亜鉛

   

こもれびの診療所では分子栄養学に基づく治療を行っていますが、その中で、非常に多くの人が亜鉛不足に陥っています。
亜鉛不足によりみられる症状としては以下のようなものがあります。

  1. 炎症性腸疾患:低亜鉛状態は、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患のリスクを高めるとされています。亜鉛は、免疫機能を調整するために必要な栄養素の1つであり、低亜鉛状態は免疫系の機能低下を引き起こし、炎症性腸疾患の発症や進行を促すことがあります。

  2. 皮膚疾患:亜鉛は、皮膚細胞の成長や再生に必要な栄養素であるため、低亜鉛状態は、さまざまな皮膚疾患の原因となる可能性があります。例えば、乾燥肌、かぶれ、水ぶくれ、湿疹、ざ瘡などが挙げられます。

  3. 味覚障害:亜鉛は、味覚受容体の機能に必要な栄養素であるため、低亜鉛状態は、味覚障害を引き起こすことがあります。特に、味覚受容体の一種である「塩味受容体」の機能が低下することにより、食事の味が薄く感じられるようになります。

    特に小児の亜鉛不足は問題が深刻です。

    1. 成長障害:亜鉛は、細胞分裂や成長に必要な栄養素であるため、亜鉛不足が長期間続くと、小児の成長に影響を与えることがあります。また、免疫系の発達にも必要なため、亜鉛不足によって免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。

    2. 皮膚炎:亜鉛不足によって、皮膚のバリア機能が低下することがあり、皮膚炎を引き起こすことがあります。特に、口唇炎や肛門周囲炎などの発症率が高くなることが知られています。

    3. 味覚障害:亜鉛は、味覚受容体の機能に必要な栄養素であるため、亜鉛不足によって味覚障害が起こることがあります。特に、塩味や甘味が感じにくくなることが知られています。

    4. 下痢や嘔吐:亜鉛は、腸管上皮細胞の機能にも関与しており、亜鉛不足が続くと、腸管上皮細胞の機能が低下し、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。

    なお、不測の場合は亜鉛補充療法がおこなわれます。必要な亜鉛量は、年齢や性別、健康状態によって異なります。一般的には、成人男性の場合、1日あたり15〜30mg、成人女性の場合は10〜20mg程度が推奨されています。ただしこれはあくまでも目安で、亜鉛は吸収が難しいミネラルなので強い不足の場合はなかなか消化機能を高めたうえで、少し多めに摂取しないと上昇しないことも少なくありません。しかし一方で亜鉛の過剰摂取は、健康に悪影響を与える可能性があります。例えば、1日あたり40mg以上の亜鉛を摂取しつづけると、鉄や銅の吸収を阻害し、貧血や銅欠乏症のリスクを高まるという報告があります。また、長期間にわたって大量の亜鉛を摂取すると、免疫機能の低下や神経毒性などの健康被害が報告されています。

    そのため、亜鉛の補充を行う場合は、医師の指導のもとで適切な量を摂取することが必要となります。また、食事からの亜鉛摂取も大切であり、バランスのとれた食生活を心がけることが重要です。



医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/

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