コロナワクチン後遺症治療の可能性~タウリン

      2023/06/01

先日のコロナワクチン後遺症の勉強会にて、タウリンの可能性を学びましたので、ここにご報告させていただきます。 

タウリンは、非必須アミノ酸の一種で、人体内で生成されることも食品から摂取することもできる身近で安全なものですが、体内において非常に多くの仕事を成し遂げています。
今回は特に、コロナワクチン後遺症治療という点から、タウリンの可能性を考えてみたいと思います。

  • コロナワクチン後遺症治療の基本的順序

ワクチン後遺症の基本治療は以下のような順番での治療が基本となります。

  • 解毒:後遺症の原因となるスパイクタンパク質、ポリエチレングリコール、脂質ナノ粒子などの分解・排泄
  • 炎症の鎮静化:抗酸化・抗糖化・抗炎症治療
  • 免疫機能の回復
  • エネルギー代謝の回復:ミトコンドリア機能改善

 これに対して、タウリンは、すべてにプラスの影響を与えることが可能となっています。

➀解毒

  • 肝臓解毒作用: タウリンは肝臓の解毒作用を助けます。肝臓は体内の有害物質を分解・代謝する主要な臓器であり、タウリンは肝臓の解毒酵素の活性を促進し、有害な物質を無毒化するプロセスを支援します。また、タウリンは肝細胞の再生を促進し、肝機能の回復をサポートすることも知られています。
  • グルタチオン合成の促進: グルタチオンは細胞内で重要な抗酸化物質および解毒物質として機能し、有害物質の排出や酸化ストレスの軽減に重要な役割を果たします。タウリンはグルタチオンの合成を促進し、細胞の解毒能力を高めます。
  • 重金属排出の支援: タウリンは一部の重金属(例:水銀、カドミウムなど)の排出を助けるとされています。タウリンは重金属と結合して、それらを体外に排出する過程を補助します。
  • 脂肪代謝の改善: タウリンは脂肪代謝を促進し、脂肪蓄積を抑制する効果があります。脂肪組織は一部の有害物質を蓄積する場所でもあり、タウリンの脂肪代謝改善効果によって、有害物質の貯蔵や蓄積を減らすことができます。

②炎症の鎮静化:抗酸化・抗糖化・抗炎症(酸化・糖化が炎症を惹起する)

  • 抗酸化作用: タウリンは抗酸化物質として機能し、細胞や組織を酸化ストレスから保護します。タウリンは細胞内の活性酸素種を中和し、酸化ダメージを軽減します。
  • 抗糖化:タウリンはインスリンの分泌を促進し、糖代謝の調節に関与します。これにより、血糖値の制御が改善され、炎症を悪化させる糖化の抑制を行います。
  • 炎症抑制作用:タウリンは炎症反応を抑制する働きがあります。
    1)抗酸化作用:酸化ストレスは炎症反応の引き金となることがありますので、タウリンの抗酸化作用によって、炎症反応を抑制することができます。
    2)炎症性サイトカインの調節:タウリンは炎症性サイトカイン(例:IL-1βIL-6TNF-αなど)の産生を抑制することが知られています。これにより、炎症反応の発生や進行を抑制し、炎症性疾患における症状の軽減が期待できます。
    3)NF-κBの抑制:タウリンは炎症反応の主要な制御因子であるNF-κB(核因子κB)の活性を抑制することが示されています。NF-κBは炎症性遺伝子の発現を促進し、炎症反応の調節に重要な役割を果たします。タウリンのNF-κB抑制作用により、炎症反応が抑制される可能性があります。

③免疫機能の回復

  • タウリンは炎症細胞の活性を調節することが報告されています。例えば、マクロファージや好中球など免疫機能を調整する作用があり、これにより免疫機能の強化に寄与し、感染症や炎症性疾患に対する抵抗力を向上させます。

④エネルギー代謝の回復

  • ミトコンドリア機能の向上: タウリンは細胞膜の構成成分として重要であり、脂肪酸の細胞内への取り込みや輸送を助ける役割を果たします。これにより、脂肪酸がミトコンドリア内でエネルギー生産に利用されるプロセスを活性化します。またタウリンはミトコンドリアの呼吸鎖活性を促進し、酸化的リン酸化の過程でエネルギーを生産する能力を高めると考えられています。
  • 筋肉機能の調節: タウリンは筋肉の収縮に関与し、筋肉の機能とパフォーマンスの向上に寄与します。
  • 視力の改善:エネルギー代謝異常においてはよく視力の問題が出ます。これに対してタウリンは眼の組織を保護し、網膜の健康維持に関与するため、視野の改善が期待できます。ちなみに、加齢黄斑変性症や緑内障などの眼の疾患において、タウリンの摂取は有益だとする報告も散見されます。
  • 電解質バランスの改善:ワクチン後遺症により電解質バランスの悪化が時折みられます。これに対してタウリンは細胞膜上のイオンチャネルを調節することによって、カリウムとナトリウムの取り込みと放出を制御し、細胞の水分バランスや神経伝達の正常な機能をサポートすることで、細胞内ミトコンドリアの動きの改善をはかります。

⑤精神の安定:GABAγ-アミノ酪酸)産生の亢進

コロナワクチン後遺症は体調の悪さからメンタル的に問題を生じる場合が非常に多いのですが、タウリンは、この問題をGABAの産生を促進することで改善に導く可能性があります。

  • GABA:脳内神経伝達物質の一種。鎮静効果・リラックス効果・睡眠改善効果・不安や緊張の緩和、などの効果を持ちます。またGABAは神経興奮の調節に関与することから、過剰な興奮や不適切な脳内の情報処理を防ぐことで注意力の向上、つまりブレインフォグの改善効果も期待できます。
  • タウリンがGABAを産生する理由:
    1)グルタミン酸の供給: タウリンは細胞内でグルタミン酸の供給を増やすことが知られています。グルタミン酸はGABAの前駆体となるアミノ酸であり、GABAの合成に必要です。タウリンの作用によって、グルタミン酸の利用が促進され、GABAの合成が助けられます。
    2)GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)の活性化: タウリンはGADと呼ばれる酵素の活性を促進します。GADはグルタミン酸をGABAへ変換する重要な酵素であり、GABAの合成に不可欠です。タウリンがGADの活性を増強することで、GABAの合成が促進されます。
    3)GABAトランスポーターの調節: タウリンはGABAトランスポーターと呼ばれる輸送体の活性を調節することが報告されています。GABAトランスポーターは細胞膜を通じてGABAの取り込みと放出を制御する役割を果たします。タウリンの作用によって、GABAトランスポーターの活性が調節され、GABAの正常な輸送が促進されます。
    これらの機序によって、タウリンは神経伝達物質としてのGABAの量を増やし、放出すことができます。

 以上、コロナワクチン後遺症の治療という視点でタウリンの魅力を考えていました。

非常に安価で安全な医薬品です。ぜひ、検討してみてください。

なお、タウリンは医薬品としても扱われています。投与量等は必ず医療者に相談するようにしてください。



医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/

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