お腹外来(下痢・お腹が張る)

    病院をはしごしても、下痢・腹痛・お腹の張りの原因がわからない、治療方法がないあなたへ

    「だめだ、電車に乗れない」

    通勤のための最寄駅で、腹部に鋭い痛みを感じトイレに駆け込みました。
    激しい下痢と腹痛のため、どうしても電車に乗れることができなかったのです。

     これが、私が自分の抱える疾患「過敏性腸症候群」と本気で向き合うきっかけとなった出来事でした。

     振り返れば、子供の時からお腹の弱い子供でした。
    祖母から、下痢に効果のある置き薬をもらっては、よく飲んでいました。
    その後も、テストの途中でトイレに行ったり、大きな行事の前になると、緊張でお腹を壊したりしました。
    ただ部活、勉強、仕事などの妨げになるというほどの事はなく、日常生活は問題なく過ごせていました。

    ところが、数年前、九州から東京に統合医療という分野の勉強するために家族で上京してから、徐々に、私の体に大きな変化が表れるようになりました。
    統合医療とは、さまざまな医療を融合し患者中心の医療を行うもののことです。治療手段としては科学的な近代西洋医学はもちろん、漢方や鍼灸などの伝統医学、ハーブなどの補完・代替医療、更に経験的な伝統・民族医学や民間療法などまで組み合わせたものの総称です。

    なぜ、統合医療なのか。それは、子供のころの体験が大きく影響しています。
    私は、プロ野球選手を目指す夢見る野球少年でした。しかし、技術のない中ボールを投げすぎ、さらに痛みを我慢して投げ続けたために、気が付いたときは、屈曲制限と痛みでボールを投げることができなくなっていました。それから様々な整形外科、鍼灸などの治療を2年近く行いましたが改善は見られず、最後に行った整形外科ではサッカー選手になる様に指導されました。そう宣告された夜、号泣したことは今でも覚えています。そして治癒を半ば諦めていた時、山重先生に出会いました。先生は、精神科・内科の医師でしたが、統合医療も勉強されていた方で、最後の望みを託しての受診でした。

    診察は鍼と電気を組み合わせたとても不思議なものでした。

    治療時間はほんの数分。そしてその後「曲げてごらん」の声。疑心暗鬼しかなかった私でしたが曲げた瞬間、驚きました。これまで2年近く90度以上曲げることができなかった肘が痛みなく曲がり肩に手が届いたのです。その時の感動と興奮は今でも鮮明な記憶となっています。そして感動を与えてくれた山重先生の医療スタイルが、私の目指すべき医師像となりました。

    そして子供のころからの夢を実現するための一歩が、東京への転居でした。
    しかしこれは同時に、私にとって苦しみの一歩にもなりました。

    統合医療を勉強し始めてすぐ、私はこの学問の果てしなさを知りました。わかってはいたつもりでしたが、改めて西洋医学はもちろん、伝統医学から世界中の民間療法と、要求されるあまりにも膨大な知識量に私は圧倒されてしまいました。また、この分野の成功の難しさも同時に知りました。日本は国民皆保険で、医療費は3割以下、条件に応じては全額無料の人たちもいる医療費が非常に安い国です。その中で、西洋医学以外、つまり保険が使えない、場合によっては100%自費が求められる統合医療を成功させることは非常に難しく、実際にこの道を志して成功している医師はほとんどいないという現実でした。

    普通に医師として一般病院に勤務していれば、お金も社会的地位も保証されます。それを捨て、日本の医療制度において成功者がほとんどいない統合医療という分野へのキャリアチェンジは、自分の夢であったはずなのに、日に日に不安に代わっていきました。

    「本当にこの道を進んでやっていけるだろうか」
    「家族を路頭に迷わせることはないだろうか」
    不安が何度も頭を廻りました。そして、その不安が、「頑張るしかない!」「絶対に成功させなければ!」という強いプレッシャーとなって私の体にのしかかりました。

     そのような中、思いがけないトラブルが私と家族を次々と襲いました。
    上京してすぐ、夜中に階段から転落し膝の靱帯を損傷。私は1か月の松葉づえ生活を余儀なくされたのです。まだ満員電車での通勤に慣れていないのに、松葉づえは大きなストレスでした。
    さらに、私たちの住んだ家の目の前のアパートに、子供嫌いで、近隣の住民をことごとく追い払い続けたクレーマーがいることが分かったのです。子供が3人いる私たち家族は特に目をつけられ、理不尽で心ない言葉を投げかけられるなど、子供たちを含め、私たち家族は皆、心に大きな苦しみを負いました。
    私たち家族は引っ越しをして、今は自然も多く、近所の人たちもよい人ばかりの環境で暮らせていますが、上京直後のこの体験は、目に見えない傷となって私の心に残りました。

    その後、電車での通勤にもなれ、仕事にも落ち着いて取り組めるようにはなったものの、今度は統合医療という分野の厳しさ、果てしなさ、この道で医師として経済的に自立することの難しさが、知れば知るほど身に染みてきました。私はその不安を振り払うために、さらなるスキルアップを目指し、学校、塾、学会、セミナーと、ありとあらゆるものに参加し、休日のほとんどを勉強に使いました。空いた時間があればできる限り論文や関係図書を読むことに費やしました。

    今思えば、私は張りつめた糸のような精神状態でした。

     そのような余裕のない毎日を送る最中、さらに大きな出来事が起こりました。
    妻の妊娠です。それは、もちろん私にとっても家族にとってもうれしい報告でした。それなのに、余裕のない毎日を送っていた私には、この出来事が、プレッシャーにもなりました。
    「この子たちを、新しく生まれてくる子供も、絶対不幸にしてはならない。もっともっと頑張って成功しなければ」
    しかし、そのような思いとは裏腹に、悪阻(つわり)のせいで妻が体調不良となり、私は土日を自由に使うことができなくなりました。
    本来なら、家族との時間を楽しむべきだったのに、その時の私は、それができず、これも不安の材料にしてしまいました。
    「このセミナーに出たいけど出られない。多くの先生たちは学んで先に進んでいるのに、自分だけ置いて行かれてしまう」
    という焦りに襲われていたのです。

    そのころ、もう一つ大きな出来事がありました。私が中心になって、新しい医療従事者のための学会を立ち上げることになったのです。
    事務局の立ち上げに始まり、口座の作成、会則作り、多くの先生たちとのやり取りなど、日常の勤務を行いながらの作業はとても大変で、さらに大きな負荷を私に与えました。
    そんな、心の糸が伸びきったような状態が続く中で、気がつけばある症状が、私に表れていました。

    下痢です。

    「あれ、またお腹が痛い」
    トイレに駆け込む回数が日に日に増えていきました。
    また、このころよりお腹の膨満感にも苦しめられました。特にお昼後の診察ではお腹の張りが強く、カイロをお腹に張りなんとか乗り切る、という日々が続きました。

     これに対して食事をセーブしたり、消化の良い食材を選んだ食事に変えたりしたのですが改善は乏しく、気がつけば、常にお腹の調子を気にしている自分がいました。
    「何かおかしい。こんなことは今までになかった。大丈夫だろうか」
    そのような心配が日に日に強くなっていく中、とうとう、通勤すら思うようにできなくなってしまったのです。
     その時になってやっと、私は自分の症状と向き合いました。

