腰痛症 1

      2021/09/11

腰痛でお困りの方は少なくないと思われます。

腰痛に悩む日本人の数は、ここ数年1000万人超で推移しています。つまり、約10人に1人が腰痛持ちという計算です。
アメリカにおいてはさらに多く、腰痛の発生率は全人口の1520%で、45歳以下の就業不能原因の第1位であるとの研究報告があるほどです。
では、腰痛の原因は何でしょうか?
当院でかかわる患者様のほとんどが「慢性腰痛(3か月以上続く痛み)」の方なので、慢性腰痛を中心にお話していきます。

慢性腰痛の原因
慢性腰痛の原因として考えられる要因には、
①椎間板の異常
②椎間関節の異常
③筋肉の異常
④神経の異常
⑤骨の異常
⑥心理社会的要因
の6つがあげられます。
慢性腰痛症の場合、単独が痛みの原因というよりはいくつかが複合的に絡んでいることが多いです。
なじみ深い物から、あまり聞きなれない原因もあると思いますので、一つ一つ見ていきましょう。

①椎間板の異常
一般的に、お辞儀をした時に腰が痛む場合です。
①の原因として有名な疾患に「椎間板ヘルニア」があります。
これは、椎間板の軟骨が破れて、ゼリー状の髄核により神経が機械的に圧迫することで痛みが起こるというのが昔の説明でした。しかし現在では髄核そのものに、神経の炎症を起こす作用があることが分かってきました。つまりヘルニアの痛みは単なる圧迫によるものではなく、炎症によって起こるものということです。そのため、神経の炎症が終息すればヘルニアがあっても痛みは改善していきます。
機械的な圧迫という要因を完全に否定するものではありませんが、神経の圧迫だけで痛むのではないというのが正しい理解です。
面白い論文を一つ紹介します。
今まで腰痛になったことのない青壮年の人を対象にMRIを撮って調べて、何も言わずに放射線科にその結果を見てもらうというものです。
結果です。なんと76%がヘルニアあり、と診断されました。
ここからわかることは2つ
1)腰痛はなくても
ヘルニアという状態は一般的であること
2)ヘルニアと痛みは相関していない
ということです。

また、炎症の痛みも、免疫細胞の一つ、「マクロファージ」が炎症を感知して、その原因であるヘルニアを食べてくれることで改善するため、自然に消えていくヘルニアがたくさんあることもわかってきました。
椎間板ヘルニアの90%の患者さんは、自然治癒が期待できます。
よって椎間板ヘルニアと診断されても、全くへこむ必要はありません。
ヘルニアは痛みの原因とはいえないし、診断されても治る、ということです。
ヘルニアと言われた人も大丈夫です。自信を持ってください!!

●手術が必要な場合
ただし残念ながら手術が必要な場合もあります。
神経を木に喩えると、「神経根(しんけいこん)」という木の枝に相当する部分が障害されている場合は約90%の確率で自然治癒が期待できますが、幹に相当する「馬尾(ばび)」が障害されると自然治癒は期待できません。この馬尾が障害されると、両足やおしりのまわりにしびれが現れたり、尿が出にくくなったり、何度もトイレに行く、便秘になったり、会陰部に異常な感覚が出たりします。これを「馬尾症状」と言いますが、後遺障害が残る可能性があるだけでなく、生命予後(寿命)にも影響がおよぶため原則なるべく早く手術が望まれます。

●痛みを引き起こすヘルニアもある
馬尾症状までは無くてもヘルニアで痛みを訴え手術を希望する人がいるのも事実です。
実際の腰痛においてヘルニアが関係するのは23%存在します。この場合の原因として考えられるのは、神経根に対する被圧迫度、つまり、神経を押している強さが強いか弱いかの違いという理由はやはり存在するのでしょう。
ただし言い換えれば、馬尾症状のないヘルニアで、痛みが続き続けるのは23%程度だということです。とするなら多くのヘルニアは治りますし、逆に痛みが続くのであれば、違う要素が絡んでいるのではないかと考えなくてはなりません。
神経症状はないけど、ヘルニアと診断されて腰の痛みが続く場合、安易に手術という選択ではなく、それ以外の②~⑥の原因はないか探すことが賢明です。
次回、②以降の説明をしていきます。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
ハピネス一杯の一日でありますように。



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