耳鳴り

    耳鳴りは非常に多く見られる疾患で、わが国では300万人以上いると推定されているにもかかわらず、「治すことができない疾患」として認識されています。
    しかし、耳鳴りの本質を理解し、統合医療で臨めば、対応は可能な疾患です。
    あきらめることなく、一緒に、耳鳴り改善を目指して頑張りましょう。

     

    人は音をどのように聞いているのか

    人が音を聞く「聞こえマップ」です。

    耳鳴り

    外耳道(耳の穴)→中耳→内耳→聴神経→脳幹→大脳の聴覚野

    1. 外耳道から中耳:耳に入った音を空気振動として伝える場所
    2. 内耳:空気振動として伝えられた音を電気信号に変換する場所。内耳には、音を感じ取る「蝸牛」、また、体の平衡感覚を司る「三半規管」と「耳石器官」がある。耳石器官の中もリンパ液があり、体の傾きや地球の重力を感知している。
    3. 聴神経から脳幹、大脳の聴覚野:電気信号となった音がたどり着く場所であり音の終着点。ここに到達して初めて音として認識される。

    このマップのどこかに異変が生じた時に起こるのが「耳鳴り」となります。

     

    耳鳴りの理解及び治療

    1)耳鳴りとは何か?

    耳鳴りは日本だけではなく、世界中で見られる疾患で、米国においても数百万もの人が耳鳴りで苦しんでいるとされます。また症状も様々で、「キーン」「ピーン」「カチカチ」など、様々な音が聞こえると訴えます。

    さて、その耳鳴りですが、その主人公は内耳で、実に全体の9割にあたります。
    なぜ内耳が耳鳴りの主人公になるかというと、内耳は空気振動を脳が感知できる電気信号に変える場所だからです。この変換作業を行う際、内耳内で音が作り出されてしまいます。また内耳のリンパ液のわずかな揺らぎが大脳に伝わったときの音を、耳鳴りと認識される場合もあります(「しんしん」「シーン」などと表現され無響室性耳鳴りと呼ばれます)。

    このように、耳鳴りの元になる音は、特別な人だけが持っている症状ではなく、だれもが持っている内耳からの発生音なのです。
    では、なぜ、内耳で作り出す「音」を「耳鳴り」と認識する人と、しない人がいるのでしょうか?
    その理解こそが、耳鳴り治療のカギとなります。
    その点はこれからしっかり見ていきましょう。

    まず大切なことは、耳鳴りとは内耳で起こる誰もが持っている生理的な音を、音として認識しているかどうかであるという事、いいかえれば、この音は消すことはできないという事です(よって聴力を完全に失ったとしても、耳鳴りは残ります)
    以上より、耳鳴り治療とは「耳に聞こえる音をゼ口にすること」ではなく「耳鳴りの音を気にしなくなること」と理解することになります。

     

    治療指針1:耳鳴り治療は「音をなくす」ではなく「音を気にならなくする」ことだと理解する

    耳鳴りの原因となる内耳音は、生きている限りなくなることはありません。
    大切なのは耳鳴りが気にならずに、日常生活を送れるようにする(耳鳴りから人生を取り戻す)ことです。
    このゴールを間違えないようにしてください。

     

    治療指針2:気にすることがそもそも耳鳴り悪化の原因だと理解する

    では改めて、「なぜ、だれもが内耳で作り出す音を“耳鳴り”と認識する人と、しない人がいるのか?」の疑問に戻りましょう。
    これは、「耳鳴り」が起こった際に、それに対して意識を向けるか、向けないか、の違いにあります。

    実は、大半の人は人生で一度は耳鳴りを経験します。周りの人に聞いてみてください。少しの体調の変化で、耳鳴りを経験したことがある人は非常に多いはずです。
    私も、疲れが蓄積したときや不摂生が続くと、「キーン」と音が聞こえたり、夜、耳内で音がなっていることを認識できることがあります。ただ、それが慢性的になっていないのは、そこに意識を向けないようにしているからです。