    「この症状を何とかしなければ、私自身がだめになってしまう」

    医師として、自分自身をあらゆる角度から診察しました。
    そして自分自身を「過敏性腸症候群」と「SIBO」と診断しました。
    ただし過敏性腸症候群は、西洋医学的には完治のための確立した治療はなく、症状を抑える方法しかありません。
    またSIBOは日本の保険診療の中では病名すらありません。だからこそ、私自身が勉強してきた統合医療の出番でした。

    私は、消化器内科・心療内科などの西洋医学、漢方・お灸・針・瞑想などの東洋医学、サプリメント・食事療法・運動療法などの補完代替医療のすべてを駆使して自分の下痢と向き合いました。

    そして、約1年半。通勤電車にさえ乗れなかった私は、飛行機に乗って学会に参加できるまでに回復したのです。

    私と同じように、この疾患で苦しんでいる人は世界中にたくさんいます。米国では人口の14%、日本でもほぼ同様の13.1%が過敏性腸症候群で苦しんでいると報告されています。(H. Miwa , et al.2012)つまり、日本国内だけでみても1000万人以上が過敏性腸症候群で、お腹の苦しみを抱え、かた過敏性腸症候群の80%以上がSIBOを併発していると報告されています。
    その苦しみを知っている私だからこそ、皆さんをなんとか楽にしてあげたい、その思いで開業したのが「こもれびの診療所」です。

     当院でおこなっている治療は、突如襲ってくる腹痛、下痢、腹部膨満に対して医師として、そしてそれに苦しんだ患者として戦った私のカルテであり、処方箋です。
    またこの処方箋は、10年ブラッシュアップし続け、そして生まれたのが、「こもれび式治療法」です。

    現在は、北は北海道から、南は福岡まで、日本中からお腹の困った方たちがたくさん訪れてくれています。
    そして多くの笑顔が見られるようになりました。
    「私と同じ苦しみを抱えている患者さんに笑顔になってもらいたい」
    その思いと効果が詰まった治療です。
    ぜひ、一人でも多くの人にこの治療方法を知り、体験してほしいと心より願っています。
    大切な人たちと共においしいご飯を食べる、旅行に行く、通勤する、そんな普通の毎日があなたに訪れますように祈って。

    追記:当院のお腹外来では、
    1)通常の保険診療では寛解に至るのが難しい「過敏性腸症候群(IBS)」
    2)日常生活を妨げるほどのお腹の張りやガス腹を引き起こすにもかかわらず保険診療に病名が存在しないため、通常の病院では治療対象とならない「小腸内細菌増殖症(SIBO)」
    3)お腹の張りや下痢などお腹の症状に加え、不眠症、記憶力低下、不安感、疲労感、口臭、神経過敏、食欲低下、じんましん、喘息、アトピー性皮膚炎など、様々な症状を引き起こすリーキーガット症候群(全身腸漏れ症候群 LGS)
    の3つをメイン治療疾患として対応しております。

     

    検査

    まず患者様の現在の状況を把握するために、詳しい問診と検査を行います。
    ウェブ問診(メルプ)に、お腹を含めて、現在の状況に対してかなり詳細に答えていただきます。お手数ですが、診断・治療にとって非常に重要な情報となりますので、そちらの記載をお願いいたします。
    その問診票と実際の診察の後、さらにいくつかの検査を行います。
    当院は、自費診療であり、米国に提出するものや、ルクセンブルクのホストコンピューターと通信でつないで行う検査など、通常保険診療では行えないものがベースとなるため、検査項目が増えるほど、当然ですが料金も加算されます。
    ただし、医師にとっては、これらの検査が増えれば増えるほど、患者様を正確に診断し、治療を決定するうえで、より詳細な計画表を作ることが可能になります。
    このジレンマを抱えつつ、ここでは、「なぜ検査を行う必要があるのか?」、「数が増えるとどのようにいいことがあるのか」、「できるだけ検査を少なくしたいと考えると、自分の症状にベストだと思われる検査はどれか」
    についてお話させていただきたいと思います。

    検査の意味
    医療の目的は、患者さんの困った(ここではお腹の張りや下痢)の原因を考え、治すことです。
    それにおいて必要になるのが「検査」です。
    検査の意味は、登山に例えるとわかりやすいかもしれません。
    登山の目的は「山の頂上に登る」、これは治療でいえば「患者さんの困った症状が改善し元気になる」にあたります。
    それにおいて、知らなければならないことは2つ、「今、山の何合目にいるのか?」と「どのルートを使って登るのか?」という事です。

    ■「今、山の何合目にいるのか?」
    お腹の問題を治療するにあたり、お腹だけを考えればよいのか、それともストレス(脳や自律神経)や食事・睡眠(生活習慣)まで考えないといけないのか、つまり検査(問診を含む)は、患者さまの現在の状況(スタート地点)を教えてくれます。
    この「今、患者さんはどのような状態なのか?」を知るために、検査はとても重要な意味を持ちます。

    ■「どのルートを使って登るのか?」
    検査のもう一つの役割は「病気の治し方の方針」を立てる事です。
    小腸に菌がたくさんいる、カビが多い、ストレスで腸が動いていない、副腎疲労やミトコンドリア機能不全でエネルギーが不足している、これらの情報が多ければ多い程、目の前の山(=患者さんの治す順序)を左に迂回するのか、右に迂回するのか、それとも遠回りだけど一回下って裏側から登るのか、最短ルートを選択するのか登り方(治し方)が全くかわってきます。
    つまり、検査が増えれば増えるほど、その患者さん一人一人のマニュアルではない、ベストな治療方法がわかるということになるのです。

    ■ベストな検査を選択する

    上述のように、検査は増えれば増えるほど私たちのとっても患者様にとっても治療の方向性を決定するにはベターです。ただし繰り返しになりますが、検査項目が増えれば患者様にとって「金銭」というデメリットが発生します。よってそれぞれの検査のメリット・デメリットを考慮し、患者様と相談の上、一人一人のベストを共に考えたいと思います。
    ひとまずここに、お腹の問題において行われることがおおい検査の一覧をお示しします。

    検査名

    メリット

    デメリット

    値段(税別)

    SIBO呼気検査(呼気ガス)
    対象:SIBO

    SIBOかどうかの判定ができる。また自宅で行えるため、来院しなくても判定可能

    米国で行うため、23週間程度結果が出るまでかかる

    50,000

    ②有機酸検査(尿)
    対象:SIBOIBSLGS

    腸管内の菌の種類がカビも含めてざっくりわかる。その他ミトコンドリア機能、栄養状態、解毒機能、炎症なども見ることができる。自宅で行えるため、来院しなくても判定可能

    米国で行うため、23週間程度結果が出るまでかかる(尿)

    50,000

    ③総合便検査(便)

