「1分で効く! 下痢止めBOOK: 過敏性腸症候群(IBS)を自分の力で治す本」~東洋医学的視点

   

●便の性状から処方を考える

便の性状から自分に最も合った漢方を考えてみましょう。

まずあなたが下痢の場合です。なお便秘の定義ですが東洋医学では、数日に1回でも気持ち良く排便されればそれは正常便と考えます。逆に毎日出ていても、すっきりしない、気持ちよく出ない場合は便秘と考えます。あくまでも自覚症状が最も大切な所見になります。

さて、IBSで漢方を選ぶ場合、自分の便秘が「熱」タイプか、「冷え」タイプかを判断することが最も大切になります。

自分のお腹を触ってみてください。緊張感があり、充実感があればそれは「熱」を持つタイプです。

逆に緊張感がなく、充実感に乏しいフニャフニャしたお腹は「冷え」タイプとなります。

少し分かりにくいかも知れません。そんな時は、冬でも冷たいアイスコーヒーなどを好む場合は「熱」、夏でも温かい飲み物を好むなら、「冷え」、または下痢が勢いよく出る場合は「熱」、泥状で元気なく出る場合は「冷え」タイプと考えてください。

これで自分が熱タイプだとわかれば、大体2つの処方を知っておけばOKです。まず基本になるのは「柴苓湯」です。これは清熱の「小柴胡湯」と利水の「五苓散」という漢方で代表的な2剤を混ぜたものです。よってまずこれを試してみてください。

これで効果乏しく、さらに勢いよく激しいタイプであれば「猪苓湯」がお勧めです。これはもっと強い清熱の生薬と利水の生薬を混ぜられておりますからさらに強い効果を発揮します。

これに対して「冷え」がメインの便秘の場合は「桂枝加芍薬湯」を代表とする建中湯類というお腹の薬が基本になります。

さらに細かく言えば冷えの便秘で喉が渇きやすければ小建中湯、寝汗を書くなら黄耆建中湯、生理痛など女性の問題があるなら当帰建中湯、とにかく冷えてたまらないなら当帰四逆加呉茱萸湯、お腹が張って、腹筋が薄く、腸を触れるような感じであれば大建中湯を利用することになります。

 

なお、IBSの場合、便秘と下痢を繰り返しますが、これらのお薬は不思議なことに「下痢」の時も効果があります。なぜなら、これらは「無理やり便を出させる」ものではなく「腸の状態を安定させ、元の状態に戻す」ためのものだからです。よって両方の症状が交互に出る場合でも、使って結構です。

ただ、「冷え」の状態で、より下痢に偏っていれば、「真武湯」という処方も考慮します。

これに対して、冷えで便秘が主の場合は桂枝加芍薬大黄湯を第一候補と考えます。





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