腰痛のお話し5~心理社会的要因
本日の慢性腰痛のお話は
①椎間板の異常
②椎間関節の異常
③筋肉の異常
④神経の異常
⑤骨の異常
⑥心理社会的要因
のラストであり最も大切な「⑥心理社会的要因」についてです。
これまで①~⑤の痛みについて説明してきましたが、①~⑤に加えて、⑥心理・社会的な要因が複雑にからみ合い、何が直接の原因となって痛みが起きているのかを特定することができないタイプが多く存在します。このタイプを、「非器質性腰痛(器質‥内蔵や神経、筋肉、器官など、体の組織のこと)」と呼びます。
実は腰痛の85%が原因不明の「非特異的腰痛」と報告されています。
「非器質性疾痛」は、ストレスや、うつ(不眠、食欲不振、朝痛みがひどい)、不安などが原因で、「痛み」として脳に知覚される疾痛です。
例えば、普段私たちは、一生懸命仕事をしていると、体に疲労性の痛みを感じることがあります。この時に痛みをブロックするシステムが働きます。これを「下行性疼痛抑制系」と言い、脳の側坐核から痛みをブロックするμ(ミュー)オピオイド受容体を産生します。このシステムが正常に機能しているおかげで、多少「痛いな」と思いながらも、仕事ができたりするわけです。
しかし、仕事の疲れによる痛みでも、心理社会的要因が加わると慢性化していく可能性が高くなります。
例えば仕事の満足度の違い。
①収入に満足しているか
②職場環境に満足しているか
③仕事内容に満足しているか
④同僚との関係に満足しているか
この4つがポイントにおいて満足度が低い場合、腰痛は慢性化していく傾向があります。
また心理的な要因としてうつ傾向、不安傾向、ストレスが多い、などがある場合も、腰痛は慢性化、難治化していくことがわかっています。
ストレスや、うつ、不安の状態に曝ろされていると、その痛みを抑える体のシステム、「下行性疾痛抑制系」がうまく働かなくなるからです。
これを診断するのに「BS-POP」というものがあります。
利権の関係でここにはお示ししませんが、ネットですぐに出てきますので気になる人はやってみてください。
患者さん用のチェックリストで15点以上の場合は、心理社会的要因が痛みに関わっている可能性が高くなります。
その際は、腰痛の治療方針を、心の、脳の治療へとシフトしていきましょう。
●治療
腰痛において、痛み止めをもらったり、シップを貼ったりしている方は多いでしょうが、心理社会的要因が原因の場合、炎症を伴っていませんから、炎症を止めることで疼痛抑制効果を発揮する一般的な鎮痛剤は基本効果を発揮しません。
このような場合西洋医学では、抗炎症薬ではなく、体に備わっている痛みを防御するシステム(下行性疾痛抑制系)の働きを改善するために、抗うつ薬や抗不安薬が一般的には利用されます。これらによりμオピオイド受容体を増やし、脳の多幸感を高めるエンドルフィンを多くする、という戦略をとるわけです。
しかし、これは副作用も多く、また長期使用によりその後の問題が気になるところです。
可能であればできるだけ自己治癒力を高める方向で進めたい、その思いからこもれびの診療所では
- YNSA(頭への鍼治療)
- μオピオイド受容体を増やす通電治療
- 副腎疲労改善による抗ストレス耐性治療
- アルファコイルによる脳波リラクゼーション
- ラクリスマッサージによる筋膜リリース及びリラクゼーション
などをメインに、根本治療を目指して対応するようにしています。
さらに心理療法を随時行っています。
どのようなことを行っているのかは次回ご説明したいと思います。
慢性腰痛に効果のある自分でもできる心理療法です。
ぜひご活用ください。
あなたの腰痛の85%はいつ治ってもよい腰痛です。
これまで腰痛に人生をほんろうされてきた人は少なくないでしょう。
でももう大丈夫です。
腰痛をコントロール下に置き、人生のハンドルは自分自身で握りましょう。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
ハピネス一杯の毎日でありますように。
医療法人社団徳風会 こもれびの診療所:https://komorebi-shinryojo.com/
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