    対象:SIBOIBSLGS

    便を見ることで菌の種類、カビの種類が詳細にわかる。また消化能力や腸の炎症状態、免疫状態、悪玉菌等に使える治療薬の感受性などもわかる。またリーキーガット症候群かどうかの推定も可能。自宅で行えるため、来院しなくても判定可能

    米国で行うため、23週間程度結果が出るまでかかる(便)

    70,000

    ④血液検査(血液)

    対象:SIBOIBSLGS

    日本で行えるので速やかに結果が出る。消化能力、ミトコンドリア機能、ミネラルの一部、ビタミンの一部など、ある程度、また広範囲に確認できる

    血液検査を分子栄養学的にみるため、一般の評価と異なる。またあくまでも推定で、正確な評価ができるわけではない。来院が必要となる。

    20,000前後

    ⑤オリゴスキャン(光)

    対象:SIBOIBSLGS

    体内のミネラル量(20種類)と有害金属(12種類)の検査が瞬時にわかる。血液を必要としない検査なので痛みが一切ない。

    腹部関係においてはあくまでも補助診断となる。来院が必要となる。

    15,000

     

    ●お腹の治療はお腹だけにあらず
    「脳腸相関」「腸はセカンドブレイン(第二の脳)」など言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?
    これは腸は脳と強く相関がある、ということを意味する言葉なのですが、実際、IBSやSIBOにおいては、特にこもれびの診療所に受診されるような方は、これまで様々な病院に行かれるも改善が乏しく、長期の苦しみと共に来院されることがほとんどです。よって、消化管はもちろんですが、それにかかわる自律神経、脳の両方もひどくダメージを付けている場合がほとんどであり、その治療には、脳科学、分子栄養学、東洋医学、心理学などの知識と経験が必要となってきます。

    例えば、分子栄養学から脳、自律神経の治療を行う場合、ピラミッドが示す1)低血糖、2)炎症、3)デトックス、4)ホルモン、5)エネルギー、6)脳の6つの治療は必須となります。また脳科学的に治療を行おうとすると、脳および自律神経の解剖学的な位置に鍼や電気、磁気などを使った治療を行うことになります。
    たしかに、これらの治療は大変なのですが、逆に言えば、これらの治療無しにIBSやSIBOの改善もない、というのも真実です。
    大丈夫、あなたの苦しみの治し方はきっとこもれびにはあります!!

    1)腸を治す

    突然ですが「リフォーム」と「リノベーション」の言葉の違いをご存じですか?
    「リフォーム」は「悪い状態からの改良」を意味し、基本的に壊れていたり、老朽化したりしている建物を部分的に直すことで、マイナスをゼロの状態に戻すことを意味します。
    これに対して「リノベーション」とは「革新、刷新、修復」を意味し、リフォームにプラスアルファし、新たな機能や価値を向上させることで、元のものよりさらにいいものに変えるという事を意味しています。
    つまり、腸をもとに戻すのが「リフォーム」、これまでの腸をさらに良くするのが「リノベーション」です。
    これを踏まえて、腸治療をご説明いたします。
    私は腸管を家、腸内細菌を住民と考えます。そして、この両方がベストな状態になったとき、腸は健康になると考えます。
    よってまずは、家である腸管をオゾン注腸療法と交流磁気治療を使って修復する「腸管リフォーム療法」を行います。これは、血流改善、活性酸素除去、免疫安定、抗炎症、自律神経調整などの作用を持つ治療法を組み合わせたもので、これにより「腸管の改善=リフォーム」を目指します。
    次に行われるのが、善玉菌群の移植、「腸管内善玉菌群移植療法」です。リフォームされた腸管に、多種類の善玉菌を大量に注入することで、腸管内の腸内細菌のバランスを善玉菌優位に導き、腸の状態をより良い状態に導いていきます。
    リフォームされた家(腸)に、良い人達(善玉菌たち)ばかり住み着かせることで、腸をさらに良い状態にする、つまり「リノベーション」を目指すのがこもれび的腸治療となります。
    腸管リフォーム療法」、「腸管内善玉菌群移植療法」、そしてこれらを合わせることで行う「腸管リノベーション療法」、これがこもれび式腸治療となります。
    その他基本治療としては
    ・腸粘膜再生:「L-グルタミン」・ボーンブロス(骨蛋白スープ)など
    ・腸粘膜の抗炎症:カプリル酸・フィッシュオイル(EPA DHA)・L-グルタミンなど
    ・腸粘膜の修復:ビタミンA・亜鉛(抗炎症作用もあり)・ビタミンD(腸壁のタイトジャンクションを守るのに必要)・マグネシウムなど
    があります。

    2)脳を治す

    このメイン治療となるのがYNSA(山元式新頭針療法)®です。
    YNSA学会®の代表を務める加藤が、世界でもトップクラスの技術にて、頭針治療により脳の調節を行っていきます。
    自律神経機能の中枢部である脳幹は腸治療において特に大切な治療部位となります。よって、ここは非常に意識して治療していきます。

    3)自律神経を治す

    自律神経とは脳の中枢奥になる脳幹からの指示を腸管に伝える神経で、交感神経と副交感神経の2本を手綱のように操って、腸を含め、体中の臓器を最善の状態に導くように働きます。

    図は自律神経を簡単に図示したものです。
    交感神経と副交感神経を使って体内のすべての臓器をコントロールしているのがわかると思います。特に最も大きな臓器である小腸と大腸は、非常に多くの神経が分布しており、腸と自律神経は気に話すことができない関係です。
    しかし、脳幹及び自律神経は、ストレスに弱く、ストレスの過剰状態が長期続くとシステムエラーを起こします。その結果、自律神経がコントロールする小腸、大腸は機能不全を起こし、下痢、便秘、腹部膨満などの腹部の異常な状態が引き起こされてしまいます。

    (人間関係の問題だけでなく、結婚や出産、入学などの変化もストレスになる)

    これに対して、こもれびの診療所は「東洋医学」をベースに近代治療器具を組み合わせて対応していきます。

    1)電気温灸及び経皮的神経電気刺激療法transcutaneous electrical nerve stimulation therapy TENS

    東洋医学の知識に科学的根拠を加え、熱刺激や電気刺激を与えて脳、自律神経を通じて腸を整えていく方法です。
    ツボの電気刺激による論文はいくつか出ており、代表的なものとしては

    • 足三里:刺激すると、大腸の運動を抑制、逆に胃の動き改善(Ewa M et al, 2006
    • 合谷:刺激により下痢にも便秘にも効果あり。その他神経過敏・精神不安・入眠困難なども改善
    • 腹部周辺:関元・天枢・水分:電気刺激の強さと周波数をコントロールして、大腸の動きの促進も抑制も可能(Gao M et al. 1997) など

    があります。

     

    また、電気温灸により温めるという行為(冷えはお腹症状の最大のリスク)、経皮的神経電気刺激の強さと速さを変えることで可能となる以下の行為

    1. 「脳内に痛みを抑制する物質や精神を落ち着かせる物質など作り出す」
    2. 「強い痛みを伴う電気刺激を与えることで、腸の動きを阻害する=下痢を止める(Lehman AV, 1913)」
    3. 「手や腹部の皮膚に神経刺激を与え、胃の前庭部の運動機能を低下させる(Camilleri M et al, 1984)」

