が多かったのが1970年代だといわれていますが、その時、体内に吸収された鉛の多くはまだ私たちの体内に蓄積されているということになります。

カドミウム

カドミウム 汚染源

  • 排気ガス
  • 亜鉛メッキ
  • 喫煙
  • 土壌汚染
  • 塗料
  • ニッカド電池
  • 粉塵
  • 米、小麦粉
  • リン酸肥料

特に注意すべきは喫煙です。これを見てください。喫煙者は非喫煙者に比べてカドミウムが非常に多くなるのがわかると思います。

それ以外、日本人にとって供給源になるのが米です。
その理由の一つとして挙げられるのが「ニッカド電池」です。日本は携帯電話に使用されるニッカド電池の最大生産国になっているのですが、この生産にはカドミウムが必須金属となります。つまり、日本は世界有数のカドミウム輸入国となります。しかしこのニッカド電池回収率は20%程度といわれています。ということは残りが環境中に排泄され、地中に蓄積される危険が伴うわけです。そしてその地中に溜まったカドミウムが畑を通して蓄積しやすいイネ科、つまり米に吸収され、米を主食とする私達日本人の体内に入ってくることになります。

間違えないようにしていただきたいのですが、決して米が悪いわけではないのです。土地を汚してしまっている私達人間が悪いのです。ちなみにですが特にカドミウムは米の薄皮部分に蓄積するため、白米より玄米に多いことになります。 玄米は栄養的にはスーパーフードですが、デトックスという視点では少し注意が必要な食べ物となります。

カドミウムの症状

カドミウムと聞くと富山県神通川下流域で1910年代から1970年代前半にかけて多発した「イタイイタイ病」を思い出す方も多いかと思いますが、それ以外にも多彩な症状を引き起こします。

カドミウム汚染の症状

  • 高血圧、低血圧
  • 筋肉痛、関節痛、骨軟化症
  • イタイイタイ病
  • 線維性筋痛症、慢性疲労症候群
  • 尿糖陽性
  • 小球性、低色素性貧血
  • 蛋白尿
  • 発ガン

カドミウム〜WHOによって第一級発がん物質と認定

対策

では、これらの重金属が入ってきた場合、私たちはどのように対応すればよいのでしょうか?
それに対して、まずは私たちの体がどのようにして重金属を排泄しているのかを考えていきましょう。
はじめに、解毒の中心になるのは肝臓です。有害金属を含め毒物が入ってくると、まず肝臓をメインとするシトクロムP450(Cytochrome P450:CYP450。)と呼ばれる代謝酵素の活性化により、毒物を水に溶けやすい状態にします。次に肝臓を中心に抱合による解毒を行います。抱合とは、簡単に言うと水に溶けやすくした毒物を水溶性物質とくっつけて水に流す、つまりトイレの汚物を水で流す、というイメージです。この抱合ですが、主軸になるのがグルクロン酸抱合とグルタチオン抱合です。これらの抱合によって毒物は水溶化し、胆汁を通して腸の方へ送られたのち、便や尿、汗として外に排泄されることになります。なお、割合としては便から75%、尿から20%、汗から5%だと考えられています。

これを踏まえて、改めてデトックスを考えてみましょう。

戦略1:腸機能改善~便秘とリーキーガット症候群の治療

先ほどの説明を踏まえると、デトックスはまず肝臓治療から始まりそうですが、最優先は腸です。特に優先すべき課題は「便秘」と「リーキーガット症候群」です。

1便秘

なぜ便秘治療から始めるのか。それは、便秘があると毒が捨てられないからです。さらに、捨てられないだけでなく、腸管内に重金属が長く留まっていると、腸肝循環作用(腸内のものを再度肝臓に送り込む)という作用により、せっかく腸管まで運んだ有害金属をまた肝臓に引き戻してしまいます。よって便秘を治しておくことは、デトックスにとって最も大切になります。