    それに対して耳鳴りが発症している人は、耳の音ばかり意識を向け、「耳鳴に対する意識過敏=音過敏脳」を作り出します。
    その結果、「耳鳴りはなぜ起こるのだろう?」「このまま耳鳴りが治らないのではないか?」など、だんだん不安になり、この不安は、音に対して「注意」を促し、朝起きてすぐに「今日は耳鳴あるかな?」、少し静かになると「耳鳴どうかな?」など、耳鳴りを聞こうとする間違った努力=さらに耳鳴を感知しやすい脳、へと変容していくのです。
    そして、これらが積み重ねられた結果「過敏脳による耳鳴ネットワーク」が構築、耳鳴りから注意をそらすことが困難となり、さらに根拠のない不安や心配にさいなまれ、イライラや怒りが強くなります。
    また、この心理状態により、鬱傾向が高まってしまうと、さらなる過敏脳となっていきます。

    つまり、耳鳴りとは、耳の中に突然病的な音が生まれたわけではなく、もともとあった音が体調の変化で強く認識され、それに集中し続けた結果、自分自身で音過敏脳を作り出した状態、という事なのです。
    よって繰り返しになりますが「私たちは誰しも、実は耳鳴をもっている」という事を思い出し、脳を落ち着けかせ、安心することから始める。この理解こそが耳鳴り治療に必要なポイントとなります。

     

    耳鳴りに意識を向けないための治療方法

    2-1:音響療法(家庭・日常編)

    耳鳴りが発生するメカニズムが耳ではなく脳が過剰に音を拾う「脳過敏」であるという脳のしくみがわかってきたことで、新たに生まれた治療法が「音響療法(脳を耳鳴りの音に順応させようとする訓練法)」です。
    耳鳴りが長く続くと、苦痛を感じるようになり、この苦痛を感じれば感じるほど、耳鳴りは、聞こえやすく、聞けば聞くほど耳鳴過敏脳になってしまいます。よって、自然の音やノイズなどを聞き続けることで耳鳴りを相対的に小さく感じさせ、意識を耳鳴りから逸らし、耳鳴りを気にならないように訓練していく=音響療法という概念が生まれました。
    よって基本的な方針は以下の2点です。

    • 耳鳴りの音が際立つ静かな場所になるべく身を置かない
      静かな場所では、耳鳴りの音が際立つ。音が際立つと、再び耳鳴りに意識が向くため、生活空間の中に静かな場所をなるべく作らないように配慮する。
    • 豊富な音に囲まれた生活環境に身を置くようにし、耳鳴りを認識しにくい状態にする
      たとえば家にいる間は、長時間聞いていても不快にならない音を流しておく。お勧めなのは、川のせせらぎや波の音、滝の音などの自然音。

    なお、音を利用する際、大きすぎる音でかけないことがコツです。
    音が大きすぎて耳鳴りがまったく聞こえないのでは意味がありません。
    家庭でできる簡単な音響療法の目標は、耳鳴りの音に慣れて気にならなくなること。気にならなくなるためには、ほかの音といっしょに耳鳴りの音も聞こえていることが大事です。

    たとえば、あなたが聞いている耳鳴を10とします。静かな場所で、周囲の音の大きさが1以内とすれば、耳鳴は周囲の音より9際立っていることになります。しかし、耳鳴の10よりも少し小さい8~9の大きさの音を流せば、あなたの耳鳴の音は1~2になります。この耳鳴りがかろうじて聞こえる程度になるくらいの音を流すことで耳鳴りの音を相対的に小さく感じさせて、脳に耳鳴りが小さくなったと思わせることが音響療法の基本原理となります。
    なお、この際ヘッドホンは使わないようにしてください。ヘッドホンは長期使うと鼓膜に負担をかけ、かえって耳鳴り、難聴を悪化させる場合があります。

