こもれびの診療所が大切にしているミネラルシリーズ~亜鉛編
全てのミネラルは大切なのですが、その中でも特に注意してみているものに亜鉛があります。
亜鉛の95%以上は私達の体の細胞内に存在し、数百種類の酵素の材料として生命活動を維持する化学反応のほとんどに関与しているミネラルで、私たちが生きていくうえで必須のものなのですが、そのように大事なミネラルにもかかわらず、日本人は先進国で唯一10~30%が亜鉛欠乏状態にあると報告されていますし、国民健康・栄養調査では男女ともに推奨摂取量を下回っていることが報告されています。
●亜鉛の生体での働き
では、亜鉛は体の中で何をしているのでしょうか?
いくつか代表的な働きを見ていきましょう。
・免疫増強~免疫の主人公であるT細胞は亜鉛と結合して初めて活性を持ちます。よって亜鉛濃度が低いと感染症にかかりやすくなります。
・心筋梗塞予防~亜鉛が体内に十分あると動脈の粥状効果を抑制します。また心筋梗塞になった場合、亜鉛濃度が低いと2時間後の死亡率が高いことが報告されています。
・精子形成や女性ホルモン分泌活性化~亜鉛は精子の原料です。勃起力、男性ホルモン濃度も亜鉛が関与します。また妊娠中亜鉛濃度が低い場合、流産や赤ちゃんの出生体重低下のリスクが増加します。
・慢性疼痛改善~亜鉛不足があると、神経が疼痛過敏になります。1日30㎎の亜鉛投与にてリウマチ患者の1/3以上で痛み改善の報告があります。
・血糖改善~血糖値を下げるインスリンは亜鉛の存在下で動くため、亜鉛補充により血糖値改善が報告されています。
・認知機能改善~記憶に関わる脳の海馬には高濃度の亜鉛が含まれ、また脳神経細胞死に対しても亜鉛は保護的に働くことがわかっています。
・アレルギー予防~亜鉛はアレルギー抑制作用を持つL型カルシウムチャンネルを誘導するため、種々のアレルギー抑制が期待されます。
・味覚改善~亜鉛は味覚をつかさどる味蕾成長作用があります。(2003年味覚障害患者は24万人と報告)
・解毒作用~亜鉛の存在下においてのみ、有害金属解毒作用を持つメタロチオネインが働くため、亜鉛はデトックスミネラルともいえます。
●亜鉛不足の原因
これだけ体内で大切な働きをしている亜鉛、なぜ不足するのか?原因としてはストレス、無理なダイエットなどによる栄養障害、ベジタリアン(亜鉛は動物性の食品に多いため)、加工食品過剰摂取(リン酸塩などの添加物は亜鉛吸収を阻害する)、腸管の異常、糖尿病などが指摘されています。
●亜鉛の多い食べ物
非常に大切なミネラル亜鉛をぜひ、しっかりとるようにしてください。含有量の多いものとしては魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類、種類(かぼちゃなど)。特に牡蠣(14.5㎎/100g)、うなぎの蒲焼(2.7㎎/100g)、豚肝臓(6.9mg/100g)などが亜鉛が多く含まれる食べ物として有名です。
●注意
亜鉛をとる際、銅の量が非常に大切になります。
・銅と亜鉛は腸管での吸収が拮抗的(天秤)なので、大量に亜鉛を飲むときは、銅も同時に飲まないと銅欠乏性貧血になる場合があるので注意が必要です。
こもれびの診療所ではオリゴスキャンにて両者の量を測定したのち、投与を行うようにしています。
・二価の陽イオンである亜鉛やは、腸管からの吸収が難しいミネラルのため、腸の状態が良いことが必須です。よって便秘や下痢などの消化器症状がある場合は、そちらの治療を優先させてください。
医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/
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