    などの科学的データも加味して、その人の現在のお腹の困ったに最も適している刺激方法を行っていきます。

     

    *脳でご紹介したYNSA®は自律神経の治療にも高い効果を発揮します。よってYNSA®を併用する場合は、脳だけでなく自律神経の治療も加えていきます。

     以上、当院における「腸」、「脳」、および「自律神経」の治療を通して、お腹の子待ったを治していく点を説明いたしました。それぞれの詳細は「治療」の項目に記載していますので、ご覧いただければと思います。

     

    各論

    こもれびの診療所では、腸のトラブルで日常生活が非常に難渋しているにもかかわらず、通常の検査では「異常なし」と言われる消化管疾患、中でも
    過敏性腸症候群(IBS;irritable bowel syndrome)
    小腸内細菌異常増殖症(SIBO;Small intestinal bacterial overgrowth syndrome)
    リーキーガット症候群(LGS;leaky「漏れる」gut「腸」syndrome=腸漏れ症候群)
    などの疾患が治療の主となっています。

    なかでも最も得意とするのが下痢型IBSです。これらを中心に詳しくお話していきたいと思います。

     

    腸は治療の一丁目一番地

    過敏性腸症候群

    腸の問題は、単純に腸の不調だけでなく、様々な病気の原因となっていることが、近年多数報告されるようになりました。
    よって、腸の状態をベストにしておくことは、単純に腸の病気の改善だけでなく、すべての健康にとって必要不可欠な対策と言い換えることができます。
    なので、まずはあなたの「腸内環境」をチェックしてみましょう。
    次の質問に「はい(Yes)」が多いほど、腸内環境にダメージを受けている可能性が高く、様々な不調や病気、脳にかかわるトラブルのリスクが高まっていきます。

    • 口 食事は、パンや麺類などの炭水化物が中心
    • 口 甘いお菓子、ジュースや炭酸飲料が好き
    • 口 子どものころ、耳やのどの感染症に頻繁にかかった
    • 口 2~3年に1度以上、抗生物質を服用する
    • 口 胸焼けや、胃酸の逆流を防ぐ胃腸薬を飲んでいる
    • 口 食べ物や化学薬品にアレルギーがある
    • 口 自己免疫疾患と診断されたことがある
    • 口 2型糖尿病にかかっている
    • 口 帝王切開で生まれた
    • 口 母乳よりほとんど粉ミルクで育った
    • 口 標準体重を9キロ以上上回っている
    • 口 気分が落ち込みがちだ
    • 口 日常的に便がゆるい、あるいは便秘症だ

    ここにチェックが多い場合で、何か疾患を持っている場合は、少し腸の改善を意識されるのが良いと思われます。
    では、いよいよ、当診療所でメインに行う腸疾患、①IBS、②SIBO、③リーキーガット症候群についてみていきましょう。

     

    過敏性腸症候群(IBS;irritable bowel syndrome)

    IBSは「腹部の痛みや腹部膨満感など不快な症状を伴った下痢や便秘などを繰り返すにもかかわらず、腸に器質的異常が見つからないもの」と定義される疾患です。
    なおIBSは罹患率が非常に高い疾患で米国では人口の14%、日本では人口の13.1%と報告されています。つまり日本国内だけで1,000万人以上の患者さんが苦しんでいる計算になるのですが、実際に病院受診するのは25%程度で、多くは一人でお腹の苦しみを抱えて苦しんでいることになります。

    実は加藤もIBSで苦しんだ一人です。よって、常にお腹のことを心配し、日常生活を制限される苦しい気持ちは、誰よりも理解できます。なので一人で苦しまず、ぜひ私たちに相談してください。一緒に悩み、そして解決するための最善の策を考えていきましょう。

     

    IBSの診断(総合便検査)

    先ほどIBSは「腹部の痛みや腹部膨満感など不快な症状を伴った下痢や便秘などを繰り返すにもかかわらず、腸に器質的異常が見つからないもの」とお話しました。
    つまり、少なくとも臓器には異常のない疾患で、基本命にかかわることはありません。

    これに対して、IBSに症状が似ているのですが、中には重症化する疾患が隠れていることもあります。
    よって、IBSの治療の前に、まずはIBS以外の重症な疾患が無いかを鑑別することが大切になります。

     

    鑑別診断

    お腹外来

    • 警告症状~微熱、関節痛、血便、予期せぬ3㎏以上の体重減少(6か月)などあるかどうか
    • 危険因子~50歳以上の発症または大腸器質的疾患の既往歴、家族歴などがあるかどうか
    • 通常臨床検査~血算、生化、CRP、甲状腺、便潜血、などで異常が見られないかどうか
    • 上記➀~➂において問題があれば大腸検査(大腸内視鏡・X線など)を積極的に行う

    (日本消化器学会 機能性消化管疾患IBS診療ガイドライン2014)

    以上のすべてが基本マイナスとなれば、基本重症疾患の可能性は少ないと考えられるため、IBSを考えて、IBS診断基準RomeⅢチェックへと進んでいきます。

    お腹外来

    この基準を満たした場合、「IBS」が基本的に疑われます。

    ●さらなる戦略の為の「総合便検査」
    IBSとの戦いにおいて、どのような治療戦略を行いIBSを克服するのか?
    その戦略及び戦術のために、当院では「総合便検査」や「有機酸検査」を行っています。
    1)腸内細菌叢の情報~細菌の情報(細菌の種類、量、効果のある治療薬の解析)、真菌(カビ)の情報(真菌の種類、量。真菌に対して効果のある治療薬の分析)が手に入ることで、腸内細菌の改善方法の戦略が立てられる
    2)消化吸収能力の情報~消化酵素量・脂肪・筋繊維・野菜繊維・炭水化物などの解析により、その人の消化吸収力がわかる
    3)IBSの鑑別診断および重症度の情報~ラクトフェリンとカルプロテクチンを見ることで、炎症性腸疾患と過敏性腸症候群の鑑別の鑑別ができ、治療の有効性の判定にもなる。またリゾチームや便中の白血球と粘液をみることで、腸内の重症度が推定される
    4)腸管免疫の情報~分泌型IgA(腸粘膜組織から分泌され、消化管粘膜を守る)により腸管の免疫状態及び腸管の危険度が推定できる
    5)野菜摂取量の是非~短鎖脂肪酸(SCFAs)分により善玉細菌量と現在の野菜摂取量が妥当かが判定できる
    6)ゾヌリン検査によりリーキーガット症候群が背景にないかを判定できる
    これらにより、悪玉菌や真菌の除去の是非や、善玉菌の投与方法及び投与量、消化能力改善のための補助の有無などの戦略が立てられ、その人にあった適切な最高戦術・戦略の提案及び実行が可能になります。
    なお、有機酸検査は「検査」の項目に詳しくかいておりますので、そちらをお読みください。

     

    IBSの一般的治療

    お腹外来

    これが一般的な西洋医学的治療となります。
    通常のクリニックにかかり、この治療によって軽快、もしくは改善があれば、特にこもれび外来を訪れる必要はないのかもしれません。
    ただし、これらは基本対症療法であるため、根本的な治療とはなりにくく、症状が継続する方も少なくないでしょう。
    ではこもれびではどのような治療を行うのか?