     

    2-2:音響療法(医療編)
    • TRT(Tinnitus Retraining Therapy:耳鳴り再生訓練法 )
      補聴器やサウンドジェネレーター(音源治療器)という装置を用いた治療法です。耳鳴りとはタイプの異なるノイズ音を流すことで、脳に耳鳴りの音を気にならなくさせる効果があります。希望があれば行っている耳鼻科を紹介致します。
    • 西洋医学
      内耳神経に起きている興奮を抑制し、神経を保護してくれる抗てんかん薬の「クロナゼパム」(リボトリール)などが利用されます。

    治療指針3:ストレス、疲労が耳鳴りを悪化させると理解する

    耳鳴り治療は、耳ばかり見ていてはだめで、全身の状態をよくすることが必須です。なぜなら疲労やストレスが耳鳴の原因となるからです。
    実は、疲労やストレスの後、一過性の耳鳴を体験する方は多いです。ただし、この場合はよく眠って体を休めれば、速やかに改善していきます。
    これに対して、疲労やストレスが慢性化した場合、精神の状態が不安定になることで、身体感覚が非常に鋭敏になり、慢性的な音過敏脳になります。
    なお精神の疲労に伴う耳鳴の場合は、これまでの内耳音に加えて、血液が血管を流れる「ザーザー」という音(血管雑音)や、心臓の音、「コツコツ」という喉(のど)の筋肉の収縮音、「スーハー」という呼吸音など、実際に体の中でなっている音まで耳鳴りとして感じるようになってしまいます。
    よって、疲れ、ストレス対応は、そのまま耳鳴り治療となります。

    3-1:栄養療法

    耳鳴りは、疲労回復という視点から以下の栄養素が非常に大切になります。

    1)ビタミンB群(とくにビタミンB12)

    • ビタミンB群:ビタミンB群は多くの酵素の補酵素として働きます。さらにお互いが活性化、代謝のために必要とし合うため単独ではなくB群でとることが望ましいです。
    • ビタミンB群全体の作用:外肺葉系(脳・神経・皮膚・口腔粘膜)の改善、糖代謝の安定、ミトコンドリアの活性によるエネルギー産生作用など。
    • B1:疲労回復(ミトコンドリアエネルギー産生改善、疲労物質乳酸を分解)、抗ストレス、糖質代謝、アルコール代謝。
    • B2:三大栄養素の代謝を促進。
    • B3(ナイアシン):糖、脂質、蛋白、すべての栄養の代謝。また長寿遺伝子として注目されているサーチュイン遺伝子の働きを活性化する。
    • B5:重要物質補酵素Aの構成要素。副腎の活動にも必須ビタミンで、副腎疲労回復により、疲労消失、ストレス低下に寄与。
    • B6:特にタンパク質代謝にかかわる。B6の存在下でトリプトファン(タンパク質)から幸せホルモンであるセロトニンを、グルタミン酸(タンパク質)から鎮静性の神経物質であるGABAを作り出すことができ、これにより精神的に安定した幸せな状態を作り出すことができる。
    • B12:神経の働きを正常に保ち、修復。さらに内耳の血流を増やし、興奮する神経を鎮静化する働きを持つ。
      1. 耳鳴りを発症している患者の約半分にB12の不足が見られたと報告。毎日3000-5000 mgを1ヶ月間摂取、その後維持量として毎日1000 mg程度内服することで回復が見られた(65歳以上の高齢者、または全年齢の菜食主義者は1000〜3000 mcg摂取することを推奨)
      2. ビタミンB12の最も一般的な形態はシアノコバラミンとヒドロキソコバラミンだが、これらは体内でメチルコバラミンに変換されなければ活性化されない。ビタミンB12の特定の効果を期待する場合は、メチルコバラミンの形での接種が望まれる。

     

    2)マグネシウム(Mg)