2リーキーガット症候群

リーキーとは英語で「液体などが漏れる」という意味を持つ動詞リーク(Leak)の形容詞。腸は英語でガット(Gut)。つまり、リーキーガットは「腸の粘膜に穴が空き、異物が血管内に漏れ出す状態にある腸」のことを指します。この状態があると、異物が体内に入りやすくなることはもちろん、この異物は直接肝臓に送られてしまいます。そのため解毒の主人公である肝臓の働きを低下させてしまうことになり、結果デトックスがうまくいかなくなります。 よって、まずは腸の治療がデトックスにおいてのスタートとなります。

▶︎ 治療

便秘治療、乳酸菌治療

▶︎ 治療期間

2週間~2か月

*なお、腎臓での毒物排泄もあるため、水分をしっかりとることも重要です。ただし水だけでは細胞外液に水分が増えるのみですので、細胞内にしっかりと吸収してもらうためにはミネラルを同時にしっかりとることが重要になります。

戦略2:解毒システムの改善

ここからいよいよ解毒システムにのっとった治療となります。

1解毒Phase1:肝臓チトクロムP450活性化

ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、マグネシウム(必要な場合のみ銅、鉄)サプリメント内服

  • 亜鉛~チトクロムP450などの酵素活性に必須のミネラル。また解毒のキーとなる物質「メタロチオネイン」は亜鉛と結合しないと働かない。よって亜鉛は解毒には非常に大切な物質となる。
  • ビタミンB群~肝臓のチトクロムP450などの酵素活性においてキーとなるビタミン群。肝臓を使った解毒では必要不可欠となる。
  • ビタミンC~ビタミンCは全ての臓器の中で肝臓に最も多く含まれており、肝臓を働かせるために必須のビタミンである。またビタミンC投与により血中鉛濃度低下との報告もあり(Dawson EB, et al 1999)

デトックス点滴(肝機能改善点滴)(ビタミンC、グルタチオン、グリチルリチン製剤など phase1及びphase2改善)

2解毒Phase2:抱合力アップ

グルクロン酸抱合力アップ

スルフォラファンを摂取する。スルフォラファンとは、ブロッコリーに微量に含まれるファイトケミカルの一種。これをとると肝臓での抱合力が高まりデトックスできる。サプリもあるが、スルフォラファンは咀嚼で活性化するため、できるだけ食べ物からとる。

多く含まれる食材:ブロッコリー・にんにく・ウコン・タマネギ・キャベツ・ローズマリー・クミンなど

グルタチオン抱合力アップ

  • グルタチオン内服
  • デトックス・キレーション点滴(グルタチオン、EDTA phase2及びphase3改善)
  • その他~グルタチオン抱合後、胆汁酸で腸管内へ運ぶため、胆汁酸が少ない場合はタウリン、ウルソなどを併用

3解毒Phase3:体外へデトックス(解毒)

キレーション療法

  • キレーション療法とは、腸管内はもちろん、体内に残る有害なミネラルや老廃物を取り除く点滴治療のこと
  • 金属イオンをカニのように挟み込み結合し排泄する作用を持つEDTAをメインに利用して、体の中にある有害な金属質を選択して取り除く
  • EDTAはフリーラジカルの発生を抑制する効果もあるので、動脈硬化・がん・糖尿病などの疾患予防にもつながる

▶︎ 安全性
キレーション療法は、大変安全な治療法と考えられていて、アメリカでは現在までに100万人の患者さんが2000万回以上の治療を受けている。今までに、正しく行われたキレーション治療が直接の原因で亡くなった人の報告はない。

▶︎ 副作用
血管の痛み、頭痛、疲労感などが発生することもあるが、初回の治療の際にそのような副作用が発生しないかを確認する。副作用が生じた場合も、点滴速度を遅らせるなどの対応により問題なく治療を行うことができる場合が殆どである。

▶︎ 治療回数と間隔
有害金属汚染除去:20回(1~2週間に1回)継続、その後維持療法として3~6か月に1回

▶︎ 点滴時間
約40分

▶︎ 注意
キレーション時、ミネラルの排泄も増加するため、サプリの内服を併用する

*詳しくは点滴治療の「プレミアムデトックス・キレーション点滴(phase1~phase3改善)」をご参考ください。