内科医が行う耳鼻科治療 3

   

では、慢性上咽頭炎の治療を見ていきましょう。

 

●Bスポット治療(1%塩化亜鉛擦過治療)

Bスポットの「B」は「鼻咽腔」の「ビー」を指す和製英語です。一般的治療ではなく、日本でしか行っていない治療となります。現在Bスポット療法の学術団体(日本病巣研究会)ではEAT(Epipharyngeal Abrasive Therapy、上咽頭擦過治療)と呼ばれています。

この治療は歴史的には非常に古く、1960年代、山崎春三先生(大阪医大初代耳鼻科教授)および堀口申作先生(東京医科歯科大初代耳鼻科教授)が開始した治療法です。収れん作用(止血、鎮痛、防腐、殺菌作用)を持つ1%塩化亜鉛溶液を染みこませた綿棒(鼻から:鼻綿棒、のど:喉頭捲綿子)を上咽頭に擦りつけることで、上咽頭の炎症を鎮静化させます。

 

治療回数は10回程度が一つの目安となりますが、個人差がありますので症状がきつい場合はさらに回数が必要になる場合もあります。

 

●Bスポット療法の治療効果

Bスポット治療を10~15回行った場合、治療効果は症状により差がありますが、1999年大野、國弘らの報告では約70%に効果があったとしています。

 

めまい:76.7%

頭痛:72.0%

耳閉感:71.1%

咽頭痛:67.2%

肩こり:67.2%

咽頭異物感:66.7%

後鼻漏:64.0%

耳鳴り:62.5%

 

●こもれびの診療所における慢性上咽頭炎治療の適応

当院では診療所の性質上、鼻の治療としてBスポット療法を希望される方はほとんどいらっしゃいません。では、どのような場合に行われるのかといえば、慢性上咽頭炎が全身疾患の症状の原因として強く疑われる場合の補助治療としてです。

例えば、当院に多い過敏性腸症候群(IBS)を考えてみます。慢性上咽頭炎は、確かに自律神経を介してIBSの原因となりえます。しかし、IBSだからすぐに“Bスポット療法”というのではなく、まずは検査を行い、腸管内に必要な環境整備を行います。それに加え、鼻咽腔内の慢性炎症もIBSの原因の一つであると分かれば、Bスポット療法を加える、という方針です。

つまり、全身疾患の治療において一つの武器としてBスポット療法を取り入れる、という立場です。

現在の医療は細分化が進み、鼻の治療は基本的に耳鼻科でしか行えません。また、上咽頭の炎症を全身疾患の原因と考えることもほとんどありません。しかし、当院では、全身疾患の治療を行う内科系の診療所という立場を最大限に生かして、Bスポット療法を全身疾患の治療として行います。この広い視点こそが、慢性上咽頭炎の治療におけるもっとも大切な点だと考えています。





こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/

電話:03-6806-5457
住所:〒116-0003 東京都荒川区南千住5-21-7-2F(旧日下診療所)
最寄り駅:南千住駅より 徒歩 3 分

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