    • エネルギーを生み出す~Mgは生体の300種類以上の代謝酵素の補助因子で、マグネシウムのサポートがなければエネルギー産生ができません。Mgは慢性疲労の改善が期待できるミネラルである。
    • 血管の拡張及び血糖改善作用~この作用により内耳の血流改善をはかる。
    • ストレス解消~Mgは「抗ストレスミネラル」と呼ばれ、Caと共に神経安定を行う。また、Mgは精神安定作用のあるホルモン生成のために必須のミネラルでもある。
    • マグネシウムの多い食事~そばの孫とひ孫は(わ)優しい子かい?納得!
      そば:蕎麦 の:のり ま:豆 ご:ごま と:豆腐 ひ:ひじき ま:まっちゃ ご:五穀 わ:わかめ や:野菜 さ:魚 しい:しいたけ こ:こんぶ か:牡蠣 い:芋 な:納豆 と:とうもろこし く:くだもの

     

    3)亜鉛(Zn)

    • 血栓予防~亜鉛が体内に十分あると動脈の粥状効果を抑制。この作用により内耳の血流改善をはかる。
    • 血糖改善~血糖値を下げるインスリンは亜鉛の存在下で動くため、亜鉛補充により血糖値改善が起こり、これにより内耳の血流改善を行う。
    • 解毒作用~亜鉛の存在下においてのみ、有害金属解毒作用を持つメタロチオネインが働くため、亜鉛はデトックスミネラルともいえる。有害金属などは難聴、耳鳴りの原因となるため、亜鉛の持つ解毒作用も重要。
    • 亜鉛の多い食べ物~魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類、種類(かぼちゃなど)。特に牡蠣(14.5㎎/100g)、うなぎの蒲焼(2.7㎎/100g)、豚肝臓(6.9mg/100g)など。

     

    4)メラトニン

    • オハイオ州立大学の耳鼻咽喉研究所:慢性的な耳鳴りを患う成人61人に3mgのメラトニンまたはプラセボを毎晩30日間与えた後1ヶ月の空白期間を与えた結果、慢性的な耳鳴りの患者の症状の強度および睡眠の質で統計学的に有意な低下。特に両耳症状、騒音曝露歴を有する男性に有効と報告。
    • メラトニンが内耳機能の改善に役立つ可能性。
      ・内耳損傷に対する保護効果
      ・薬剤が原因の耳鳴りに対しては、ビタミンCとE、グルタチオンとNACを含む抗酸化物質の混合物よりも薬物の内耳副作用を制限するのに、メラトニンは最大150倍有効であった。

     

    耳鳴り点滴

    ●耳の改善として以下の栄養素を入れての点滴を行います。
    ・ビタミンB群:ミトコンドリアの改善、脳内ホルモン安定、血流改善をはかる。特にビタミンB12を強化し、内耳の傷ついた神経を修復する。
    ビタミンC:活性酸素を除去し、ストレスに対応する副腎の改善を図る。
    マグネシウム耳鳴り改善ミネラルの代表。
    グルタチオン耳や脳にたまっている有害物質の解毒及び活性酸素除去を行う。
    ・ブドウ糖+フルクトース:耳内のエネルギーシステム”ミトコンドリ”アを最大限活性化させることを目指す

    1~2週間に1回、合計5回を1クールとする。

    ●値段:16,500/回

    ●注意事項
    ■もともと人間の体の中に存在する栄養素であるビタミンとミネラルの点滴療法のため、副作用はほとんどありません。
    ■血管穿刺部の痛みが発生する場合がありますが、点滴速度の調節や穿刺部を温めることで多くは解決されます。
    ■急速にマグネシウムを投与すると熱感を感じることがありますが、点滴ではほとんど生じません。もしもの場合は静注を止めることで2030秒以内に改善します。
    ■マグネシウムを静注する場合、マグネシウムが細胞内に取り込まれる時にカリウムも細胞内に取り込まれるため、稀に低カリウム血症を起こすことがあります。
    ■アナフィラキシーショックは稀におこる場合があります。原因は防腐剤などの添加物と考えられます。
    痛みが発生した場合はすぐに担当の医師・看護師にご相談ください。 また心配な点がある方は、担当医にご相談ください。 

