内科医がやる鼻治療 1

   

こんにちは。こもれびの診療所加藤です。

今日は鼻腔内における慢性上咽頭炎のお話です。

 

●上咽頭とは

上咽頭は鼻咽腔とも言われ、鼻の一番奥で、鼻と咽頭との境界部分を指します。

上咽頭は外部からの異物(ウイルスや細菌、花粉など)から体を守る門番であり、その表面には自己防衛作用を持つリンパ球が多数存在し、体にとっては「免疫前線基地」と言い換えることができます。

●上咽頭炎

上咽頭炎とは、呼吸で取り入れた空気に含まれる細菌やウィルス、またアレルギー性鼻炎

や疲労、ストレスなどを契機に上咽頭に炎症が起きた状態です。

上咽頭炎は、風邪などの急性期の時はのどの痛みとして感じることも多いのですが、急性期を過ぎると、上咽頭炎とは気が付かないケースが多く、気づかれないまま、様々な不調の原因となっていることがあります。

 

●慢性上咽頭炎の症状

1)直接感染による慢性上咽頭炎そのもの、あるいは炎症の放散による症状 

疼痛:頭、顔、鼻、目、耳、歯、のどなどの痛み

鼻の症状:鼻閉、鼻汁、後鼻漏

耳の症状:耳閉感、難聴、耳鳴りなど

のどの症状:咳、痰、声がれ、違和感など

2)自律神経系の乱れを介した症状~上咽頭が脳神経である舌咽神経、迷走神経、そして自律神経と繋がっているため起こる症状

全身倦怠感、めまい、慢性疲労、睡眠障害、胃腸障害など

③上咽頭を病巣とした血流やリンパ流を介した全身性の感染の蔓延によるもの~原因不明の発熱など

④自己抗体などの免疫機序を介した二次性の疾患によるもの

IgA腎症、慢性関節リウマチ、掌蹠膿疱症、尋常性乾癬、アレルギー性紫斑病、ベーチェット病など

 

このように慢性上咽頭炎は、いくつかのメカニズムを介して異なる病態を引き起こすため、結果としてその症状は多彩で経過も多様となります。

 

明日は自分自身が慢性上咽頭炎かどうかのチェックの仕方をお話します。





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