腸管内善玉菌群移植療法(善玉菌カクテル注腸)
- 脂質やたんぱく質に偏った肉食中心の食事
- 睡眠不足、大量飲酒、運動不足などの生活習慣の乱れ
- 化学物質、食品添加物の摂取
- 抗生物質、胃薬など様々な薬品の使用
- 加齢(一般に60歳以降では善玉菌が極端に減少)
- 1種類のみを大量に投与すると、その菌は「バクテリオファージ*」という現象により腸内で失活してしまう。
- 健康な人の腸内フローラは不健康に比べて菌類バリエーション多い。
- 腸炎疾患があると、乳酸菌の菌種が極めて少なくなる。
- 腸壁の強化作用、腸透過性の低下作用などによるリーキーガット症候群の改善。
- 便秘・腹部膨満・下痢など腹部症状の改善。
- 腸内有害細菌抑制、腸内細菌のバランス回復など腸内フローラの安定
- 脳の成長ホルモンであるBDNF(脳由来神経栄養因子)増加による脳システムの改善
- キラー細胞活性化、免疫調整作用などによる免疫システムの改善
ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌群(腸内細菌叢や腸内フローラとよばれます)が生息しており、善玉菌、悪玉菌、中間菌(日和見菌)の3つのグループで構成されています。
腸内細菌の中で一番数が多い菌は中間菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数で、これらの菌は互いに密接な関係を持ち、バランスをとっています。
しかし近年、以下のような影響により、悪玉菌や真菌(カビの一種)などが増殖し、腸内環境が著しく悪化していることが問題になっています。
腸内環境の悪化は、IBS(過敏性腸症候群)、SIBO(小腸内細菌増殖症)、LGS(リーキーガット症候群)などの消化管疾患はもちろん、自己免疫疾患、肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症など様々な疾患の発症にも関わることが報告されています。よって腸は、全身の健康維持にとっても必要不可欠な臓器といえます。
推奨検査
・総合便検査(+ゾヌリン検査)
・腸内フローラ検査
などの検査により、まずは腸管内の状態を把握し、その後の治療方法を決定していきます。
こもれびの診療所における腸管内善玉菌群移植療法のポイント
「腸は人間にとっての木の根であり、すべての治療の基礎である」
これが医師としての長い経験で感じたことであり、また近年の多くの論文からの答えでもあります。
では腸をどのように改善に導くか?
注目した一つが糞便移植(Fecal Microbiota Transplantation: FMT)です。これは健康な人の便に含まれている腸内細菌を病気の患者さんに移植するという治療法で、腸から全身を改善させようとする画期的かつ可能性のある治療として注目されています。
しかし最大の問題は料金で、1クール6回、150万円前後という高額な治療費が、導入を躊躇させました。
ほかに糞便移植に変わる可能性のある治療はないか。
そこで出会ったのが「プロバイオティクス浣腸」でした。
これは、腸の専門家であり医学博士のDavid Perlmutter先生の提唱している方法で、善玉菌を直接大腸内に浣腸のように入れることで、腸内フローラの改善を図るというものでした。
私は「こらならFMTのような効果が狙えるのではないか」と考え、早速自分で試してみました。その結果、腸がとても喜んでいる感じがしました。さらに希望のスタッフと、同意してくださった患者さんにも試してもらったのですが、皆さん、お腹が今までと違う、とても良い感じがする、生まれかわった感じだ、とおっしゃってくれました。
私は、自分を含めた患者さんたちの感想や効果、またもちろんですが、安全であるこの治療に、高い可能性を見出しました。
なお、その後の経験により、David博士をベースにしながら、こもれびオリジナルとして2つのポイントを大切にしています。
ポイント1:菌の種類を増やす
当初5種類程度で始めた移植でしたが、現在ではビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など合計14種もの善玉菌をカクテルにして大腸内に移植する方法を選択しています。
種類を増やした理由は次の通りです
以上を踏まえて、菌の種類は可能な限り増やして行っています。
*バクテリオファージ:多種多様の細菌のいる腸内細菌叢に1種類の菌のみ大量に入れると、その腸内細菌に対してのみ反応するウイルスが増えて、その菌は消去されるという現象。Killer the Winner仮説ともいわれる。
ポイント2:投与量を増やす
当初200億で始めましたが、現在では1兆~2兆個まで量を増やす選択肢を作りました。というのも約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌に影響を与えるには、ある程度の量が必要であると考えたからです。
よって、投与量を3段階設定し、症状や状況を伺いながら、投与量や投与間隔などを個人の症状に合わせて行うようにしています。
善玉菌群の効果(論文より)
腸管内の改善
その他
腸管内善玉菌群移植療法のやり方
こもれびの診療所では、腸管内善玉菌移植療法のみを行うことは稀で、腸管リフォーム療法と、善玉菌群移植療法のセットを基本にしています。
なぜなら、私は腸管を「腸内細菌が住む家」だと考えているからです。
腸内細菌の家である腸管が、活性酸素だらけで血流が乏しく、栄養がいきわたらない状況であれば、どれだけ腸管に善玉菌を大量に送り込んだとしても、そこに定着してくれることは困難であると考えるからです。よって、善玉菌の移植には、基本腸管の立て直しを行う「腸管リフォーム療法」を併用することを提案しています。
なお、善玉菌を肛門から投与するにあたり、大腸全てにいきわたらせるために、善玉菌群投与後、体をくるくると動かしながら肛門から上行結腸の入り口まで菌を逆流させる方法をとります。

以上にて、善玉菌群を大腸内にいきわたらせ、腸の安定を図ります。
治療間隔と治療回数
腸管内善玉菌群移植療法単独の場合
★1クール:10回
初回~5回:1週間に1回程度
6回~10回:2週間に1回程度
この間、食事指導やストレス対策などをプラスします。
腸管リフォーム療法をプラスする場合
★1クール:5回
初回~5回:1週間に1回程度
副作用
大きな副作用を認めることは基本ありません。
ただし、腸の手術歴がある場合などは、慎重に問診を行い、場合にとっては行えないこともあります。
値段
腸管内善玉菌群移植療法(単独)
スタンダードプラン:善玉菌群 13種類 200億個:6,500+税
プレミアムプラン:善玉菌群 14種類 1兆個 :20,000+税
スーパープレミアムプラン:善玉菌群 15種類 2兆個:30,000+税