     

    3-2:治療効果に一喜一憂しない

    耳鳴り治療は長期戦です。少し良くなっても、疲れやストレスで再び悪化することも多いです。よって症状の変化を一喜一憂するのではなく、楽しむくらいのつもりで治療に臨むようにしてください。
    大切なのは、耳鳴りをよく理解し、おおらかな気持ちで、あきらめず取り組むこと。耳鳴りの治り方は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、だんだんと改善していくと理解し、あきらめずに進んでいきましょう。

     

    治療指針4:内耳の血流途絶が耳鳴りを悪化させる

    内耳の血管は蜘蛛の巣のような細かく、ほんの些細なアクシデントで、内耳の血流は途絶えます。よって内耳、さらに小脳や脳幹に酸素と栄養を送るためには、血流の維持が必須となります。

    • 東洋医学:耳、脳の血流のキーになる椎骨動脈の流れの改善を図る。
      ・YNSA(針治療)+温熱療法:筋肉を緩め、血流を改善するだけでなく、感覚器としての耳治療もプラス。耳鳴りに有名なツボ足臨泣・中渚・翳風なども利用。
      ・ルンブルクス・ルベルス:漢方薬地竜の血栓溶解成分を抽出したもの。血流改善作用が科学的にも確認されている。
    • 西洋医学:内耳神経の血流をよくする末梢循環 改善薬の「酒石酸イフェンプロジル」(セロクラール)が一般的に使用される。当院は自費診療より基本的には処方しない。

     

    治療指針5:ヘルペス感染を見逃さない

    ヘルペス感染症が、耳鳴りを始め、めまいなどの耳疾患を引き起こしている場合があります。片側の突然発症で、「カタカタ」「コトコト」「キーン」などの音を起こす場合は、ヘルペス感染がないかどうか必ずチェックし、あれば抗ウイルス薬にて治療を行い、神経に悪さをしている帯状疱疹ウイルスを抑える治療を始めます。

    ヘルペス治療指針

    (ア) 血液検査:帯状疱疹ウイルス抗体価4unit(4倍)以上を陽性とする。
    (イ) 検査結果に1週間かかるため、難聴などの症状が出始めて1~2ヵ月以内の患者さんの場合は、ゴールデンアワー(神経がいったんダメージを受けても、そのダメージが修復可能な期間)と考えて、結果が出るのを待たず「塩酸バラシクロビル」(バルトレックス)を見切り発車的に7日分内服スタートする。
    (ウ) 基本量:塩酸バラシクロビルを1日2回(朝・夕の食後)あるいは1日3回(朝昼・夕の食後)、一般成人で1回につき1錠(500㎎)を服用。
    (エ) ヘルペス陽性の場合は合計2週間内服継続する。
    (オ) 神経のゴールデンアワーの時期は過ぎている場合:“見切り発車〟の治療は行わず、陽性確認後2週間投与を行う。

    *なお当院は自費診療のクリニックであり、また耳鳴りや難聴治療に医療保険でのバルトレックス処方は認められていないため自費になります。自費の場合、215.5円(500mg1錠)となります。
    なお、バルトレックスの副作用としては一般的に以下のようなものが報告されています。

    注意すべき副作用
    汎血球減少 、 無顆粒球症 、 血小板減少 、 急性腎障害 、 腎障害 、 精神神経症状 、 意識障害 、 昏睡 、 せん妄 、 妄想

     

