高濃度ビタミンC点滴療法

    ビタミンC点滴療法

    「超高濃度ビタミンC点滴療法 出版」「希望の抗がん剤点滴ビタミンC 河出書房新社」などの作者であり、私の前職の院長である水上治先生より、ビタミンC点滴治療を10年学んできました。

    現在、それを応用して、様々な疾患に利用しています。

    高濃度ビタミンC点滴療法の対応疾患とリスク

    がん対策
    副腎疲労対策
    美肌対策
    感染対策
    リスクと副作用

    がん対策

    ビタミンC点滴療法

    50gから75gと大量のビタミンC点滴によって、体に過酸化水素(H2O2)という活性酸素を発生させ、がん細胞を殺傷するというものです。
    なお、ビタミンC点滴は、抗がん剤のように正常細胞を破壊することがないため、安全な抗がん剤療法と言われています
    (水上治、ビタミンとがん、Modern Physician, 37: 1040-1043, 2017)

    米国を中心に、30ほどの大学病院やがん専門病院で膵臓癌、大腸がん、肺癌、乳癌、悪性リンパ腫などの臨床試験が実地されており、今後のEBM確立が期待されています。

    抗がん剤との併用で、副作用を減らし、より元気に闘病が可能です。また、抗がん効果を補強する可能性を示唆する論文も多数発表されています。

    治療回数
    がんにおいては基本的に週1~2回、最低合計30回位が一つの基本となっています。

    副腎疲労対策

    ビタミンC点滴療法

    朝起きられない・夜眠れない・立ちくらみ・甘い物の強い欲求・性欲の格段な低下・アレルギー症状・集中力低下・神経過敏・慢性的な肩こり・筋肉痛

    これらの症状のうち2つ以上あれば、副腎疲労が疑われます。

    副腎とは、ホルモン産生臓器で、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾール、性ホルモンなどを産生することで、血圧維持、血糖維持、免疫バランス、性ホルモンのサポート、体温の微調節、炎症を抑える、体内時計のコントロール、ストレスの抑制など多数の仕事をこなしています。そのためこの分泌がうまくいかなくなることで、上述の症状が出るようになります。

    これに対する治療として使われる一つがビタミンC点滴です。

    副腎は人間の臓器の中で最もビタミンCを必要とする臓器で、血管がレモン1個分のビタミンCを必要とするのに対して、副腎はなんとレモン150個分必要とします。
    よって、ビタミンCを点滴で投与すると、副腎に大量に取り込まれ、これにより副腎機能の改善が期待されるのです。
    投与量はがん治療の半分の25ℊ程度で十分と考えます。

    治療回数
    副腎疲労は食事を中心に様々な治療を組み合わせていくため、回数の設定は難しいですが、当院では1~2週間に1回程度から始め、その後数回行い、効果を判定したうえで継続するかどうか判断します。

    美肌対策

    私たちの肌が黒くくすんでいく最大の原因は紫外線です。紫外線により以下の機序で皮膚の状態は悪化していきます。

    • ①紫外線に暴露された皮膚は活性酸素種を生成、それに伴い炎症、酸化が発生、メラノサイト活性化因子放出が起こる

    • ②メラノサイト活性化因子によりメラニン産生色素細胞内のメラニン合成酵素チロシナーゼが促進、黒いメラノソームがどんどん生成される

    • ③黒く成熟したメラノソームが表皮へ大量移動していく

    • ④⑤成熟メラノソームが入り込むことで表皮細胞のターンオーバーが低下、また表皮細胞に居座ることでシミ・色素沈着がおこる

    ビタミンC点滴療法

    このような機序で悪化した皮膚を助けてくれるのがビタミンCです。
    ビタミンCは

    • 1)炎症、酸化、メラノサイト活性化因子放出に対して抑制作用
    • チロシナーゼ活性を阻害

    という2つの機序阻害作用を持ちます。
    以上より、ビタミンC点滴は美肌に非常に寄与する点滴となっています。

    治療回数
    25ℊを投与します。
    回数は多い方が効果は高いですが、金銭的なものもありますので、その他のものと組み合わせながら状況を見て判断します。

    感染対策

    ビタミンCは風邪に効く、と聞いたことがある方は多いかもしれません。
    それらの根拠となっている論文をいくつかご紹介致します。

    1. ビタミンCの摂取量を増やすと、ウイルスなどをやっつけてくれる白血球の遊走性が亢進する(アンダーソン 1981、1982)
    2. ビタミンCの摂取量が多い程、風邪症状が軽減する(Douglas 30のスタディレビュー 2000)
    3. 1日3回、1000㎎のビタミンC摂取、風邪症状が出たら1日6回ビタミンCを摂取したグループは摂取しなかったグループに比べて85%風邪症状が減少した(Gortonの二重盲検試験 1999)
    4. 重症の敗血症の患者に対し➀従来の治療、➁従来の治療+ビタミンC点滴併用、の2つのグループで比較検討した。その結果➀の院内死亡率40.4%に対して、➁のビタミンC併用グループの死亡率は8.5%と大幅に減少していた(イースタンバージニア医科大学救命救急医療部)

    これらを踏まえ、感染症に対して、ビタミンCは非常に期待できる治療と考えます。

    治療回数
    通常は内服で対応します。感染の症状が強いときなどは点滴をご提案いたします。

    リスクと副作用

    薬剤に関係なく点滴治療として針を静脈に穿刺するので、局所出血や感染の可能性があります。
    なお、高濃度ビタミンC点滴は保険診療で認められていないため、厚生労働省における薬機法上の承認は得られておらず日本製がありません。よって輸入製剤(RBK CARE社製)を使用しています。ただし、ビタミンC点滴においては海外において様々な臨床試験が行われ、論文として公表されていますし、これまで治療を中止せざるを得ないような副反応の報告はありません。
    また、ビタミンCそのものはすべての人間の体内にあるものですからアレルギーを非常に起こしにくいとされます。
    ただし、原料がトウモロコシであり、トウモロコシにアレルギーがある場合、湿疹が出る人が1000人に2~3人程度いると考えられています。

    注意すべき人

    1)むくみなどある人
    ビタミンC製剤の中にナトリウムが入っているので、むくみや腹水、胸水のある人は悪化する恐れがあります。

    2)糖尿病にて簡易血糖測定器を使っている人
    ビタミンCは糖と分子構造が類似しているため、簡易血糖測定器(指を小さな針でパチッと突き少量の血液で血糖を見るタイプのもの)で測定すると偽高血糖(血糖を上げるわけではありません)を示すことがあります。またその効果は投与後8~12時間程度続く場合があります。
    よってC投与後12時間は簡易血糖測定器では正確な値は見ることができないことをご理解ください。
    なお、簡易血糖測定器ではなくヘキソキナーゼ法(病院で採血にて行うタイプのもの)なら正確な測定は可能です。

    必要検査項目

    G6PD検査(検査の項目をご覧ください)

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