和食は幸せの青い鳥
毎日、毎日、テレビをつければどこかの局で健康番組が放送されています。A番組で「チーズは太るので健康のために控えなさい」とやっているかと思えば、B番組では「チーズは長生きに必要なタンパク源です」と放送していたりします。また、通販番組でも、「○○を飲めば健康寿命が延びる」だの、「膝の痛みがとれる」など健康サプリメントのオンパレードです。
逆に言えば、日本人はそれぐらい健康に関心が高いし、努力家だと言えるかもしれません。
ただし、良くも悪くも日本人は素直です。テレビで白衣を着た人の言ったコメントは疑うことがなく、皆素直に従います。よって、「ニンニクをつけたエクストラバージンオリーブオイルがアルツハイマー型認知症に効果がある」と聞けば、翌日スーパーの棚からニンニクとオリーブオイルが売り切れるという現象が起こったりするのです。
しかし、それらの健康法がずっと続けられているかというと、そのようなことはほとんどありません。長くて数か月、早い場合は数日で、そのブームは終わりをつげ、また新たな「健康になるための食品」を探す旅が始まります。しかしそれは私には、ベルギーの詩人であり劇作家でもあるモーリス・メーテルリンクが描いた童話「青い鳥」のように思えます。
「青い鳥」の話はご存知ない人もいるかと思うのでその内容を簡単に述べさせてください。
あるところに、貧しい木こりの家庭があり、そこに2人の子ども、兄「チルチル」、と妹「ミチル」がいます。
クリスマス前の夜、彼らのもとに魔法使いのおばあさんがやってくる。そして魔法使いは二人にこう告げます。
「私の孫が病気で苦しんでいる。病気を治すために『幸せの青い鳥』を見つけてきてほしい」。
鳥かごを持って出かけたチルチルとミチル。妖精に導かれながら、さまざまな場所を訪れます。
最初に行ったのは、「思い出の国」。2人はここで、亡くなったはずのおじいさんとおばあさんに出会い、青い鳥の場所を教えてもらい、捕まえることに成功します。しかし、「思い出の国」を出たとたんに黒い鳥へと変わってしまいます。それと同じような展開で、「夜の御殿」、「贅沢の御殿」、「未来の国」などへ行くのですが、青い鳥と思って捕まえた鳥はすべてその国を出ると青い鳥ではなくなりどうしても捕まえられないのです。そんな時……。
「起きなさい。今日はクリスマスですよ」
お母さんの声が聞こえ、2人はベッドの上で目を覚まします。「とうとう青い鳥を捕まえることができなかった」とがっかりしていると、部屋にある鳥かごの中に青い羽根を見つけるのです。
「そうか、ぼくたちの飼っていたハトが、ほんとうの青い鳥だったんだ。しあわせの青い鳥は、ぼくたちの家にいたんだ」
そして二人はお互いに顔を見合わせて、ニッコリします。
魔法使いのおばあさんは二人に、しあわせはすぐそばにあっても、なかなか気がつかないものだと教えてくれたのだ、という物語なのです。
現在の日本人にとって、健康番組を見ながら、「健康を与えてくれる食べ物」を探し続けている姿は、チルチルとミチルが探していた青い鳥に似ているように思います。ボケない、がんにならない、長生きできる、そんなすごい「幸せの青い鳥」が世界のどこかにいないかと、探し続けている姿はまさにチルチルとミチルと同じように見えませんか?しかし、日本人の皆様に気が付いてほしいと思っています。その幸せの青い鳥は目の前にあるということを。そう、日本人における健康の青い鳥は、どこか遠くの特別な食べ物ではなく、いつも私たちの目の前にあり続けた「和食」なのです。私たちが幼いころから食べつづけてきた、ご飯、味噌汁、納豆こそが日本人の健康にとっての「健康の青い鳥」なのです。
よって、ここから、青い鳥を探す旅ではなく、青い鳥である「和食」が私達日本人にとってどれだけ健康に寄与しているか、また日本という国を救う食べ物なのかを発見する旅にお付き合いいただければと思います。
旅が終わるとき、あなたの目の前にあるご飯が、味噌汁が、納豆が黄金に輝いて見えることは間違いないと確信して、いざ出発!!
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