    ヘルペスが陰性化しない場合

    (カ) 2週間服用→1ヵ月中断→1週間服用→1ヵ月中断をくり返す。

    *1ヵ月おきに必ず血液検査を行い、帯状疱疹ウイルスの抗体価をチェック。ウイルスの抗体価4unit未満になるか、もしくは4unit のごく近い数値に下がるまで、症状の変化を見ながら治療継続。なお陰性化まで数ヵ月~半年程度かかる場合も多い。
    *この治療により一時的に抗体価が急激に上昇する場合があるがその後下がるので治療後一時的に抗体価が上昇してもむやみに心配しない。

    耳鳴り発症より数年以上たっている場合

    (キ) 神経障害だけが残って、そのために症状が続いていると考える
    (ク) “ゴールデンアワー”を過ぎてしまうと、回復のスピードが非常に遅くなり、障害された神経が0.1㎜回復するのに、数年年かかるといわれる→治療に根気が必要となる

    アシクロビル治療における注意点

    • 腎臓の働きが弱っている高齢者などの患者さん:服用量を一般のほぼ半分で行う。
    • 脱水症状になると副作用が出やすくなるため、ふだんよりも多めに水分をとる。

     

    治療指針6:生活習慣を見直す

    • 薬品をチェック:ベンゾジアゼピン類、アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬などが耳鳴りを起こす代表薬。飲んでるお薬をチェックしましょう。
    • 耳付近に有害物質を使わない:例えば毛染めに含まれる有害物質やシャンプ―などの含まれる物質も耳鳴りの原因になる場合があります。よって特に耳周辺に使うものは自然のものにしてください。
    • 禁煙:ニコチンの働きで脳幹や内耳の血流量を減らし、耳鳴りを誘引することがあります。またタバコの一酸化炭素は、脳や内耳への酸素供給量も減らします。
    • 酒はできるだけ減らす:適量ならばストレスの解消に役立つが、飲みすぎはビタミンB1を減少させ、耳鳴り悪化の原因となります。
    • 香辛料を控える:神経を刺激して、耳鳴りの症状を悪化させることがあります。控え目がよいです。
    • カフェインを減らす:血管を収縮させることで内耳内の血流を低下させます。コーヒー、紅茶、お茶、コーラ、栄養ドリンクなど注意してください。

     

    治療指針7:難聴の改善

    耳鳴りの原因で多いものの一つに難聴があります。最も多いのが老人性難聴。加齢により耳の一番奥にある有毛細胞(特に高音を脳に伝える)が損傷した結果、音が聞こえにくくなります。
    これに対して脳は、耳から伝達される高音域の情報の減弱に対応するため、音を聞く部分の高音域の電気信号が弱くなっている分を補おうとして、脳の活性を高めます。つまり、難聴は脳を過度に興奮させてしまいます
    。 こうして脳が過度に興奮してがんばった結果、耳鳴りが生じるようになります。
    なお、難聴は、聞こえの悪くなっている音域によって、耳鳴りの音域も変わります。
    高音域が聞こえにくい人の場合:「キーン」という金属音のような、高音の耳鳴り
    低音域が聞こえにくい人の場合:「ゴーッ」とか、「ブーン」とかといった音
    高音域から低音域まで、全体的に聞こえが悪くなっている:「ザーッ」というテレビのノイズのような音や「ジーッ」と、セミの鳴くような音となります。

     

    自分でできる難聴チェック

    • 軽度難聴聴力レベル26~39dB
      1mの距離で話した声を聞くことができ、復唱できる。講演会や会議といった聞き取りの難しい場面で、聞き取リが悪いと感じる。
    • 中等度難聴聴力レベル40~69 dB
      1mの距離で話した大きな声を聞き、復唱することができる。雑音が鳴っていると、途端に聞き取りが悪くなる。
    • 高度難聴聴力レベル70~89 dB
      耳に向かって張り上げた声のいくらかを聞き取ることができる。1対1の会話でも不自由を感じる。テレビのボリュームが非常に大きくなっている。
    • 重度難聴聴力レベル90 dB以上
      耳元で張リ上げた声でも聞き取りづらい。

