腰痛のお話し 6~心理社会的痛みからの解放
●こもれび心理療法
今日は脳がかかわる痛みに対して何ができるのかを考えていきましょう。
1)「痛みのとらえ方」の改善
ポイントになるのは痛みに対しての「ゆがんだ考え方」や「とらえ方」です。
最も問題になるのが「全か無かの思考」。
「腰痛が治るということは、痛みが全くゼロになることで、そうならない限り治ったとは認めない(痛みに対して妥協がなく、とにかく痛みは完全に直さなければまずい)」
慢性疼痛のひとはこの「前か無かの思考」にとらわれている人がとても多いです。
しかし慢性痛で、特にストレスなどが原因で痛みを感じている場合、痛み0を目標としてしまうと、常にそれは達成されず、その思いそのものが更なるストレスとなってしまいます。
では、どこを目標にするのか?ポイントは「痛みがあっても生活を続けていくこと」です。
「痛みはある。でも仕事に行けている」
「痛みはある。でも家事はできている」
「痛みはある。でもご飯はおいしい」
痛みを抱えていても、生活できている一つずつを数えていくことです。そして、改善を少しずつ喜びながら前に進むことです。
この繰り返しこそが治癒への第一歩となります。
しかし、「全か無かの思考」にとらわれている人はこういうふうには考えられず、症状が改善したことについて評価できす、痛みの有無ばかりにとらわれてしまう”痛みの奴隷”になってしまっています。
「仕事に行けている。でも痛みある。」
「家事はできている。でも痛みある。」
「ご飯はおいしい。でも痛みある。」
このように何をおいても「痛み」で否定してしまい、痛みに支配される奴隷的思考になってしまうのです。
よって、こもれびでは鍼治療やラクリスなどで施術を行いながら、痛みが楽になっていること、また痛みがあってもできる事を考え、共に痛みの支配から離脱できる方法を考えていきます。
また「全か無か」の思考にとらわれ、痛みに支配され、何も行っていない人には、痛みがあってもできることを一緒に考えていきます。
つまり痛みに対して厳しすぎるのではなく「許容していく」という考え方です。
これこそが、まさに心理社会的要因による痛みを乗り越えるための第一歩なのです。
●「認知行動療法」
認知行動療法とは、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。
様々な方法がありますが、当院では、「日記療法」を行っています。やり方は簡単で、「毎日、痛みがあってもできたことを記載する」だけです。これにより「痛くて何もできない」と思っていた自分に「痛いけれども自分ではこんなにできることがある」という認識を持ってもらいます。なお、これをやってもらうと、全か無かの思考に陥っている人は、痛みの内容や状態ばかりを記してきます。しかし認知行動療法は、「悪いこと」は記載せずに、日常生活の中でできたことや回復の実感など、よい出来事を中心に書くことを勧めていきます。
例
・腰痛があってもできたこと
・日常生活で痛みを感じなかった時のこと
・仕事など集中している時間で、痛みは感じなかった時のこと
・通院や治療内容の記録
・改善したことに対する満足感や気持ち
- その他:快感を探す
痛みを抑えるのに効果があるのは快感です。快感は痛みを抑制することがわかっています。例えば、好きな食事、匂い、画像、性的体験などの快感は、明らかに痛みを抑制することがわかっています。自分の楽しい、気持ちいいを一杯探して、自分のためにいっぱい楽しんでください。
あなたは本当にここまで痛みと闘ってきました。
でも今日で戦いは終わりです。
痛みを敵とするのではなく、痛みがあってもできる事、楽しいことを見つけ、あなたの中にある痛みをどんどん小さくしていきましょう。
あなたの今日が、明日が、ずっとずっと幸せでありますように。
医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/
電話:03-6806-5457
住所:〒116-0003 東京都荒川区南千住5-21-7-2F(旧日下診療所)
最寄り駅:南千住駅より 徒歩 5 分