超音波療法

    超音波とは人間の可聴範囲を超えた高周波(2万Hz以上=1秒回に2万回以上の音波を放出する速さ)で、医科領域では1930年代から治療への応用が始まり、すでに100年近い歴史を持っています。
    主として筋ならびに関節組織の障害に対して適用し,疼痛緩和と関節部可動化の獲得を目的とします。なお治療に使用する周波数は1MHzあるいは3MHzの2種類が主流となっています。

     

    超音波の作用

    1)温熱効果

    超音波療法の熱の特徴は,ホットパックや遠赤外線など内部組織にまで達しない伝導加温ではなく,分子運動エネルギーを熱転換エネルギーに変換することで深部加温が可能である点です。
    超音波における深部加温熱の効果は以下の通りです。

    • 組織の伸展性を高める~特に靭帯、腱、結合組織など深部組織を得意とする。ただし、この時にしっかりと伸張運動を行わないと効果は半減するため、運動療法を同時に加えることが重要。
    • 血流の改善により、循環不全による疼痛緩和を行う
    • 筋紡錘の緊張をなくし、筋スパズム(肩こりなど)の改善を行う
    • 骨格筋の収縮機能を改善する、など

    2)非温熱効果(機械的効果)

    超音波療法には、温熱効果だけではなく、微細振動による細胞膜の透過性や活性度を改善させ、炎症の治癒を高める「マイクロマッサージ効果」もあります。
    この効果としては、細胞間隙の組織液の運動を活発にし、浮腫を軽減させる『キャビテーション効果』が有名です。

     

    超音波療法の禁忌

    • ~眼に超音波を照射すると組織の空洞化を起こす
    • 成長時の骨端~絶対的禁忌ではないが成長期には注意が必要
    • 生殖器官(特に睾丸)~温熱による無精子症などの可能性あり
    • 良性または悪性腫瘍~悪化の報告はないが、保証できないため
    • ペースメーカーや電子機器を生体に埋め込んでいる場合~機械を損傷する可能性
    • 脊髄疾患~椎弓接受術後や脊髄空洞症など神経系が骨に覆われていない場合は、影響不明なので禁忌と考えておく
    • 血栓症、動脈硬化症、乏血・うっ血のある組織や浮腫などの循環障害~いずれも放熱が不十分で加熱の危険がある
    • 結核、感染症などの疾患
    • 急性炎症部位(火傷、急性炎症のある関節、骨、軟部組織の化膿などの感染のある場所等)

    *本治療は医薬品医療機器等法上の承認を得ていないため、医療保険制度は使用できません。自費診療となります。
    なお、海外ではスポーツ外傷、疼痛疾患の治療としては長年使用されており、数多くの臨床データがあります。また上記の注意事項を厳守する限り、重篤な副作用の報告はありません。

     

    超音波治療器

    当院で利用している超音波治療器「ソニックタイザー SZ-100」には以下の特徴があります。

    ポイント1:安全性

    超音波治療器は、不均等なプローブで治療すると局所的に強い超音波が放射され、生体組織を損傷するおそれがあります。しかしソニックの場合、一般的にBNR(ビーム不均等率)5.0以下で良好と言われる中、2.9以下の均等な超音波放射により、安全に治療できます。

     

    ポイント2:確実に超音波を患部に当てられる。

    超音波治療は低周波治療などに比べて体感が少なく、プローブヘッドと生体の接触状態が不正確になると十分な治療効果が得られないため、正しく治療できているかどうかが分かりにくいという欠点がありました。しかしソニックは、接触を示すイルミネーションを採用しているため、超音波の放射が適切に行われているかどうかを視覚的に判断できます。
    またいろいろな症状や部位に対応できるようプログラムが組まれており、血流の改善・増大、 疼痛の緩和、 組織の伸展性の向上、マイクロマッサージ効果、 細胞膜の透過性や活性度の改善などの治療効果が期待できます。

     

    ポイント3:1秒間に数百万回の高速度ミクロマッサージ作用

    超音波が身体の深部に進むにつれて高速の振動が縦に伝わり、効果を発揮するのですが、ソニックは1秒間100万回(1MHz)/300万回(3MHz)の二段階の高速度振動により、温熱だけではなく、ミクロマッサージ効果により、手技によるマッサージの数倍の圧力を、深部に直接与えることが出来ます。
    また強度(振幅)もダイヤルで一瞬に変更できるため、必要に応じて簡便に高いエネルギーを与えることで速やかな改善を図ることができます。なお強度は振幅(W)/㎠で表しますから、3つのプローブの中でも、面積の小さいプローブの方が強いエネルギーを放射することができます。

     

    ポイント4:連続超音波、パルス超音波の選択ができる。

    連続超音波を選択すると、治療の100%は温熱効果のために用いられます。
    これに対してパルスモードを選択すると非温熱療法がプラスされることになります。
    なお発症期、治療目的、多種の症状により、パルス時間を5%・10%・20%・30%・40%・50%と細かく調節することが可能です。つまり温熱効果と非温熱効果のどちらを主力にするかを選択することができます。

     

    当院での連続とパルスの簡単な使い分け

    連続超音波選択の場合

    最大の目的は「組織温度の上昇」です。
    通常軟部組織の短縮を起こしている部位は、関節可動域の制限、疼痛、機能制限がおこっています。これは関節包、周囲の腱、靭帯の短縮がその原因となります。これに対して超音波の熱は、関節包、腱、靭帯まで浸透し、組織温度を上昇させ、伸展性を高め、同じ伸張力に対する組織長の回復が増加し、また同時に組織損傷のリスクを減少させます。よって、このような目的の場合は、連続超音波を選択します。

     

    パルス超音波選択の場合

    A)「疼痛制御」
    超音波は、疼痛の伝達や知覚の変化、または疼痛の原因を変化させ疼痛制御すると考えられています。温熱作用による皮膚温度受容器の刺激、軟部組織伸展性の改善、組織温度上昇、または非温熱作用による神経伝達変化、炎症の改善などがあるためです。

    B)外科的皮膚切開創の治癒
    超音波療法は外科的切開創の治癒や、その処置に伴う疼痛緩和、強度のある修復組織の発達を促進するという研究結果があるため、それをもとに、術後の瘢痕の疼痛緩和を目的に使用します。
    また、この他にも腱・靭帯損傷後の治癒促進や炎症の軽減を目的としたり、骨折治癒促進を目的に用いることもあります。 なおほとんどのプラスティック製品は超音波を吸収しやすいので、骨セメントやプラスティック製の人工物に連続波は直接照射できないので、人工物がある場合は必ずお伝えください。

    C)顎関節症の可能性
    欧米では,顎機能異常に対して超音波治療の効果に関して経験的に認められています。最近,我が国においても顎機能異常患者に対して有用性が報告されつつあります。よって当院でも超音波の可能性ありと考えて、患者様同意のうえで試みています。

     

    特に関節、靭帯を得意とする超音波治療器、ぜひお試しください。

     

    価格

    治療家施術:3300/1部位
    自己施術:1650/1部位(やり方はこちらで指導します)

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