葉酸の重要性
葉酸はビタミンB群の一つであり、体内で重要な役割を果たします。
以下は葉酸の主な体内での役割です:
- DNA合成:葉酸は細胞の成長と分裂に不可欠なDNAの合成に関与します。
- RNA合成:葉酸はRNAの合成にも必要であり、遺伝子の発現やタンパク質合成に重要です。
- 細胞分裂:葉酸は細胞分裂に関わるメチル基の供与者として機能し、細胞の成長や組織修復に寄与します。
- ホモシステイン代謝:葉酸はホモシステインというアミノ酸の代謝に関与し、血液中のホモシステイン濃度を調節します。
- 赤血球形成:葉酸は赤血球の正常な形成に必要であり、貧血の予防に役立ちます。
葉酸の不足が生じると、以下のような健康被害が起こる可能性があります:
- 貧血:葉酸の不足は大球性貧血と呼ばれる一種の貧血を引き起こす可能性があります。この状態では、赤血球の形成が妨げられます。
- 神経管閉鎖障害:妊娠初期の葉酸不足は神経管閉鎖障害と呼ばれる赤ちゃんの神経管形成の障害を引き起こすリスクがあります。
- 心血管疾患リスクの増加:葉酸の不足はホモシステイン濃度の上昇につながり、心血管疾患のリスクを増加させる可能性があります。
- 免疫機能の低下:葉酸は免疫システムの正常な機能にも関与しており、不足すると免疫機能が低下する可能性があります。
- 発育や発達の問題:葉酸は細胞の成長と分裂に関与するため、不足すると胎児や幼児の正常な発育や発達に影響を及ぼす可能性があります。これには成長遅延、神経発達の問題、認知機能の低下などが含まれます。
- こもれびの診療所における葉酸の踏み込んだ問題
当院では、特殊検査として、有機酸検査が行われます。この中にウラシルとチミンを見るところがあるのですが、これが高値の場合は葉酸代謝に支障があることを示しています。
葉酸代謝:葉酸は食品やサプリメントから取り込まれ、体内でジヒドロ葉酸(DHF)に代謝されます。その後、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)によってテトラヒドロ葉酸(THF)に変換され、THFはさまざまな生化学反応に関与します。
しかし、一部の人々は葉酸の代謝および利用に関わる酵素の遺伝的な変異を持っていることがあります。この場合、通常の葉酸の代謝経路の動きが悪いため、活性型葉酸を利用することが効果的です。
活性型葉酸は、5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)またはメチルテトラヒドロ葉酸とも呼ばれます。5-MTHFは、体内での葉酸の代謝の最終産物であり、DNAのメチル化やホモシステインの代謝などの重要な機能に関与します。
通常はこれを見極めることができないのですが、有機酸検査により稀にみられる、葉酸の代謝に関わる酵素の変異や遺伝的な要因による、葉酸の代謝経路が効率的に機能しない場合を発見することができます。このような場合、活性型葉酸の形で直接摂取することで、葉酸の利用効率を向上させることができます。
よって有機酸検査でウラシル・チミンに問題がある場合は通常の葉酸ではなく、活性型葉酸の摂取を推奨します。
- 副作用:通常、適切な量の葉酸を摂取する場合、一般的に副作用は報告されていません。葉酸は水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されることはほとんどありません。また、一般的に葉酸の摂取量が推奨される範囲内であれば、健康な人に対しては安全であると考えられています。
- 葉酸摂取時はビタミンB12も一緒に取る
葉酸とビタミンB12は、両方ともビタミンB群に属する栄養素です。これらのビタミンは互いに関係があり、相互に影響を及ぼす重要な役割を果たしています。
・葉酸の代謝:ビタミンB12は、葉酸の代謝に不可欠な役割を果たします。ビタミンB12は、葉酸が細胞内で正常に機能するために必要なメチル化反応の補酵素として働きます。葉酸はメチル基を供給し、ビタミンB12はこのメチル基を活性化させる役割を担っています。
・赤血球形成:ビタミンB12が不足すると、葉酸の代謝が妨げられ、大球性貧血と呼ばれる特定の種類の貧血が引き起こされる可能性があります。葉酸とビタミンB12の適切なバランスが赤血球の正常な形成に必要です。
・神経系の健康:ビタミンB12は神経系の正常な機能にも重要です。ビタミンB12の不足は、神経障害や神経症状を引き起こす可能性があります。葉酸とビタミンB12の適切な相互作用は、神経系の健康維持に寄与します。
以上より葉酸欠乏時はビタミンB12も一緒に摂取することがよりよいと考えられています。
医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/
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