     

    こもれびにおけるIBS治療

    1.腸管リフォーム療法

    まずは、下痢や便秘を引き起こす消化管システムを改善していきます。
    消化管システム改善対策として当院で中心的治療となっているのが「腸管リフォーム療法」です。ドイツを中心にヨーロッパ各国で100年以上続く「オゾン注腸」と日本で開発され40年以上の歴史を持つ「交流磁気治療」を合わせたもので、効果と安全性は十分に検証された治療法です。

    ●治療効果
    現在、以下の理由でオゾン注腸療法がIBSを含めた消化管疾患に効果があると考えられています。
    1)血行促進作用に伴う腸管機能の改善(Clavo, J.L. Pérez, L. et al. 2003)
    2)抗酸化系酵素の誘導を通しての抗炎症効果 (医療・オゾン研究 第2号.2012)
    3)免疫細胞活性化作用に伴い、腸管内の細菌バランスが整った可能性
    4)メンタルの改善~オゾン療法に伴う多幸感、難病患者のQOL向上などの改善報告あり(作用機序はまだ証明されていない。脳内ホルモンの影響が示唆)

    当院におけるIBS治療効果:有効率83%(2020年5月~12月)
    なおこの効果については、2021年11月 Vol28「医療・環境オゾン研究」に「過敏性腸症候群(IBS)におけるオゾン注腸の可能性」と題して論文発表しております。

    ●副作用:ほぼ皆無です。少しお腹が張る、軽い排便感が出る、などの訴えがある程度です。しかしこれも30分以内におさまります。
    詳細は「腸管リフォーム療法」を参照ください。

     

    2.腸内善玉菌群移植療法

    腸管内を最善の状態に保つために、有用であるとの科学的報告がある善玉菌(プロバイオティクス)や酪酸を注腸し、大腸に定着、安定させる方法です。
    なお、腸内の改善だけでなく、免疫、神経、炎症、生活習慣病などの改善も報告されています。(Makoto Usami, et al. 2019)
    詳しくは、「腸管善玉菌群移植療法をご参照ください。

     

    3.検査に伴う腸対策

    腸管リフォーム療法」と「腸管内善玉菌群移植療法」を合わせた「腸管リノベーション療法」でIBSの症状は改善することが非常に多いですが、改善乏しい場合は体内の状態を、必要に応じて検査を行いながら対策を検討していきます。

    • オリゴスキャン~体内のミネラルと有害重金属を測定可能。そこから腸管内に対して ミネラル不足が無いか、また体内の解毒機能が働いているかなどをチェック(ルクセンブルグのラボとコンタクトし施行)
    • こもれび採血検査~胃の働きから酵素活性、炎症の程度など通常では行わない血液検査を行うことで、体の状態を別角度から精査(日本の検査機関)
    • 有機酸検査~消化管内のカビや悪玉菌の有無、ミトコンドリアの機能障害の有無、メチレーション回路が働いているか蛋白、脂肪などの栄養をきちんと利用できているかなどを精査(米国の検査機関)
    • 反応低血糖及び副腎疲労検査~14日間の血糖チェック、および唾液による副腎コルチゾールチェックを行い、副腎疲労が起こっていないかを精査
    • 糞便検査~腸管内で起こっていること(実際の菌の培養、その菌に効果のある抗生剤やハーブの科学的検査、消化液の量など)を科学的に分析、検討(米国の検査機関)

     

    4.その他メンタル的な問題に対する治療

    IBSの治療として一般的に、通常のお腹をメインにした治療を行い効果が乏しいときは、心理的な治療法も併用していきます。

    お腹外来 お腹外来

    まずはセルフケアとして、加藤の著書「下痢止めbook」を読んでいただき、その中で使えそうな心理療法を毎日の生活に取り入れてもらいます。

    なお、こもれびの診療所では
    ・「脳」と「自律神経」の治療
    を取り入れることで、心理的、自律神経的な側面から改善を目指して治療していきます。

     

    SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth 小腸内細菌異常増殖)

    聞きなれない病名だと思いますが、「お腹が張る」「お腹のガス」で苦しんでいる人はSIBOの可能性があります。

    私達の「腸」は、「小腸」と「大腸」に分かれており、小腸は食べ物からの栄養を吸収、大腸はその残りかすから水分を吸収し便を生成する仕事を行っています。 この腸の中には、腸内細菌が多数いるのですが、その大半は大腸の中にいて、小腸内腸内細菌は大腸に比べると100万分の1以下の数しか本来存在しません。(小腸内細菌:10⁴個/μl・大腸内細菌:1010∼14個/μl)

    なぜ、このようになっているかというと、小腸内は以下のように腸内細菌が増殖できないシステムを持っているからです。

    • 小腸上部:胃液に含まれる塩酸が細菌の過剰な増殖を防ぐ
    • 小腸内:・胆汁酸と膵臓内の酵素が細菌の過剰な増殖を防ぐ・小腸内免疫機能により、小腸内細菌増殖を抑制する
    • 小腸下部:回盲弁により小腸と結腸が区別されており、大腸から小腸内への菌の侵入を防ぐ
    • 伝播性消化管収縮運動:小腸収縮運動により細菌を小腸側から大腸側に洗浄する

    しかし、上記システムの機能障害が起こると、大腸にあるべき細菌が小腸に入り込み、そのまま小腸にとどまって爆発的に増えてしまいます。 この増えすぎた腸内細菌は、食事を摂取することで大量のガスが発生します。この病態をSIBO(小腸内細菌異常増殖)といい、この現象により、ほんの少し食べただけでもお腹がパンパンに膨れて、消化管を中心に様々は苦痛症状が出現します。

    症状1:消化管症状

    1. おなかが張って苦しい
    2. 異常な頻度のげっぷがでる
    3. 胃酸が逆流する
    4. 下痢、便秘などを繰り返す(下痢型SIBOは小腸内に「水素ガス」を発生する腸内細菌が多い場合、便秘型SIBOはメタンガスを発生する腸内細菌が多い)

    なお、細菌だけでなく、カビが原因となる症例も2~3割くらいあるといわれます。
    また、細菌が小腸内で過剰増殖すると、消化器以外の症状も出現します。

    症状2:消化管以外の症状

    1. 太りやすくなる:メタンガスを発生する腸内細菌が多い便秘型SIBOは肥満を起こしやすくなる。
    2. マグネシウム、亜鉛、鉄などミネラル吸収障害が起こる:皮膚トラブル、生理痛、ムズムズ足などひきおこる危険がある。SIBO治療によりムズムズ足が治癒したとする論文あり。
    3. 蛋白吸収障害がおこる:蛋白不足により精神安定ホルモンであるセロトニンが作れない→不眠、うつ的感情のリスク(セロトニンの90%以上は小腸粘膜で合成される)
    4. ある種の自閉症スペクトラムも、腸内環境乱れが関係しているとの報告あり。
    5. 脂溶性ビタミン吸収、生成不全がおこる:SIBOに伴う消化不良、及び胆汁酸減少の影響で、脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kの吸収、生成できなくなる。
    6. 免疫システム異常がおこる:小腸は栄養の入り口と同時にウイルスや細菌などの侵入者が入ってくるリスクがある場所でもあるため、命を守る門番として免疫機能を担っている。しかし、SIBOで小腸内に問題が起こると、このシステムが破壊され、様々な問題が生じる危険がある。自己免疫の不具合、リーキ-ガット症候群(腸漏れ症候群)など

