地理から考える日本人にとって正しい食事

   

では次に、日本の地理から、適切な食事を考えていきましょう。

私たちの国に「栄養学」という学問が入ってきたのは、今から100年以上前の明治時代初期です。300年以上続いた江戸から、明治という時代の変化において、時の政府は、「富国強兵」を旗印に、西洋諸国から知識を吸収することに全力を注ぎました。その際、非常に大きな役割を果たした国がドイツです。ドイツからは政治、経済、法律、科学など様々な文化を取り入れました。特にドイツ医療の貢献は大きく、近代日本医学の基礎を作り出しています。

現在の栄養学の礎もまた「ドイツ」です。では、ドイツの栄養学とはいかなるものだったのでしょうか。簡単に言えば、「カロリーと栄養素を中心にして考える学問」です。その基礎を作ったのがドイツミュンヘン大学栄養学者、カール・フォン・フォイト。彼は、健康そうなドイツ人の食生活調査を調査し、当時の平均体重64kgの健康ドイツ人は一日当たりタンパク質118g、脂肪56g、糖質500g、およそ3000kcalを摂っていることに目をつけ、その量こそが健康になるための必要量であると提唱し、これをドイツ栄養学の基本としました。そして、この学問を取り入れた明治の日本は、当時の日本人の体重52kgから比例配分して「タンパク質96g、脂肪45g、糖質415g、2450kcal」を日本人の栄養所要量と定めたのです。これは当時の日本人の食生活「タンパク質56g、脂肪6g、糖質394g、1850kcal」を大幅に超えるものでした。

でも、なぜドイツはこのような高たんぱく、高カロリーの食事になったのでしょうか。それを「地理」という視点から考えてみましょう。

ドイツの首都ベルリンは、北ヨーロッパの北緯52度に位置します。これは北緯45度、日本列島最北端北海道の稚内より北にあたります。(ちなみに日本国の最北端は北方領土択捉島であす。お間違いのないように)つまり、ドイツは北海道よりさらに緯度が高い、非常に寒冷な土地であるということです。となると、当然土地は痩せ、穀物、野菜などを作ることが困難な環境だと推測できる。さらに寒冷のドイツでは、体温を維持するために、高カロリー、高脂肪の食事が求められます。そのため、寒冷地ドイツでは生きていくために「酪農、放牧」が中心にならざるを得ず、その結果、肉、牛乳、チーズ、バターが主食となる「北緯50度の栄養学」が誕生したのです。つまり、ドイツ人の基本的な食事、少しのパン、野菜に、大量の肉、牛乳というのはそもそも「栄養学」から考え出された食事ではなく、地理的条件が作り出した「風土」としての食事の結果であり、それに無理やり理屈をくっつけたものなのです。逆に日本は、前述のとおり非常に肥えた土地、高温多雨というすばらしい気候風土、周りを海に囲まれており海産物が豊富という環境であり、逆に平地が少なく、放牧に適さない、という地理的条件なため、穀物を中心にした食事となったのです。

しかし、明治政府は、日本の体が小さいのは食事が悪いからだ、西洋人のように大きく強くなるためには、ドイツ人並みの「高タンパク・高脂質・動物食中心」の食事に改めるべきだ、となりここから日本の「カロリー・栄養素計算偏重主義」、そして、風土や日本人の体質を無視した西洋の栄養学一辺倒の現実離れした健康政策が始まったのです。

以上を考えたなら、日本人の地理的な食事とは、やはり地理、そして風土が作り出す「魚介類、穀物、野菜、果物、木の実」を中心にしたものになる、という結論に至るのです。
今日もお付き合いありがとうございました。次回は、「人間の形体で考える正しい食事」というお話をしたいと思います。よろしくお願いいたします。





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