お腹(便秘・SIBO・IBS)を改善させる漢方の話

   

こもれびの診療所では「腸」を非常に重要視しています。よって、腸の問題に対しては様々な治療方法を駆使しております。今回はその中で最も問題になることの多い「便秘」「過敏性腸症候群(IBS)」「腸管内細菌増殖症(SIBO)」についての漢方治療のお話をさせていただきます。

ぜひ参考にしていただければと思います。

便秘
便秘は大きく4つのタイプに分けて漢方を選別します。

痙攣性便秘症
・便は細くまたは兎糞状になる。
・排便は困難で努力しても少量しか出ない。
・残便感が強く、排便回数が多い。
・しばしば腹痛を伴う。
このタイプには以下の3つが代表的漢方です。

  • 桂枝加芍薬大黄湯:誰にでも使いやすい
  • 大建中湯:腹部膨満するタイプの虚証の人に。
  • 加味逍遙散:ストレスが大きく関与しそうな便秘に。
    なお加味逍遙散は、メーカーごとに構成成分が少し異なります。特に大きな違いは含まれる朮です。朮には「そう朮」と「白朮」があり、簡単に言えばそう朮は水を調節す作用、白朮は補脾作用(腸管を増強する作用)です。こもれびの診療所では根本的治療を意識して白朮タイプの加味逍遙散を使用しています。

弛緩性便秘(アトニー型)
・生まれながらに体の弱いタイプの慢性便秘
・子供のころから便秘が続いているという人もいる
・大腸の運動低下、緊張低下がみられ、腹圧が弱い
この場合は「パワーアップ」をしながら排便をスムーズにすることが必要となるため、2剤を併用します。

  • 補中益気湯~1500年前、戦えなくなった兵士を再度元気にするために作られた漢方。パワーアップさせるという意味では右に出るものがない名処方
  • 潤腸湯~腸内に水分を引き込み、柔らかく排泄しやすい便を作りだす 

直腸型便秘~便を我慢することで起こる便秘  

  • 大承気湯:我慢して固くなった糞便を力強く押し出す

腸内乾燥型便秘(老人性便秘)

  • 潤腸湯

 

SIBO(腹部膨満)
もっとも苦しい症状が腹部膨満です。よって膨満感を改善させる漢方が中心になります。

1)上腹部の膨満感

  • 人参湯:胃など上側が張る。冷え強い。胃上部硬い。虚証タイプ
  • 大柴胡湯:便秘のあるタイプの上腹部の膨満のある人。実証タイプ

2)全ての膨満感

桂枝加芍薬湯:腹直筋の緊張が特徴。冷え・腹痛・排便異状(しぶり腹)などがみられる。虚実どちらにも使える。

3)下腹部の膨満感

  • 大建中湯:腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの。虚証タイプ
  • 大承気湯:便秘のある下腹部膨満に。実証タイプ

IBS

IBSは便秘型、下痢型、混合型があり、それぞれで使い分けます。

1)便秘型

  • 桂枝加芍薬湯(+柴胡加竜骨牡蛎湯:メンタル問題大きいとき)

→便秘強い場合は桂枝加芍薬大黄湯

2)便秘下痢混合型

  • 加味逍遙散:残便感、排便後の腹痛、排便後すっきりしない、メンタルの問題が大きい、などに使用。女性が適応になることが多い。虚実中間

3)下痢型

  • 黄耆建中湯:虚証タイプ
  • 胃苓湯:虚実中間

 

*大黄(センノサイド)の注意点:漢方では便秘の薬としてよく「大黄」が有名です。これを市販で購入して便秘対策で使っている人も少なくありません。

確かに大黄は便秘のよく効くのですが、注意が必要なので、今回お示ししておきます。

1)大黄は腸内細菌が充実していないと本来の効果を発揮しない:大黄は大腸内の嫌気性菌により、レインアンスロンに変化して大腸壁から吸収されないと効果を発揮しません。よって抗生剤使用後などで大腸内の菌がいない場合はあまり効果がありませんので、抗生剤との併用は行わないでください。

2)刺激性便秘薬:大黄は腸を刺激することで排便させる便秘薬です。このタイプは長期使用すると効果が弱くなっていきます。

3)腸内細菌叢を乱す:実は大黄そのものに腸内細菌殺傷作用があります。よって長期投与すると腸内環境が悪化し、結局便秘を引き起こす、という場合があります。

4)大黄は冷やす作用が強い:69月の夏は使いやすいのですが、冬は体を冷やしすぎる危険があります。

以上4点を踏まえて、大黄を自分で勝手に飲み続けることは避けるようにしてください。

こもれびの診療所では、西洋医学、東洋医学、補完代替医療を駆使して、皆様の腸の状態を少しでもよくするお手伝いをしています。

一筋縄ではいかない腸ですが、統合医療を駆使し、あきらめず、ゆっくり改善させていきましょう。

なお、腸において最も大切なのは「食」であることは言うまでもありません。

一人暮らしや、仕事が忙しいなどなかなか食に時間を割くのは難しい方も多いかと思いますが、その中でも自分でできる「腸が喜ぶ食事」をぜひ、やっていってもらいたいと思います。

私の著書に、簡単にそれが可能になる方法を書いていますので、良ければ参考にしてください。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様の毎日がしあわせでありますように。



こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/

電話:03-6806-5457
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