パーフェクト食事療法
「食事療法」
と聞くと、どうも多くの日本人は、何かのスーパーフードを思い浮かべるようです。
「○○を食べれば病気にならない」「○○を食べれば○○が治る」
みたいな感じです。
しかし、今のところ、何かさえ食べれば病気にならない、病気を治す、という食材はなさそうです。また、時々出てくるスーパーフードらしき食材も、Aの本では「摂取せよ」と書いていても、Bの本を見れば「摂取はむしろ不健康である」と書いていたりします。
では一体どうすればよいのか?
今日はその答えを導く出してくれる最新文献をご紹介します。
2021年11月にScienceにて発表された健康長寿になるための食事についてのメタアナリシスした論文です。メタアナリシスとは複数の独⽴した研究の結果を統計的に統合するための技法のことで、ここでいえば、『様々な健康になるための食事療法が書かれた論文を解析して、「正しい食事療法」の結論を導き出そうと試みた』、ということになります。
(Antiaging diets: Separating fact from fiction. Science. 2021 Nov 19;374(6570):eabe7365.doi: 10.1126/science.abe7365. https://www.science.org/doi/10.1126/science.abe7365)
ワクワクしますね。
面白いのが、この論文のタイトルです。
「作り話から事実を振り分ける」
このタイトルからも、健康長寿食についての諸説は玉石混交状態であることがわかります。
では結論を見ていきましょう。
世界の代表的な食事の方法としては下記のようなものがあげられていました。
- Calorie Restriction CR カロリー制限食
- intermittent fasting 間欠的断食
- fasting-mimicking diets, FMD
- ketogenic diets, ケトン体食
- time-restricted feeding, 時間制限食
- protein restriction, タンパク制限食
- dietary restriction of specific amino acids. アミノ酸制限食
簡単に言えば「糖質制限食」「肉制限食(野菜中心食)」「脂肪制限」「様々な断食」を分析した、という事です。
結論です。
霊長類において寿命延長効果が確認できたものはCRのみ、つまり食べ過ぎないことは寿命に効果があった、ということです。しかしCRには栄養不足による骨粗鬆症などのリスクも認められており、どの程度のCRをどのくらいの期間にわたり行うべきかについては不明です。
他の食の摂取方法については、動物実験ではそれなりの結果が出ているようですがそれぞれ一長一短があり、社会生活を送っている人間にとってどれが相応しいものかは結論が出ていません。
つまり「糖質制限」も「肉制限」も「断食」もそれ自体が人間の健康に関与するかどうかは、わからない、言い方を変えればそれが合う人も合わない人もいて、全ての人に共通する「○○食事療法」というのは、現時点では見つけられていない、という事です。
でもそれは当然だと思います。
だって、地理が違い、食べ物が全く違ってきた日本人と、エスキモーと、イタリア人の共通の健康食なんて見つかるはずがないです。
エスキモーの人たちが味噌汁を食べないから不健康という事はないし、イタリア人がお米を食べないから悪い、ということもありません。
逆に日本人がオリーブオイルをとらないから不健康、ということももちろんありません。
十人十色であるのが人間です。
日本人である私たちは、「和食」をベースにして、自分にあった食事方法を見つけていく、それしかないと考えています。
どうか、みな様の毎日の食卓が笑顔と健康で彩られていますように。
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