     

    7-1:補聴器リハビリ

    難聴(特に高音)により、脳が音を聞こうと努力しすぎることで、内耳の音を拾ってしまう「脳鳴り」の治療方法として補聴器リハビリがあります。補聴器を使って、届きにくくなった高音域の音を聞こえるようにすることで、脳の過活動を改善させ、耳鳴りを抑えようとする治療です。(難聴による耳鳴りの場合、認定補聴器技能者を紹介いたします)

     

    こもれびの診療所におけるグレード別耳鳴り治療

    「耳鳴り」と一言で言っても、症状は千差万別です。
    よって耳鳴り指標度質問票により、現在の耳鳴りを客観的に評価し、それに対しての治療を提案します。

    耳鳴り指標度に関する質問票

    耳鳴りに対して、あてはある番号に〇を付けて、最後に点数を合計してください。

    耳鳴り

    *合計得点     点

     

    耳鳴指標度を基本にした治療方針

    グレード1:軽症(0~16点)

    「いちばん困っていることは?」と聞かれたときの特徴
    「特にない」と答える人か、耳鳴りに対する漠然とした心配を抱いている。

    治療方針
    自宅で行えることをしっかりと行うことで対応する。

    グレード2中等症(18~48点)

    「いちばん困っていることは?」と聞かれたときの特徴
    「耳鳴りは重大な病気の前兆なのではないか」と考えている。
    「このまま耳鳴りがずっと続くのではないか」と不安や心配を訴える。
    耳鳴りで、イライラしたり、集中できないと感じたりしている。不眠症とまでいえないものの、ときに眠れない、寝付きが悪いと訴える。

    治療方針
    血液検査(ヘルペスウイルス抗体価、コレステロールや中性脂肪、貧血、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB12など)を行い必要な栄養素を補う。

    グレード3重症(50点以上)

    「いちばん困っていることは?」と聞かれたときの特徴
    耳鳴りに対する不安や心配が強まり、強いイライラや集中力の低下を感じている。
    耳鳴りのせいで眠れないと訴える。

    治療方針
    血液検査による対応。その他、積極的治療を行う。YNSA・こもれび水素TRT療法・耳鳴り点滴などを状況に合わせて選択する。
    難聴強い場合は認定補聴器技能者を紹介(補聴器は、買った後の調整が最も大切。きちんとフォローしてくれるところが必須)

    グレード4重症(50点以上+うつ症状)

    「いちばん困っていることは?」と聞かれたときの特徴
    耳鳴りに対する不安や心配が強まり、強いイライラや集中力の低下を感じている。
    耳鳴りのせいで眠れないと訴える。
    うつ的な傾向が現れ、「気分の落ち込み」や「耳鳴りのせいで、毎日が楽しくない」と訴える。うつの症状がさらに顕著になると、仕事を辞めたり、家に引きこもったりして、通常の社会生活ができなくなる。

    治療方針
    血液検査による対応。その他、YNSA・こもれび水素TRT療法・耳鳴り点滴などを状況に合わせて複数選択する。
    なお、メンタルの影響強い場合は、脳自律神経治療も併用する。
    難聴強い場合は認定補聴器技能者を紹介

    治療代金の目安及び回数

    A) 血液検査:1万円前後+サプリメント代(血液検査により変動)
    B) YNSA:11,000
    C) 耳鳴り難聴点滴:16,500
    D) 内耳神経低周波刺激:1100

    5回を1クールとする

    最後に

    耳鳴りは長年苦しんだ患者さんはもちろん、多くの医師たちも「治らない病気」と思っています。
    しかしお話してきたように、耳鳴りの本質を理解し、統合医療で臨めば、改善の可能性は十分あります。
    「耳鳴りをゼロにする」ではなく、「日常生活で気にならない音量まで小さくする」という「正しいゴール」を目指し、おおらかな気持ちで取り組みましょう。

     

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