荒川区(南千住)の統合医療クリニックなら

医療法人社団徳風会
こもれびの診療所

こもれびの診療所では腹部膨満で苦しんでいる患者さんが、「自分はSIBOではないか」と検索してきてくれることが多いのですが、腹部膨満には、もう一つ重要な疾患があります。それがSIFOです。

SIFOとは”Small Intestinal Fungal Overgrowth”の略で、日本語で言えば、「小腸内真菌増殖症」つまり、SIBOが小腸内細菌増殖症であるのに対して、SIFOは、小腸内に、カビ（真菌）が異常に多く増殖する状態を指します。これにより、腹部膨満はもちろん、消化や栄養吸収に影響を与える可能性がある症状となります。
同じように感じるかもしれませんが、SIBOかSIFOの見極めは非常に重要です。なぜなら、SIBOで使われる抗生剤はSIFOには無効どころか有害の場合もあるからです。
ただし、現在の日本の医療ではSIBOとSIFOを見極めることは困難で、当院では有機酸検査や総合便検査にて、それらを診断しています。

ちなみに、現在SIFOの原因として考えられているのは、一般的に以下のような要因です。

1. 抗生物質の乱用: 抗生物質により腸内の善玉菌が減少した結果、真菌が増殖しやすくなる

2. 免疫系の弱体化: 免疫系の機能低下により、真菌の増殖が進む

3. 食生活: 高糖質や精製炭水化物、添加物を多く含む食事は真菌の増殖を助長する

4. 腸内環境の乱れ: 腸内細菌叢（腸内フローラ）の乱れやバランスの崩れがSIFOの発症に関与する

症状はSIBOと類似しておりますが、より全身の症状が強くなります。

1. 消化器系症状: 腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、ガスの増加などが見られることがあります。

2. 慢性疲労: SIFOが栄養吸収に影響を及ぼす場合、栄養不足による疲労が生じることがあります。

3. 体重変動: 栄養吸収が低下することで体重変動が生じる可能性があります。

4. その他: 頭痛、皮膚の発疹、集中力の低下など（個人差のある症状が報告）

治療方法: SIFOの治療は個々の症状や原因に基づいて行われるべきですが、以下は一般的なアプローチです。

1. 抗真菌薬: 抗真菌薬は真菌の増殖を抑えるために使用されることがあります。一般的な薬剤にはニスタチンやフルコナゾールなどがありますが、当院では天然素材のものを使うことが一般的です。

2. 栄養療法: 栄養の改善やビタミン・ミネラル補充

3. 腸内細菌叢の調整: プロバイオティクスや発酵食品を摂取して、腸内環境を整えることが考慮されます。

食事療法

1. 砂糖と甘味料を避ける: 真菌は砂糖を好んで増殖しますので、加工食品、甘いスナック、ジュース、砂糖入り飲料、甘いお菓子などの摂取を制限してください。

2. 精製炭水化物（小麦）を避ける： 白パン、パスタなどの精製された炭水化物は、血糖値を急激に上昇させ、真菌の成長を促進する可能性があります。全粒穀物や低糖質の代替品を選ぶことが大切です。

3. 酵母を含む食品を避ける: ビール、ワイン、パン、一部のチーズなどに含まれる酵母は真菌の増殖に関与する可能性があります。

4. 乳製品を避ける: 特に加糖の乳製品は、真菌の増殖につながる場合がありますので、砂糖が含まれているヨーグルトや甘いチーズなどの摂取を控えるべきです。

5. アルコールを避ける: アルコールは腸の健康を悪化させる可能性があり、真菌の成長を助長する場合があります。

6. 高脂肪の食品を避ける: 高脂肪の食品は腸の消化を遅らせ、真菌の増殖を助長する可能性があるため、特に加工肉、揚げ物、油っこい料理などは避けるべきです。

7. 保存料や添加物を避ける： 加工食品に含まれる保存料や添加物は腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

以上SIFOについてお話ししました。腹部膨満の症状で抗生剤を飲んだのに効果がない方などはSIFOも念頭に置いておくことが大切です。