    なお健康と思われる人の腸を調べると、約31.25%がSIBOだったというデータもありますから、これは実は非常に身近で、そして見逃されている病気といえるのです。

     

    SIBOと関連のある疾患

    IBS(過敏性腸症候群)症例の50〜84%の症状の根本原因はSIBOである可能性が研究で実証されています。
    なお、細菌の過剰な増殖を根絶することでこれらの症状は大幅に減少することが報告されていることから、IBSとSIBOは、片方がもう一方の病気を誘発するトリガーになっている可能性が考えられます。

    また、SIBOは現在、酒さ(主に頬・眉間・鼻などの部位に、赤みやほてりなどが生じる慢性の皮膚疾患)や胃食道逆流、慢性難治性疼痛、中枢神経変性疾患など、数えきれないほどの病態の原因であるか、または関連性があると報告されています。

     

    SIBOの原因

    SIBOは、小腸の動きが止まって細菌が局所的に増殖しやすい環境になるときに発症します。SIBOの発症につながる可能性がある原因は多種多様です。

    • 感染性胃腸炎:細菌毒素(急性)と感染後の自己免疫反応によって腸蠕動運動がうまく働かなくなる
    • 消化不良:低塩酸症、膵臓酵素・胆汁の不足、ピロリ菌感染 など
    • 神経障害:糖尿病の合併症やパーキンソン病、多発性硬化症 など
    • 医原病:術後、アヘン剤(モルヒネ等)、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤 など
    • 機械的/構造的機能障害:狭窄、癒着、占拠性病変、先天性の解剖学的異常、憩室炎、婦人科系の症状(例:子宮内膜症、卵巣嚢胞)、回盲弁機能障害 など
    • その他:甲状腺機能低下症、慢性的なストレス(交感神経優位)、IgA分泌能低下 など

     

    SIBO呼気検査

    消化管内に生息する細菌は、糖質をとると、水素ガスやメタンガスを発生します。

    通常は大腸にしかいないため、糖質摂取後、これらのガスが放出されるのは120分後以降です。しかし、本来存在すべきでない小腸内で腸内細菌が増殖すると、小腸内で糖質摂取に伴い、本来よりはるかに速い時間でガスを発生させます。

    つまり、糖質摂取後の吐いた息(呼気)のガス分析を行うことで、小腸内に菌が増えているか、またその量はどれくらいかを判定することができ、それに伴いSIBOの診断および重症度がある程度推測されるようになります。

    詳しくは検査項目の「SIBO呼気検査」をご覧ください

    SIBO治療

    1)SIBO呼気検査で陽性
    ・低FODMAP食事療法スタート(最低2か月は徹底する)

    2)有機酸検査(または総合便検査)で悪玉菌が分かった場合
    ・悪玉菌除菌:14日間(または21日間)抗生剤投与:難吸収性抗生剤「リファキシミン」1回400㎎を1日3回、8時間おき。なおメタンガスが非常に上がっている場合はさらに2週間継続させる場合がある。
    *難吸収性抗生剤:消化管から無吸収、96%糞便吸収となっており、体内に取り込まれることがほとんどないため、安全に使用できる
    バイオフィルム対策(enzyme酵素):細菌プラークを消化酵素を使って破壊~食前30分前に内服する

    21)抗生剤投与後:腸内細菌叢再構築のためにプロバイオティクスの内服、及び腸管リフォーム+善玉菌群移植を行う。

    3)有機酸検査(または総合便検査)でカンジダ陽性がわかった場合(カンジダ多いと二酸化炭素、アルコールからアセトアルデヒド放出されSIBOのような状態になる)
    ・カンジダ除菌(おおよそ2か月)
    ➀カンジダ除菌用の食事療法:・糖質カット(栄養源のブロック)・発酵食品(酵母)を避ける・アルコール(ビール・ワイン・日本酒など)を避ける・外国産フルーツ(ジュースも含む)を避ける(カビ毒のマイコトキシンは熱しても消えない)・遺伝子組み換え食品を避ける(食べる抗生剤となり腸内細菌が増殖できずカビが増える)
    ②抗真菌作用のある食べ物を積極的に食べる:ニンニク 梅肉エキス ココナッツオイル ローズマリー リンゴ酢 など
    ③腸内環境維持(乳酸菌や抗炎症サプリメント):プロバイオティクス・プレバイオティクス(あくまで悪玉菌除菌後)
    ④抗真菌対策:天然抗真菌剤(ハーブ・漢方・抗真菌薬など)
    ⑤バイオフィルム対策(enzyme酵素):真菌繊維消化酵素(細胞壁破壊)~食前30分前に内服する

    *カンジダ除菌中は免疫力が低下しやすいため、ビタミン D が足りない方は補充を行い免疫力をUPさせる。

    *解毒(有機酸検査・オリゴスキャン検査で判断)~有害金属が多い場合は積極的に除去(体内に水銀多いとカンジダ殺しにくい)
    注意:ダイオフ症状~治療時、死んだカンジダ細胞の中にたまっている物質が一気に放出され、全身症状が出ること。マグネシウムやモリブデン、BCAA,活性炭、クロレラ、ケイ素などで対応。抗真菌対策薬内服後6090分後に活性炭やクロレラ、ケイ素などを服用し、有害物質を吸着する方法をとる。

    基本2か月程度 下記の項目を満たすことを目指す。
    ・カンジダ感染の症状(うつ、疲労、低血糖など)が改善されている
    ・砂糖、カフェインから離脱している

     なお、除菌したのにまだお腹の張りが続く、SIBO検査は陰性なのに腹部膨満がひどい、などの場合は以下のSIBO再発予防及び、脳-自律神経異常治療の方に進んでいってください。

     

    SIBOの再発を予防する

    SIBOは再発率が高いことが患者と医師双方にとっての課題です。
    ある研究では、抗生物質による治療成功後、SIBOの再発率は3か月で12.6%、6か月で27.5%、および9か月で43.7%であることが示されました。臨床的には、一般的なSIBO再発期間は約2.5か月とされており、根本原因が治療されない限り再発までの期間はさらに短くなります。
    よって、再発を防ぐために精一杯の対策をとりましょう。

    1)食事管理を徹底する~低FODMAP食

    FODMAPとは

    F:Fermentable(発酵性)
    O:Oligosaccharides(オリゴ糖)レンズ豆やひよこ豆に含まれるガラクトオリゴ糖と小麦やタマネギに含まれるフルクタン
    D:Disaccharides(二糖類)牛乳やヨーグルトなどのラクトース(乳糖)
    M:Monosaccharides(単糖類)果物のフルクトース(果糖)が代表
    and
    P:Polyols(ポリオール類)マッシュルームやカリフラワー、果物などに含まれるソルビトールやキシリトール

