ミラーニューロンから考える大人の役割

   

私たちは「ミラーニューロン(共感細胞)」という神経細胞を持っています。これは他者の行動に対して「鏡のように」反映して発火する神経細胞のことです。

例えば、相手がけがをして苦しんでいたら、それを見ている自分の脳内ミラーニューロンが発火して痛みを共有します。2011年3月11日に起こった東日本大震災の映像を見て、日本中だけでなく、世界中が涙を流し、そして同じように苦しんでくれた姿がありました。これも脳内ミラーニューロンにより、目の前の映像を自分に起こったこと苦しみとして共有したからです。これが脳科学で見た「同苦」だと言えます。

このミラーニューロンは、実は生まれながらに持っていることが分かっています。米国の心理学者アンドルー・メルツォフの新生児の報告によれば、生後41分の赤ちゃんも、ごく簡単な手振りや顔の表情を本能的に模倣するそうです。つまり私達人間は、まず最も近くの「親」の顔の表情や言葉を模倣することから成長が始まるという事です。

さらに、このミラーニューロンは成長とともに、真似だけでなく、そこから社会のつながりを学ぶようになります。例えば赤ん坊がにっこり笑えば、それにこたえて親も笑う。2分後に赤ん坊はまたにっこり笑い、親もまた笑う。こうした親の模倣行動のお陰で、赤ん坊の脳は笑うのに必要な運動計画と自分の見た笑顔を関連づけられます。

そしてその繰り返しの中で、子供たちは笑顔とそこにある感情を学び、相手の気持ちを理解できるようになっていきます。

つまりミラーニューロンの存在による模倣という行為は、人間の行動様式にとても強い影響を及ぼすということです。

ならば、私たち大人は、これから日本を支えていく子供たちの前で、子供たちのミラーニューロンが良い着火をし、それが良い模倣に代わるように行動していく必要があると思います。

「人にあったらあいさつする」

「間違っていることをしたらごめんさないという」

「うそをつかない」

このような人として当たり前のことを大人がする国、そのような大人たちのいる国で育てば、そこで暮らす子供たちのミラーニューロンはただしく着火し、そこに暮らす子供たちもまた素敵な大人へと変わっていきます。

私がニコニコしてること、私が素敵な言葉を使うこと、これは私の周りの人たちのミラーニューロンを通して、家族に伝わり、近所の人たちやお店の人に広がり、やがて日本中に、そして世界に広がっていきます。逆に怒った顔や悪意のある言葉も同じ力を持っています。どうか、ミラーニューロンを意識し、日本を、世界をよくするために、笑顔で、素敵な言葉を使いましょう。

私達の行動が、これからの日本を支える子供たちのお手本である日本を祈って。

 





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