IBS・SIBOの為の睡眠改善方法3

   

これまで2回にわたって睡眠改善方法をお話してきました。
でも、それでも眠れない人はいらっしゃるでしょう。
その人のために、さらなる提案です。

1)眠れないときは、一度ふとんから出る

ふとんに入って30分以上眠れない場合は、まだ心身ともに「眠るとき」ではないと考え、思い切って布団から出るようにしましょう。
眠くなってから布団に戻ると決めて、“ホットミルクやハーブティーを飲む”、“クラシックやヒーリング音楽を聴く”、“本を読む”などリラックスできることをします。この時、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイを見ると、脳が覚醒モードに切り替えられ、不眠がさらに誘発されます。良い眠りのためには、IT機器は出来るだけ遠ざけるようにしましょう。

2)眠れないことは悪くないと知る

不眠を悪化させる大きな原因の一つに、「不眠への恐怖」があげられます。「眠れなかったらどうしよう」、「寝ないと疲れがどんどんたまっていく」などと考えすぎて、さらに不安になって眠れなくなるという悪循環です。
しかし、そもそも不眠で死んだ人はいませんし、不眠はあなただけの悩みではありません。「国民健康・栄養調査2013*」によると、「夜間に何度も目が覚める」と答えた人は約24%、「夜眠りにつきにくい」人は約16%、「朝早く目が覚めてしまう」人は約17%と非常に多くの日本人が何らかの睡眠問題を抱えています。
また、『眠れない人は長生き』というびっくりするような論文も存在します。
それによると、「不眠を感じたことがない」という人を基準にした場合、「月に1回程度は不眠を感じる」という人は、死亡の危険度が男性で13%、女性で19%低下、「月に数回から10回以上不眠を感じる」という人でも、死亡の危険が10%程度少ないという結論でした。つまり、不眠を感じる回数にかかわりなく、不眠を感じる人の方が、不眠を感じない人よりも長生きであるということです。
Kripke DF, “Mortality associated with sleep duration and insomnia.” Arch Gen Psychiatry. 2002 Feb;59(2):131-6.

この調査結果を見たとき、私は非常に驚きました。どうしてなのだろう。どうして眠れない方が長生きなのだろう。しかし、その理由までは論文には書かれていませんでした。
そこで、私自身の経験からその理由を考察することにしました。
いつでもどこでもすぐに寝られていたときはいつか、と聞かれれば、私の場合、まず中学の時が浮かびます。野球部に所属し、夜の8時まで練習。それから家に帰ってご飯。風呂のあとすぐに寝て、午前3時に起きて勉強する、という毎日を送っていたときは、ベッドに入れば1分以内で眠りに落ちていました。
もう一つ思い出すのが、大学病院に勤めていたころです。ひどいときは当直の回数が月に17日。大学当直の翌日に外勤での当直というときもあり、さらに当直中は夜間何度も起こされるということも日常茶飯事でしたから、そのような時はベッドに入れば瞬時でバタン、キューでした。
この2つから考えられること、それは不眠の不の字もないときは、常に「睡眠不足の状態」であったという事です。
つまり、この論文の結論に対する私なりの解釈は、「いつでも眠れる人」は「慢性の睡眠不足の人」であり、「時折眠れない人」は「十分睡眠がとれている人」であるということです。よって後者の方が当然長生きになる、ということです。
ようするに、ここで皆さんにお伝えしたいことは、不眠で心を悩ませていうると、さらに不眠になる。そんなことはやめましょう、という事です。
「眠らなくったって死ぬことはないから、まあいいか」
「自分と同じように眠れない人は日本全国に数百万以上いるんだなあ」
「眠れないということは十分睡眠が足りているから、長生きだということか」
などと考え、心の余裕を持ち、眠れなくてもどっしり構えていてほしいと思います。
ちなみに私は、眠れない夜は、スイスの哲学者、カール・ヒルティの
「眠られぬ夜こそ、神が与えたもうた貴重な時間である」
という言葉を思い出し、いろいろ空想や瞑想をして楽しむようにしています。



*「国民健康・栄養調査」:厚生労働省が国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的として、毎年実施するもの。

3)実はあなたは眠っている
眠れないのは、実は眠れないと思っている人の勘違いなのではないか、そんな論文をいくつかご紹介します。
2004年、米国においてタン博士の行った研究です。これは不眠症で苦しんでいると訴える人たちが実際に眠った時間と、当人が眠ったと自覚する時間とを比較検討するというものでした。
その結果です。
不眠症の人は、平均三時間しか眠っていないと思い込んでいたのですが、実際の医学的測定による平均睡眠時間はなんと七時間近くでした。
つまり、「眠っていない」というのは、不眠症の人々の勘違いだったのです。
Tang, N. K. Y., & Harvey, A. G. (2004). Correcting distorted perception of sleep in insomnia: A novel behavioural experiment? Behaviour Research and Therapy, 42(1), 27-39.
また、同じような研究として、不眠症患者を集め、レム睡眠に入ったときに起こし、いま眠っていたか質問するというものがあります。これも、ぐっすり眠っていたはずの不眠症患者の多くが、自分は目が冴えていたと答えました。
Jeremy D Mercer“Insomniacs. ' Perception of Wake Instead of Sleep.”Sleep, Volume 25, Issue 5, 1 August 2002, Pages 559–566

以上より、この研究を行った研究者は、「不眠者は、自分が眠れないという夢を見ていたのではないか」というコメントを行っています。
*レム睡眠~レム睡眠とは眠っていても眼球が動いている、眠りの浅い状態のこと。いっぽうノンレム睡眠というものもあり、これは眼球が動かない眠りで、ぐっすり寝ている状態のことを示す。人は通常眠りにおちると、すぐに深い眠りのノンレム睡眠になり、次に浅い眠りのレム睡眠になる。だいたい90分でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返している。

 以上良い睡眠(寝つきが良い・ぐっすり眠る・寝起きすっきり)のために必要なことを検討してきました。これらを取り入れれば、良質な睡眠が手に入ると思います。これにより、自動的にすっきりした朝を迎えることが出来るでしょう。ぜひ、IBS・SIBOの克服のため、そして自分自身の健康のために、良い睡眠を確保してほしいとおもっています。




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