    の頭文字をとったもので、つまり発酵食品及び腸管内で細菌を増殖させる4種類の糖類を少なくする食事を目指すということです。
    通常納豆やヨーグルトなどの発酵食品は「腸に良い」とされていたものが悪いといわれると違和感があるかもしれませんが、消化管内に腸内細菌が増え続けて問題を起こしているSIBOの場合は、腸管内細菌を増やす食事は善玉菌であっても不可となります。
    SIBOで目指すべきは低FODMAP食です。具体的には以下のようにモノになります。

    お腹外来

    (江田証著 専門医が教える お腹が弱い人の胃腸トラブルより)

    簡単に言えば、小麦をやめて米中心の和食にする。ただし、和食のキーとなる大豆はオリゴ糖が多いため避ける、という感じです。
    なお、低FODMAP食は少なくとも3か月以上続ける必要があります。なかなか困難かもしれませんが、一緒に頑張っていきましょう。

    2)胃液減少により細菌の過剰な増殖を防ぐ
    ・消化酵素を含む食品(大根 パイナップル 塩麴 大葉)などをとる
    ・胃酸不足対策としてレモン水・大葉・紫蘇・ピクルス・梅など酸っぱい物をとる
    ・消化酵素、ベタイン塩酸などを摂取する
    ・胃薬の内服は安易に行わない:胃液に含まれる塩酸が細菌の過剰な増殖を防いでいますから、胃薬(プロトンポンプ阻害剤など)を安易に飲んで胃酸を減少させることは、腸内細菌を増殖させる危険がある。

    3)胆汁酸・膵臓内の酵素減少による細菌の過剰増殖を防ぐ
    ・ウルソデオキシコール酸(UDCA)内服

    4)小腸内免疫機能不全のよる小腸内細菌増殖を抑制する
    ・免疫アップビタミン、ミネラル摂取
    ・ビタミンD~血中濃度を測定し40ng/ml以上を目指す
    ・ビタミンC~免疫システムをサポートの主役。高濃度ビタミンC点滴療法が有名だが、通常内服も免疫アップには効果あり。ウイルス疾患に対する論文多数
    ・亜鉛~キラーT細胞は亜鉛と結合して初めて活性化。亜鉛濃度低下は感染症増加と相関との報告もあり
    ・マグネシウム~日本人のほとんどが不足とされる。300以上の酵素に関与。マグネシウムの有無が免疫力の増減に間接的に関わってくる
    ・セレン~世界最強ウイルスエボラ出血熱への対策でも活用されたミラクルミネラル。近年では抗癌ミネラルとしても注目

    5)小腸下部の回盲弁閉鎖不全による大腸から小腸内への菌の侵入を防ぐ
    ・ラジオ波回盲温熱マッサージ

     6)口腔内をきれいにする:口腔内細菌を飲み込むことでSIBOが悪化することがわかっています。よって、食事前は歯磨きをしっかりと行うようにしてください。特に睡眠中にもっとも口腔内で菌が繁殖し、それが腸に到達することでトラブルを起こしますから、朝は起きたらすぐに歯を磨く習慣を作ってください。
    なお、歯周病がある場合、なかなか歯磨きだけで対応は難しいです。
    歯周病とは、歯を支える「歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)」が炎症によって侵される病気です。
    口腔内には500700種の口腔内細菌が常在菌としていますが、その中で歯周病を起こす菌は10種類(~30種類)ほど確認されています。
    歯周病に罹患している日本人は非常に多く、30歳以上の8割以上に歯周病があるといわれます。
    以下、歯周病チェックリストです。みなさんチェックしてみてください。チェックが付く方が多いのではないでしょうか。1つでもあれば歯周病の可能性は高く、2つ以上あればほぼ歯周病と考えて間違いないと言われています。
    歯周病チェックリスト
    1)歯みがきをすると出血することがある
    2)歯と歯の間に隙間がある。よく食べ物がはさまる
    3)最近、口臭が気になる
    4)歯ぐきがむずがゆい
    5)歯ぐきが腫れることがある
    6)歯が以前より長くなったように見える
    7)冷たいものを食べると歯にしみる
    8)食べ物が噛み切れない
    9)食べ物を食べると歯が痛い
    10)朝起きたときに、口の中がネバネバする
    11)歯がぐらぐらする
    12)歯石がたくさんついている
    13)歯ぐきを押すと膿が出ることがある
    14)歯並びが悪くなってきた

    これら2つ以上陽性の場合は、歯磨きだけでは対応は難しいので、当院オリジナルのこもれびウォーター(臭素除去食塩水電気分解水)を使用して、しっかりと対策をとるようにしてもらっています。
    ちなみに、歯周病菌が大腸がんの原因になり得ることも明らかになりました。胃がんの99%がピロリ菌による感染症であるのと同じように、多くの大腸がんがフソバクテリウムという歯周病菌によって悪影響を受けていることが分かってきました。また歯周病菌によりさまざまな全身疾患が発症することもわかってきています。
    よってSIBOはもちろん、病気予防のために食事前の歯磨き習慣は大切にしていただきたいと思います。
    *なお当院では「こもれびウォーター」による積極的に口腔内の清潔を推奨しています。

     

    SIBO検査陰性でお腹の張りが続く場合

    SIBO検査は陰性なのに腹部膨満がひどい、また除菌したのにまだお腹の張りが続く、というのが非常によくある訴えです。
    これは、脳―自律神経異常による消化管蠕動運動不全が原因です。
    この場合は、脳および自律神経の治療を行っていきます。
    ・脳治療
    1)HPA軸障害(視床下部-下垂体-副腎障害)
    ・慢性炎症改善(上咽頭・歯肉・腸管炎症):Bスポット療法・こもれ美ウォーター
    ・反応性低血糖改善:副腎疲労食事スタート
    ・ストレス対策+睡眠対策: ハーブ(セントジョーンズワート)・睡眠サプリ
    2)頭針治療(YNSA
    3)低周波オピオイド受容体刺激治療
    4)前頭前野経頭蓋局所磁気刺激治療
    5)ラジオ波(超音波)深部温熱マッサージ

     

    ・自律神経治療
    1)低周波自律神経治療
    2)頭針治療(YNSA
    3)腸内細菌治療:プロバイオティクス+プレバイオティクス・善玉菌移植療法 

     

    ・ミトコンドリアサポート
    ミトコンドリアに問題があると栄養が吸収された後に蠕動運動ができず、SIBOになりやすい。よってミトコンドリアサポートは必須。有機酸検査及び分子栄養学的血液検査で、ミトコンドリアの問題を診断し、最もあった治療法を行い、腸はもちろん体全体のエネルギーサポートを行う。

     

     

    リーキーガット症候群(LGS)

