総合便検査(+ゾヌリン検査) - Comprehensive Stool Analysis
- 細菌の情報~細菌の種類、量。悪玉菌に対して効果のある天然抗菌剤及び抗生物質の分析
- 真菌(カビ)の情報~真菌の種類、量。真菌に対して効果のある天然抗真菌剤及び非吸収性抗真菌薬の分析
- 消化と吸収の力~消化酵素(エラスターゼ)、脂肪染色(脂肪吸収と脂肪便を評価)、便中の筋繊維(消化不良の指標。腹部膨満、鼓張は、筋繊維の増加と関係)、便中の野菜繊維(不十分な咀嚼、早食いの指標)、炭水化物(炭水化物吸収不良を示唆)などの情報が得られる
- 炎症の有無~ラクトフェリンとカルプロテクチン(炎症性腸疾患と過敏性腸症候群の鑑別、また炎症性腸疾患治療の有効性の判定)、リゾチーム(消化管炎症の指標)、便中の白血球と粘液(細菌や寄生虫感染で検出)などの情報が得られる
- 免疫の状態~分泌型IgA(腸粘膜組織から分泌され、消化管粘膜を守る)により腸管の免疫状態がわかる
- 短鎖脂肪酸(SCFAs)による腸の状態の分析~胃腸内の善玉細菌叢による食物繊維最終産物。善玉細菌量と繊維摂取量の妥当性を反映
- 胃腸の健康状態を示すマーカー~便中の赤血球(寄生虫感染や細菌感染、炎症性大腸疾患と関係)、便中pH(善玉細菌叢繊維発酵に依存)などにより胃腸の現在の状況を判定
- 巨視的検査~色、固さなどを実際見ることで便の現在の健康度をチェック
- 自己免疫疾患:セリアック病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症など
- 代謝性疾患:肥満、2型糖尿病、冠動脈疾患など
- アレルギー性疾患:非セリアック・グルテン過敏症、喘息など
- 過敏性腸症候群
- 精神疾患:認知症、抑うつ、不安、統合失調症、自閉症など
過敏性腸症候群(IBS)、小腸内細菌増殖症(SIBO)、リーキーガット症候群(腸漏れ症候群:LGS)などの消化器障害、及び原因不明の関節痛、皮膚症状などにおける原因検索として、当院では便による総合便検査(Comprehensive Stool Analysis検査)を取り入れています。
一日の便を採取(寄生虫検査も含めたい場合は3日間の便の採便が必要)し、その検体を米国のドクターズデータ社のラボへ送ることで食物の分解・吸収機能、腸管の免疫・炎症の状態、膵臓酵素、腸管のpH、短鎖脂肪酸、善玉菌と悪玉菌のバランス、カンジダ菌、イースト菌等のバクテリアの状態、アレルギーの原因因子、腸管浸漏などを調べます。
この検査が検討される疾患や症状
消化器症状(IBS/SIBO/LGS)
自己免疫疾患
関節痛
炎症性疾患
皮膚症状
この検査で何を見ていくのか
+ゾヌリン検査(リーキーガット症候群検査)
ゾヌリン(Zonulin)とは小麦に含まれるグルテンやある種の腸内細菌により作られるたんぱく質です。この量が多くなると腸管上皮表面のタイトジャンクション(隙間を固く閉ざしているシステム)が崩壊して腸管上皮の透過性が増加、これによって体に入ってほしくない未消化の食べ物や毒物、化学物質などの通過が可能になり、リーキーガット症候群が発症することとなります。
本検査は便中のゾヌリン量も測定することで、さらにリーキーガットのリスク度も調べることが可能になっています。
*ただし便のゾヌリンの結果は、もう一つのリーキーガットを測るゴールドスタンダードな検査であるラクトース・マニトールテストとの整合性がまだ現時点では確定できていません。それに対して血清ゾヌリンの方はラクトース・マニトールテストとの相関性が認められます。
便中ゾヌリンは、さらなる研究が待たれているところであることと、また、便中ゾヌリン値は1日の間でも変動が激しく安定した値がとれないため、便中検査が陰性であるが、リーキーガット症候群が否定できない場合は、腸管バリアパネル検査をお勧めします。これであればゾヌリンだけではなく、その他リーキーガットの原因となるカンジダやLPSなども検査できるため、より精密な結果を導く出すことができます。
リーキーガット症候群の問題
リーキーガット症候群が発症すると、腸から漏れ出した物質により、免疫系の刺激により慢性炎症が起こり、様々な疾患が発症する可能性があります。また、腸内細菌が産生するある種の化学物質は、腸から漏れ出して血液中に入り、脳に作用して精神疾患の誘因となることもあります。
リーキーガット症候群が引き起こす可能性のある疾患
*リーキーガットについては「リーキーガット症候群」をお読みください。
検査にかかる費用
健康の鍵は、良い消化機能と、善玉菌の多い健全な腸管の状態です。
こもれびの診療所では、「すべての疾患は腸より始まる」として、消化器症状はもとより、様々な疾患の原因検索及び改善への情報摂取のためにゾヌリンを含めた糞便検査を推奨しています。
いろいろ検査したけど原因がわからない、病院でお薬をもらって治療を行ったけど改善しない、などありましたらぜひ一度、便検査をご検討ください。
料金:77,000