    食物の消化や栄養素の吸収を行う器官である腸には、消化吸収できなかった成分や常在細菌、病原菌など、多くの物質が通過したり留まったりしています。そして、腸内細菌が体内へ入ってくるのを防ぐために、「腸壁バリア」というバリアシステムが存在しています。
    腸壁バリアは、腸の表面が「上皮細胞」で覆われ、上皮細胞の隙間は、タンパク質からできている「タイトジャンクション」で封印されています。さらに、上皮細胞からは糖タンパク質や抗菌物質が出ていて、病原菌を寄せ付けないようにしているのです。
    ところが、何かしらの原因で上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションが緩んでしまうと、腸壁バリアが破たんして隙間ができてしまいます。その隙間から、本来透過することがない老廃物や微生物成分などが体内に入ってしまう状態が、リーキーガット症候群です。リーキーとは「漏れる」、ガットとは「腸」を意味しており、日本語的には「腸漏れ症候群」という意味になります。

     

    リーキーガット症候群の原因

    最も大きな原因は食事です。

    現在、世界で問題になっているのが、小麦タンパク質の「グルテン」と言われます。
    グルテンが分解するとできる「グリアジン」という成分が上皮細胞と結びつくと、「ゾヌリン」というタンパク質が過剰に分泌されます。
    ゾヌリンには、細胞と細胞の隙間を開けて通過をよくする作用があるため、上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションがほどけてしまうのです。

    グルテン以外にも、アルコール、カフェイン、唐辛子成分、カニやエビの殻などに含まれるキトサン、繊維質の少ない食事も、タイトジャンクションを緩めてしまう作用がある食品として報告されています。

    その他、食物アレルギー(個別により異なる)、腸内環境の乱れ、感染症、化学物質などの環境毒素、薬品、精神的なストレスなども、腸壁バリアがダメージを受けやすく、リーキーガットを引き起こす要因と言われています。

    リーキーガット症候群の症状及び検査

    食物成分というのは、腸内では無害ですが、消化器官を除く身体の中に入ると異物と認識され、異物を排除するように働くタンパク質の「抗体」が作られます。抗体には、外敵を攻撃する機能が備わっているのですが、本来であれば体に害を与えない物質にも過剰に反応して、食物アレルギーを引き起こすきっかけとなります。

    また、消化器官を除く体内では異物と認識される食物成分は、免疫の攻撃を受けるため炎症が引き起こされ、原因が除去できなければ慢性的に炎症が続きます。

    リーキーガットが原因で起こる炎症は、糖尿病、高脂血症、肥満、認知症の進行を促してしまうと言われています。

    腸は、全身や精神の状態と大きな関連があるため、リーキーガットから引き起こされる身体の不調はさまざまです。

    糖尿病筋肉痛、関節痛、胸やけ、息切れ、腹痛、抜け毛、消化不良、不眠症、記憶力低下、不安感、疲労感、口臭、神経過敏、食欲低下、じんましん、喘息、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群、お腹の張りなど、多くの症状や疾患が挙げられます。

    よって、腸を意識しての治療は、全身疾患の治療にもつながると考えられます。

    なおリーキーガットの診断方法としてゾヌリン検査があげられます。
    ゾヌリン(Zonulin)とは、タンパク質グルテンを構成する、グリアジンによって分泌される物質です。
    この量が多くなると、腸管上皮表面のタイトジャンクション(隙間を固く閉しているシステム)が崩壊し、腸管上皮の透過性が増加します。これによって、本来であれば吸収したくない未消化の食べ物や毒素、化学物質などが通過してしまい、リーキーガット症候群が発症することから、便中のゾヌリンの量を測定し、リーキーガット症候群のリスク度を調べることができます。
    なお当院では、腸疾患において様々な情報を与えてくれる総合便検査を腸疾患診断のベースにしているため、これに便中ゾヌリン検査をプラスする形で判定を行っています。ただ便中ゾヌリン検査はまだまだ開発段階にあり、現時点ではラクトース・マニトールテスト(リーキーガット症候群判定試験)との整合性が確定できていません。一方、これまで長く行われてきた血清ゾヌリン検査はラクトース・マニトールテストとの相関性が認められています。よってリーキーガット症候群の診断のみが目的の場合は、精度の高い血清ゾヌリン検を推奨しています。

       

      治療

      IBS治療に準じますが、それ以外、リーキーガットに特徴的な治療方法をお伝えしておきます。

      • オメガ3:不飽和脂肪酸のオメガ3は小腸の炎症を抑える力があります。
      • 解毒力アップ:腸管内から取り込まれた毒素は直接肝臓に取り込まれ肝臓がダメージを受けます。よってデトックス治療により解毒をスムーズに行えるようにします(デトックス参照)
      • :慢性便秘症に使えるアミティーザがリーキーガット症候群の粘膜透過性を改善させることが確認されています。よって便秘タイプには積極的投与を検討してもよいかと思います。また胃薬として使われる胃粘膜保護作用を持つムコスタも小腸を保護して活性酸素の抑制作用を持ちます。これらの投与も場合によって検討します。
      • 蛋白たっぷりスープを飲む:ボーンブロスや出汁を使ったスープは腸漏れをふさぐ作用を持っています。よって、これらの蛋白スープを上手に利用してください。
      • グルタミン酸をとる:グルタミンとは、アミノ酸の一種で、ボーンブロスなどの蛋白スープの利点をサプリメントで行う方法です。
        しかしグルタミン酸は、腸漏れを塞ぐだけでなく、小腸・大腸にさらに有用な役割を果たしてくれます。
        なぜなら、腸は、グルタミンをエネルギーに変えることで消化吸収を行っているからです。
        グルタミンが不足すると、腸は正常に作動しません。そのため、神経過敏や自律神経が改善したとしても、グルタミン不足が原因で、下痢が続いてしまうということもあります。よって消化管回復のためにもグルタミンの積極的摂取をお薦めしています。
        なお、グルタミンが下痢に効果があるという報告は、多数なされています。
        1)ロタウイルス胃腸炎(冬に子供を中心に流行するお腹の風邪):グルタミン投与で下痢改善
        2)炎症性腸疾患:グルタミンを投与すると、2週間以内に大多数の患者で下痢が止まり、腹痛が改善。最終的には普通の食事がとれるようになった3)短腸症候群(重篤な腸の疾患により腸管を大部分切り取られたため、水分が吸収できず1日3L以上の下痢を繰り返す重篤な疾患):6~11年間頸静脈から栄養点滴していたのが、グルタミン投与で普通食ではないが、食物を口から摂取することが出来るようになり、1日2~3回の軟便に改善。

        それ以外にも、グルタミンは、脳の栄養素としても利用されています。ストレス時に体内でグルタミンが大量に消費されることなども考慮すれば、ストレスが発症誘因となるIBS患者などは積極的に摂取すべき栄養素だと考えています。

        当院では、安全、安心の純度99.9%の日本製天然グルタミンを使用しています。

      以上、IBS、SIBO、LGSと通常のクリニックでは扱わない腸疾患をメインに治療を行っています。なおIBSと診断された人の84%にSIBOが合併しているとの報告もあり、これらは混在している場合が非常に多いです。よって「お腹が張るからSIBOの検査」ではなく、一度受診いただき、どのような検査がベストかをご相談させてください。

       

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